東日本大震災のおける原発事故から、再生可能エネルギー等への取り組みは大きく進んだものの、原子力発電に取って代われるまでには到底至っていない。
そのことを逆手に取るように、電力会社の傍若無人ぶりは度を増す一方だ。
2016年には発送電分離や電力の小売り自由化を掲げて、政府も圧力を掛けようとしているが、電気料金の値上げを振りかざしながら原発再稼動を推し進めようとする暴挙を止めることは出来ないでいる。
そんな中、経産省が思い切った決断を下した。
電力事業の大きな対抗馬である、都市ガス事業の全面自由化を推し進めることで、エネルギーの価格競争そのものを活性化させようというもの。
このことをわかりやすくまとめられた記事を紹介したい。
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現代ビジネス−経済の死角
『都市ガス事業の全面自由化で、エネルギーの「価格競争」が始まる!』(リンク)より引用。
(前略)
経産省は今年夏をメドに制度設計を終え、2015年の通常国会にガス事業法改正案を提出。早ければ2016年にもガス事業の完全自由化が実現する。一般家庭でもガスの供給会社を選べるようになる見通しだ。家庭向け市場の開放で新規参入が増えれば、価格の競争が始まるほか、新たなサービスが生まれる可能性も出てくる。
○電力に比べて自由化が進んでいたガス市場
ガスの小売り自由化に踏み切るのは、今のままでは家庭のエネルギー・コストが大幅に上昇すると見られていることが背景にある。原発の停止に伴う火力発電の原料費用の増加などで、家庭用電気料金は上昇基調が続いている。また今後、福島第一原子力発電所事故の処理費用がかさめば、その分が電気料金に上乗せされる懸念も強い。
こうした中で、安倍晋三内閣は電力の自由化を決断。2016年には電力の小売りを全面自由化する方針を掲げている。発送電の分離や小売り分野への新規参入を促進することによって価格競争を促し、料金の上昇を抑え込もうという発想が根底にある。
もっとも、長年地域独占を続けてきた大手電力会社の既得権保持に向けた動きは根強く、思うように新規参入が進まない可能性もある。それでは料金の抑制はままならない。そこで踏み切ることにしたのがガスの全面自由化なのだ。
もともとガスは電力に比べて自由化が進んでいた。1995年から自由化が始まり、現在は年間使用量が10万立方メートル以上の大口販売については自由化されている。大口分野にはすでに30社近くが参入し、大口需要量の17%が新規事業者による供給になっている。新規参入の増加や供給地域の拡大もあって都市ガス全体の販売量も大きく増加。市場規模も膨らんできた。
都市ガス会社は2013年12月現在で209社に及び、様々な事業形態で営業している。東京ガス、大阪ガス、東邦ガスが大手で、この3社で全販売量の7割を占めるが、地域ごとに中小規模のガス会社が散在している。中には仙台市ガス局のような公営企業も含まれる。
(中略)
東日本大震災までは電力会社が展開する「オール電化住宅」などに押されていたが、震災による供給不安なども顕在化。ガスを利用した家庭用コージェネレーション(熱電併給)システムなどへの関心が急速に高まっている。ガス業者同士で戦うのではなく、電力会社との競争に勝つには自由化は追い風ととらえているようだ。
(後略)
(以上、引用終わり) |
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