経済破局は来るのか?
282746 国債が暴落しても、ハイパーインフレにはならない
 
縄文男児 ( 60代 経営 ) 13/10/27 PM05 【印刷用へ
現代の先進国では、消費欠乏が衰弱し、世界的に生産力が有り余っている。そこで、米債デフォルトを皮切りに世界中で国債が暴落(→株式が暴落)しても、需要が衰弱し生産力が余っているので、物価は上昇しない。
(もっとも、金貸しは食糧と原油価格を5倍に吊り上げるので、一時的に物価は2倍に高騰するが、一年もすれば元に戻るだろう。)

「紙幣をばら撒けば紙幣価値が暴落し、無限に物価が上昇する」というのが経済学の常識であるが、経済学には「物価を規定するのは生産力と消費欠乏との相対関係である」という根本的な視点が欠如している。

確かに、戦前〜戦後にかけては、どの国も一貫してインフレに苦しんでいた。
これは、世界的に貧困の圧力が働いていたことに加えて、金貸し勢力が演劇や映画やマスコミを通じて消費欠乏を過剰に刺激してきたことによって過剰な消費欠乏が喚起され続けており、その過剰な消費欠乏に対して生産力(供給力)が世界的に不足していたからである。
この状況下で、(第一次大戦後に膨大な賠償金を要求された独のように)国家財政が破綻し、国債を発行して紙幣をばら撒いた場合は、貨幣への信頼が崩壊し、物価が際限なく上昇して紙幣が紙屑化しハイパーインフレになる。


それに対して、現在の先進国は米国も日本も財政が破綻し(昔の独と同じように)紙幣をばら撒き続けているが、ハイパーインフレにはなっていない。それどころか、どの国もデフレに苦しんでいる。

それは、'70年豊かさの実現によって先進国の消費欠乏は衰弱する一方であるのに対して、他方の生産力は中進国を含めて世界中で有り余っているからである。
大衆はモノを買う気にならないし、企業も作っても売れないので設備投資をしない。だから、アベノミクスなどと称してどれだけ紙幣をばら撒いても、景気は回復しない。それどころか、デフレが進行する一方である。
バブル(崩壊)もデフレも、そのトップバッターは日本であったが、日本の消費者物価上昇率はこの20年間、ほぼ0%である。それも金貸しが原油価格を石油ショック以前の10倍にまで高騰させていて0%なのであり、原油高騰がなかったら、間違いなく物価は下落していたであろう。

紙幣をばら撒けばインフレになるという経済学の常識は、貧困な時代には当てはまるようにも見えるが、歴史貫通的な普遍性のない局部的な認識にすぎず、根本的には間違った認識である。

それは、経済学が、大衆の消費欠乏の問題を完全に捨象してきたからである。それどころか、経済学は人間の欲望(消費欠乏)は無限に拡大するという嘘を暗黙の大前提としてきた。しかし、現実の消費欠乏は衰弱する一方であり、これでは経済学に基づく経済政策が、ことごとく見当違いな失策となり、経済が再起不能なアリ地獄に沈んでゆくのも当然である。
これは、そもそも金貸し勢力が生み出した経済学というものが、全体構造の中の都合の悪い部分を捨象してはじめて成立する詭弁の体系だからある。要するに、経済学とは金貸しとその手先たちの騙しの道具にすぎない。

こんなペテンを学問として大学で教え、それを官僚やマスコミが喧伝してきた結果、何故デフレになるのかさえ誰一人として解明できずに、政府は紙幣をばら撒くだけの幼稚な経済運営を続けることになる。
 
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