原始共同体社会
28500 ポトラッチの実態
 
三ヶ本万州夫 ( 壮年 兵庫 講師 ) 02/04/12 PM01 【印刷用へ
ちょっとご無沙汰でしたが、横レス失礼します。まず、基本的なところから・・・。

「ポトラッチ」というのは、アメリカ北西太平洋岸インディアンのチヌーク族の言葉で「与える」という意味ですが、地域により実態は異なります。平原インディアンも、貧しい人々を助けるために祭りを催し、特別な踊りを踊ったりしましたが、返礼を求めることはありませんでした。それに対して北西太平洋岸のインディアンは、大げさな宴会をひらいて高価な品物を配りました。その理由は、友情を確かめ合うというものから、他人に見縊られない様に、自分の富を見せつけるというものまで、様々でした。

このポトラッチの主催者は、集まった有力者たちに豪華な贈り物をすることになっていました。遠くの村々から何百人という人びとが、ポトラッチに出席するために、カヌーをこいでやってきました。どのポトラッチも大変な騒ぎで、客に山ほどの食べもの、目用品、装飾品などが贈られました。ヒマラヤスギの皮から作った強力な糸で織ったブランケット、沢山の飾りをつけた篭、毛皮、服などが多数用意されました。貴重な魚油を燃やして、主催者の豊かさをひけらかそうとすることもよくあったそうです。すさまじいのは、自分の「財産」の多さを客に見せつけるために、「奴隷殺し」という特別な棒で奴隷をなぐり殺すこともあったことです。なかでも、最大の贅沢と考えられていたのは、銅板をこわしたり海にすてたりすることでした。自然銅に彫刻をほどこしたこの板は、ひとりの女が何カ月もかかってやっと1枚織りあげるブランケット4000枚以上の値打ちのあるものでした。

贈りものは、もらう側の必要度ではなくて階級によって決められ、階級が上の者ほど、多くの贅沢品をもらっていました。しかし、もらった者は、それを自分の部族と分け合う事になっていたし、後日、招いてくれた人を招きかえして、自分がもらった以上のお返しをしなければならなかったのです。もし返礼のポトラッチで、贈り物が貧弱だったりご馳走が少なかったりすると、その主催者の地位はゆらぎ、「面子を失う」ことになります。それとは逆に、はじめに招いた側の評判は跳ね上がったのです。この「相手より1歩先に出ること」は、時には大変な規模になって、家族や部族全体までもが破減に追いこまれることもありました。しかし、大抵の場合は、杜会的な抑制が働いて、ポトラッチが手に負えないほどエスカレートするのを防いだようです。この制度は、複雑で高度な一種の交換経済で、これによって、物が創られたり循環したりしていたのだ、という説もあります。

マルセル・モースの観察によれば、ポトラッチは、理論上、外見上は「任意に」行われるものの、事実上、実際上は「義務的に」行われるものであり、「不履行」は「闘争」を引き起こすことさえある、というのです。どうやら、お二人の以下の見解が同時に成立しているようです。

>おそらく現代的な感覚で彼らの価値を曲折して解説された感があります(田野さん)

>近年に観察される未開部族も多かれ少なかれ私権意識に感化されており儀式も形式化している可能性はあります(橋口さん)

つまり、観察者も色眼鏡をかけているが、その対象者もまた、本来の精神的要因を変質させてきている、ということです。ここでは、残存する本来の部分のエッセンスを抽出し、それが縄文人の精神性とどこまで一致するのか、しないのか、をさらに検証していけばよいのではないでしょうか。
 
  List
  この記事は 28366 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_28500
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
109972 答えがないと続けざるを得ない 胡麻とOFF 06/04/26 PM01
29204 富を廃棄するポトラッチ 新大阪駅 02/04/23 PM01

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

「合同板」必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
人権ファシズム
「権利」は自己正当化のために捏造された架空観念
架空観念で現実を体系化した法学が自己矛盾を引き起こすのは必然
矛盾だらけの法学が、社会を閉塞させている。
「セクハラ」の驚くべき事実。
規範なきマナーの氾濫
過剰な法令遵守が生む思考停止社会
『強制加入の年金制度』は、ねずみ講よりたちが悪い。
国家のあらゆる部門で粉飾会計
「公務」とは
勝ち組ほど、阿呆になる時代
特権階級の自家中毒
暴走する特権階級→忍び寄る『警察国家』の影
軍と官僚制の罠 〜古代国家の官僚制〜
暴走する「検察」@〜検察権力の強大さ〜
暴走する「検察」A〜検察を捜査する機関が日本にはない〜
財務官僚の無能、しかもその自覚全くなし
平成官僚は無能すぎる
文官高等試験合格者が権力の座に着いた昭和初期に日本はおかしくなり始める
CIAは実は無能なダメ機関⇒「エリートは超優秀」という騙しの崩壊
試験制度の問題性はどこにあるのか?
官僚制と試験制の通史的総括
官僚制と試験制の構造的欠陥
幕末の志士亡き後、戦前の試験エリートは失策に失策を重ねた
戦前から顕在化していた、詰め込み教育の弊害
明治時代初期:なぜ、学校一揆や学校焼き討ちが起こったのか?
日本の政治を動かしているのは政治家ではなく官僚だ!〜中村敦夫氏が「霞ヶ関」の実態を暴露
「日本人はいつ物を考え出すのか?」(3) 騙しの破綻→特権階級は追い詰められている
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
大衆の期待の変化に応じて統合力も変わってゆく
『国を変える劇的な方法がある』 阿修羅
原子力利権 〜政・官・産・学・マスコミの結託→暴走〜
官僚と東電:特権階級=試験エリートの悪行
現職の鈴木宗男衆議院議員への不当な最高栽の有罪判決と投獄の政治弾圧@
広域暴力団「霞ヶ関」
最高裁(=検察審査会事務局)は「架空議決」という信じられない手を使って小沢を起訴した
世界中を巨大市場化していく諜報機関
CIAと麻薬の結びつき
エシュロンとNSAとの関係露呈の歴史

『るいネット』は、48年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp