もはや学校は終っている
283588 教育付加価値日本一の大学〜金沢工大の秘密
 
橋口健一 HP ( 50 大阪 技術者 ) 13/11/20 PM09 【印刷用へ
金沢工大は、「教育する大学」として“教育付加価値日本一の大学”を標榜し、学生サービスを徹底し、他の大学とは異なった独特の大学運営をしています。象徴的な事例として(数理工教育研究センターの担当教授が語る)ある学生のエピソードより。

...その学生は入学したときから、ほとんど毎日のように(同センターに)通いつめ、わからない個所について納得いくまで教えてもらっていたが、2年生になったとたんに来なくなったという。

心配していたら、あるとき「まずは自分で努力して勉強していくことが大切であることに気づき、頑張ってみることにしました」と報告に来たという。その後、その学生の成績は伸びて、現在は大学院進学を目指しているという。「勉強が嫌いなのではない。好きになるきっかけを持てなかっただけなのです。ちょっときっかけをつかめば、伸びていくものです」...

教育の本質である「自考力」を教える金沢工大。その実態を知るために、大学改革の当事者のインタビュー記事を紹介します。韓国の大学からもベンチマークとして一目置かれる存在です。

以下、
「東京大学よりもしっかり教える地方大学〜金沢工大の秘密」
(中央日報 2012年2月7日付)リンク より
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石川県にある金沢工業大学は1965年に開校した4年制の特性化私立大学だ。工学部、情報フロンティア学部、環境・建築学部、バイオ・化学部の4学部に14の専攻がある。

新入生1600人、在学生7000人余りの小さなこの大学の昨年の就職率は95.7%。日本の750の大学で最高水準だ。特に朝日新聞の大学評価で7年連続で教育分野1位になり、「よく教える大学」と定評があった。

高校卒業生のうち上位40%の成績の学生を選び、企業が欲しがる人材に育てるものだ。2009年から160人余りの教授全員がこの大学をベンチマークしている韓国技術教育大学研修団と先月31日に金沢工大を訪問した。

学期末のプロジェクト発表と期末考査の最中のキャンパスは雪景色が壮観だった。この大学に40年間にわたり在籍し改革を先導してきた福田謙之事務総長に会い競争力の秘訣を聞いてみた。


――7年連続でよく教える大学1位に上がったというので驚いた。

 「私たちは東京大学や京都大学のような名門大学ではない。だが、最もよく教える大学と認められている。全国の総長(学長)の評価の結果だ。教育で地方大学の劣勢を克服している」

 中央日報が韓国メディアで初めて94年から大学評価をしていると話すと、彼は「評価がなければ発展はない」として親指を立てた。

――どのように教えるとそうした成果を出せるのか。

 「選抜競争より教える競争に勝負をかける。率直に新入生成績は上位圏ではなく数学・物理など基礎が弱い。そこで基礎を固めるように教える。わからないことはいつでも個人教習を受けられるよう数理工教育研究センターを運営中だ。中位圏の学生たちはしっかり教えれば教育効果が一番良い」

 センターに行ってみると白髪の数学・物理教授OBがいた。個人指導をするように1対1で黒板に問題と解答をすると孫を教えているようでうれしいと話した。

――95年の改革前は存在感がない大学だったが。

 「国公立5校、私立7校と競争する中で学生数減少の危機が迫った。安住すれば永遠に三流に固定されるという共感があった。そこで91年からスタンフォード大学、カリフォルニア工科大学、マサチューセッツ工科大学など米国の工科大学をベンチマークした。以後3年間に200回の会議を経て95年から革新を進めた」

――何をどのようにやり直したか。

 「初めは教授が動かなかった。ストレスを与えカリキュラムから手直しした。1単位で授業・予習・復習を15時間ずつ総45時間に義務化した。教授が講義計画書を時間単位別に立てて徹底的に守るようにした。学生たちもグループ別にチームを作り自ら考えてアイデアを実践するよう促した」

 プロジェクト発表会場では学生たちがグループ別に学年末の作品アイデアを発表していた。太陽光自動車、モバイルサービスなどアイテムも多様だった。同行した韓国技術教育大学の教授は、「自ら問題を解決するよう誘導する工学設計教育システムが特異だ」と話した。

――日本も就職難が厳しいが96%が就職できる秘訣は。

 「小手先中心の実技だけ教えれば創造力が死ぬ。基礎と文学・社会・哲学の教育を併行してみると学生たちが自信を持ち始めた。平凡な学生たちの反乱だ。日本企業はすぐに実力が出る学生より潜在力のある学生を好む。(笑いながら)韓国とは違うようだ」

 中央図書館には人文学の本も多かった。ターンテーブルにLP盤をのせて音楽を聞くことができる休憩室は情緒が乾きやすい学生たちに人気があった。

――どこに就職するかが重要だ。

 「昨年3月基準で全就業者95.7%のうち半分が大企業、上場企業、公務員に就職した。就職担当教員65人を置いて企業に広報もしている」

 ――工大は実習が重要だ。基礎にだけ重点を置けば実用がおろそかになりかねない。

 「現場とかけ離れて本だけ読む教授は競争力がない。教授陣339人全員が専任だが半分以上は企業出身だ。そうした人たちがノウハウを自然に伝授して基礎と実用を融合する」

 この大学の電気工学科出身の福田事務総長は、日本企業は出身大学よりは何を学んだかを重視すると言った。そして放課後実習室の夢考房を長所として挙げた。エンジニア20人が学生の作品活動を助け全国技能大会入賞者を大挙輩出する所だ。
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引用おわり
 
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新しい潮流1 社会捨象→不全捨象の充足基調(’70・’80年代)
新しい潮流2 私権統合の崩壊と社会収束の潮流(’90・’00年代)
新しい潮流3 社会不全⇒認識欠乏の蓄積
新しい潮流4 言葉それ自体が引力を持ち得ない時代
新しい潮流5 実現派は仲間収束から社会収束へ
新しい潮流6 解脱仲間から認識仲間への逆転
仲間圧力と認識仲間
新しい潮流は、新しい人間関係を必要としている
市場社会の、カタワの「集団」
本当は、「集団」に入ったのではなく、社会に出たのだ
古い人間関係は、影が薄くなるばかり
関係パラダイムの逆転1
関係パラダイムの逆転2
活力源は、脱集団の『みんな期待』に応えること
収束不全発の適応可能性の探索、その深くて強い引力
充足基調から探索基調への転換
'90年代の危機感と変革期待の行方
秩序収束と答え探索の綱引き
潮流2:戦後日本の意識潮流
潮流3:’70年、豊かさの実現と充足志向
潮流6:’95年、私権原理の崩壊と目先の秩序収束
潮流9:経済破局を突き抜けてゆく充足・安定・保守の潮流
今後10年間は充足⇒活力を上げれば勝てる 
「日本人はいつ物を考え出すのか?」(1) 共認充足が最大の活力源。'10年代はそれだけで勝てる
市場時代の共認非充足の代償充足⇒解脱(芸能)埋没
'70年〜現代 収束不全⇒本能的な秩序収束⇒課題収束⇒認識収束
現代〜近未来 対象への同化こそが新しい認識を生み出す
大学生が授業に出るのはなんで?
「やりがい」に潜む社会的欠乏
カリスマ 〜自分たちが共認できる価値観への評価収束〜 
仲間収束 2:一人でできない子
「働きたいから働こう」という意識
快美欠乏に替わって、認識の統合が最高価値になった。
判断の土俵とは、人々の潜在思念が作り出した共認圧力の場
『必要か否か』が環境問題に対する基底的な答えになる
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