健康と食と医
283590 病気を進化の視点から解き明かす
 
村田頼哉 ( 41 高知 企画 ) 13/11/20 PM10 【印刷用へ
医学界において、表面的な症状の緩和を行う対症療法や、病気の原因を治す原因治療ではなく、より一層深く突き詰めようとする進化医学に対する取組みが進みつつあります。

進化のシンドローム(リンク)より引用します。
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およそ20万年前に誕生した現生人類は、狩猟や採集によってのみ食生活を支えてきた。獲物が得られることは稀で、つねに飢餓状態にさらされていたのだ。こういう厳しい環境下で生き延びるためには、手に入れた食物のなかにある栄養分を効率よく分解・吸収して必要なだけのエネルギーに変え、当座のエネルギーとして使わなくてもよい栄養分は体のなかに蓄える という仕組みが不可欠である。食べられるときは できるだけ多く食べ、脂肪や糖といったエネルギーの高いものを特に好んで食べ、それらを体内にせっせと貯め込んでいく。まさに倹約遺伝子の働きによって、われわれの祖先は こうした性質を獲得し、蓄積されたエネルギー源の 脂肪や糖がある限り、しばらくの間は食事ができなくても 活動を続けることができたのである。

それから、およそ1万年前に農耕や牧畜が始まっても、人類の食生活が安定することはなかった。狩猟や採集の時代に比べれば多少は改善されたかもしれないが、作物が食糧になる時期は限られているし、定常的に食べられるほど多くの家畜を育てる技術もなかった。つまり、いまから200〜300年くらい前までの人間は、一部の特権階級を除けば、ほかの動物たちと同じように慢性的な飢餓状態にあったのである。

そして、飽食の現代を迎えても、人間の体の仕組みは飢餓の時代に適応したままなのだ。倹約遺伝子は 現代人に脂肪や糖の多いものを好んで食べさせ、それらの栄養分は体のなかに せっせと貯め込まれていくのである。獲物を求めて何日間も荒野を歩き続けるような運動をしない 現代人は、蓄積した栄養分をエネルギーとして消費することも少なく、だんだんとメタボになっていくわけだ。生活環境の急激な変化のなかで、人体のシステムが引き起こした不都合。アレルギーとメタボは、とてもよく似ている。

こうした現代病だけでなく、古くからある感染症、中毒、ケガ、遺伝子疾患、癌、性と繁殖、精神障害、老化、死など、さまざまな病気や人体の不都合について、これまでとは違った視点から捉え直すことにより、進化医学は多くの新しい発見をもたらし続けている。われわれが病気だと思ってきた症状のうち、あるものは体を守るための大切な防御反応であり、またあるものは人間自身が作り上げた文明や文化が原因となって引き起こされた災いであり、さらには病気を起こすと考えられていた遺伝子が実はわれわれの祖先が生き延びるために有益であったというようなことが、次々と明らかになってきたのである。
 
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