共認運動をどう実現してゆくか?
282970 諜報の行方〜インターネット諜報は諜報戦の限界を示し始めたのではないか
 
山澤貴志 ( 48 鹿児島 ITコンサル ) 13/11/02 PM07 【印刷用へ
孫子の兵法にも書かれているとおり、リンク 戦わずして勝つことが理想である。まずは、交渉によって相手を封じること。それができなければ、諜報活動で相手を崩す。武力行使は、あくまでも最後の選択肢。そのような考え方のもと、諜報は非常に重要な国家戦略のひとつだと認識されてきた。

しかし、スノーデン事件に代表されるように、今、国家による諜報は大きな批判にさらされている。先日も米国がメルケル独首相の電話を諜報したことが大きな問題となった。仮にも同盟国ではないか、ということである。

この背景には、かつての国家対国家の戦争から、テロとの戦いという戦争形態の変化がある。勿論、「テロとの戦い」は軍産利権体によるでっち上げに過ぎない。「テロとの戦い」はもはや戦争を望まない先進国の世論によって封印された国家対国家の戦争の替わる戦争を軍産利権体が起こすためのお題目である。

しかし、「テロとの戦い」に突入せざるをえなかった軍産利権体は諜報のあり方も変えざるをえなくなった。つまり従来型の対象を重要人物に絞り込んだ人的諜報(スパイ)から、より電子諜報(世論調査と世論誘導)へと転換するしかなくなったのである。

なぜなら現実にテロリストはいるかどうかも怪しい存在で、むしろ自作自演のテロをテロリストのせいにするための世論調査と世論誘導こそが重要になったからである。

しかし、テロとの戦いを大義名分とした善良なる自国民に対する電子諜報は、当然、大衆的批判対象となる。おそらく、テロとの戦いという大義名分のもとで急速に発展した「電子諜報」は行き詰るしかないだろう。孫子の昔から重視されてきた「諜報」だが、大きな歴史の転換点に差し掛かっているといえるのではないか。

以下の記事を読むと、電子諜報へ舵を切ったアメリカの狼狽振りがよく分かる。

リンク より

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 長い間「テロとの戦い」を理由に正当化されていた、国家によるプライバシーの侵害行為に対して、初めて大きな批判が巻き起こった。この問題ですが、アメリカの政治にとって、社会にとって大きな転機となりうる大きな問題だと思います。何と言ってもこれは、アメリカの「テロ戦争の時代」が終わりつつあるということだからです。

 まず、今回激しい批判に晒されているNSA(国家安全保障局)についてですが、秘密のヴェールに包まれており、巨額の予算を使っている世界最大の「電子盗聴組織」です。元来、アメリカには、まず、海軍とか陸軍など軍直轄のスパイ組織がありました。

その中から、主として「スパイという人材」を養成して対象の地域に送り込んで活動させるCIA(中央情報局)が生まれたのです。

 それとは別に、電子的な盗聴行為によって対象地域の情報を収集するNSA(国家安全保障局)というのが作られています。とにかく、予算(一説によればCIAよりも巨額)も人員も秘密、計画も成果もホワイトハウスと議会の秘密委員会しか知らないという非常に特殊な存在なのです。では、何をやっているのかというと、基本的には「電子盗聴」です。

 その「電子盗聴」のシステムとしては「エシュロン」というのが知られています。巨額の予算を注ぎ込んだNSAの「エシュロン」はどんどん威力を増していったのですが、90年代という時代は米ソ冷戦は完全に終結し、アジアの緊張も現在ほどではなく、比較的平和な時代でした。一方で、アメリカは「規制緩和による金融グローバリズム」と「IT革命」といった民間のビジネスに忙しかったのです。

 そこで、当時のクリントン政権は巨額のカネを注ぎ込んだ「エシュロン」の「元を取る」ために、アメリカ企業のライバルになるような外国企業の「企業機密」を「エシュロン」で収集していたという証言もあります。さすがに、アメリカの政府機関であるNSAが、最新技術を盗んで米国企業に提供するということはなかったようですが、第三国での入札に関して欧州企業の情報を事前に察知するとか、欧州企業などの「第三国における贈収賄」を察知してリークするなどといった行為はあったという報道もあります。

 ところが、2001年に発生した「911テロ」は、こうした状況を根底からひっくり返しました。アメリカのブッシュ政権に取っては、「このような本土攻撃を回避する」ということが至上命令となり、そのためには「手段を選ばない」ということになったのです。

 これはNSAに取って大変な追い風になりました。当時のドナルド・ラムズフェルト国防長官という人が「CIAの工作員を現地に溶けこませる」というクラシックな諜報活動よりも、電子諜報を重視したということ、アッシュクロフト、ゴンザレス両司法長官(当時)が色々な「悪知恵」をつかって、政府の超法規的な行動にお墨付きを与えていったことなども、NSAの活動を容易にしていったのです。

 極めつけは「愛国法(パトリオット・アクト)」という法律の制定でした。911直後という時代の空気に乗って制定されたこの法律によって、NSAを中心とした電子諜報の収集活動に関しては、制約が最小限となったのです。こうした流れを受けて、ブッシュ政権を通じてNSAはどんどん地位を高めて行きました。

 一方でCIAに対してブッシュは、様々な形で弾圧を加えて行きました。まず、97年のクリントン政権の時代から長官を務めていたジョージ・テネット長官を2004年にクビにしています。テネット長官は、911の直後はブッシュ政権に忠実に動いていたのですが、イラク戦争の契機となった「大量破壊兵器の有無」に関して、政権と対立して更迭されたと言われています。

 その後任であったポーター・ゴス長官も、「電子諜報重視政策を転換し、工作員を現地に送り込む諜報活動の基本に戻る」という方向性、つまりクラシックなCIAの立場からアンチNSAを主張したために更迭されたと言われていますが、2006年にそのゴス長官の後任としては、何と「NSA長官であった」マイケル・ハイデン氏がCIA長官になるという人事が現実になったのです。

(続く)

 
 
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