船井幸雄.com」の超プロ・K氏の金融講座リンクより転載します.
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●バブルは終わってから、バブルとわかる!?
バブル、バブルと叫ばれながらも、バブルというものは簡単に破裂しません。
「バブルは終わってからバブルとわかる。」元FRB議長のグリーンスパンはこのように述べましたが、実際バブルの判定は難しく、どこまでが正常で何処からがバブルなのか誰も判別できないでしょう。中国で全国的に建設される人の入らないマンション群やショッピングセンターや高速道路をみれば、これはいずれ問題を起こすと思っていても、実際、作られ続けているし、マンション価格は上がり続けているのです。
10%を超えるような金融商品が持続可能なわけがない、と思っていても現実に無事に償還なされ続けているのです。この状態に人々は酔い、さらに多くの資金を導入し続けています。
中国共産党政権は仮に理財商品のデフォルトを許容すれば、その影響は瞬く間に全国に波及して金融危機に瀕するのは必至とみて、デフォルトを許しませんでした。人々は当局を信じ続けることで資産を膨らませてきました。ですから人々は今までの投資行動を変える動機を持たないのです。そして当局は、危機を一時的に回避してその場を凌げばなんとかなるという姿勢を貫くしかなかったのです。全ては不動産価格が下落するまでの宴なのです。中国は当局が絶対的な権力を持つ中央集権国家ですから、行き過ぎた不動産バブルが崩壊するような危機も、日米欧などの資本主義の歴史から学べる知恵によって解決可能と思っていたかもしれません。中国では当局が何度も何度も不動産バブルや理財商品の行き過ぎに警戒を鳴らすように努めようとした形跡はありますが、実際には景気減速の恐れを抱き、根本的な解決策に着手できなかったのです。
こうして中国の不動産バブルは野放し状態が続いてきて、その規模は限りなく拡大して、膨れ上がった風船が一気に破裂するように終焉を待つばかりなのです。
相場というものは行き過ぎると、何かをきっかけにして一気に崩壊します。日本ではバブル崩壊は当時の大蔵省による総量規制、いわゆる行政指導で大蔵省が銀行に対して不動産融資を抑制することを求めたのです。資金源を失った不動産会社はあっという間にもろくも崩れ去りました。宴の後には屍のような不良債権の山が築かれ、やがて日本の多くの金融機関は債務超過に陥っていったのです。振り返ってみると、あまりに目に余まる不動産価格の上昇に少々の規制を発動させただけだったのですが、それがきかっけで日本の土地の価格はそれまでの上昇が幻だったかのように激しく暴落に至ったのです。
今回の中国の興業銀行の政策が日本の時のようなドラスティックな変化を生じさせるかどうかはわかりません。しかし限界に近づいている不動産価格は、いずれ何かをきっかけに激しく下落する運命にあるのです。世界一の債券運用会社ピムコのCEOビル・グロスは中国の理財商品や隠蔽的な政策について、あまりに不透明な事を批判し、中国経済は「腐った肉のようだ」とこけおろしました。
同じく世界ナンバー1の投資家と言われるジョージ・ソロスは現在の中国の政策は後2年続けることはできないとして、「今年の世界経済の最大のリスクは中国である」と断じました。世界の投資家の中国に対しての目は厳しくなってきています。
バンク・オブ・アメリカの世界の機関投資家への調査によれば、中国の不動産バブル崩壊と理財商品の問題が噴出することを懸念するという見方が毎月増え続けて、1月の調査では、調査対象の46%の投資家にまで懸念が拡大し始めたということです。このような世界の投資家の見方を受けて中国への投資は時を追うごとに減り続けています。
米調査会社EPFRグローバルによれば中国を中心とした新興国へ投資するファンドからは資金の流出が止まらないということです。この2月の第二週までに何と68週連続で資金流出が起こっているのです。完全に中国は世界の投資家から見捨てられつつあるのです。中国は解決策の見えない環境問題の袋小路に陥っています。環境問題に手を付ければ確実に経済成長は激減します。当局は不動産バブルが危険水域まで来ていることは重々承知していますが、経済成長の激変が怖くて規制を行えないのです。こうして行き着くところまで来た不動産バブルはソフトランディング不能な水準に到達しました。中国発のリーマンショックは絵空事ではありません。危機は我々の目の前に近づきつつあるのです。
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以上です。 |
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