共認心理学:現代の精神病理
282170 ”就活自殺”の背景
 
匿名希望 13/10/11 PM07 【印刷用へ
気になる記事があったので、紹介します。


以下リンク 抜粋

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 警察庁が、「就職失敗」が原因・動機となっているとした20代の自殺者数の年次推移は、5年前(平成19年:60人)と比べて、昨年は2.5倍にまで急増しています。ただ、これはあくまでも氷山の一角に過ぎません。自殺未遂者は、実際に亡くなる人の10倍はいると言われていますから、少なくとも毎年1000人以上の20代が、「就職失敗」を理由に、自殺を試みている計算になるのです。
 
 なぜ、それほど大勢の若者たちが、一般的には「たかが仕事が見つからないくらい」でといった理由で自殺しようと思うのでしょうか。私たちはその背景を探るため、就職活動を行っている200人以上の大学生や大学院生に対して意識調査を行いました。 
 まず驚いたのは、日本社会に対してマイナスイメージを持っている学生が非常に多いということです。
 例えば、日本社会は「正直者が報われる社会か、バカを見る社会か」と二択で聞いたところ、69%の学生が「日本社会は正直者がバカを見る社会だ」と回答しています。
 
 同じように、日本社会は「いざという時に助けてくれる社会か、何もしてくれない社会か」と質問したところ、やはり65%もの学生が「日本社会は、いざという時に何もしてくれない社会だ」と答えました。

また、「正社員・正規の職員になりたいか」との問いに対しては、「絶対に」が70%、「できれば」も含めると97%もが「正社員になりたい」と回答し、その理由としては約7割の学生が「正社員にならないと生活が安定しないから」と答えました。
 
 ただ、その「安定」というのは、終身雇用のように「将来にまでわたる安定」を指しているのでないようです。というのも、「最初に就職した会社に何年勤めようと思っているか」と重ねて尋ねたところ、「定年まで」と答えた学生は20%に留まっていました。
つまり、いざという時に誰も助けてくれないように思えるこの日本社会で、路頭に迷わず生きていくためにと、防御的な反応として、緊急避難的な意味で、正社員を希望している学生が多いのではないかと思います。
 
それは例えば、「まだ採用活動をしてはいけない」とされている時期に、水面下で内々定を出している企業があったり、「学歴不問」を謳っていながら、実際は大学名によってふるいを掛けている企業があったりと、「就職活動のルール」とされている経団連などの指針が、実は非常に形骸化していて、企業の建前を信じて就職活動をしていると、それこそ正直者がバカを見るような目に多くの学生たちが遭遇しているからです。
 
 ただ、そうした経験をしてでも、内定をもらって希望通り正社員になれれば、とりあえずの安心を手に入れることができます。理不尽な目に遭いながらも仕事に就ければ、仕事を通して人生の目標や生きがいを見つけられる人も少なくないでしょう。
 
 ところが、今の学生は違うんです。30社、50社、あるいは三桁、100社回っても、一つも内定がもらえないという学生も少なくありません。
 
 調査に関連して行ったヒアリングの中で、就活生から聞いたエピソードをご紹介します。
 ライフリンクでインターンをしている就活生4人に、インタビューをしたときのことです。
 「就活に失敗して自殺する若者が増えていることをどう思うか、理解できるか」と尋ねたところ、全員が理解できると答えました。
 
 「理解できるというのは?」と、さらに踏み込んで聞いていくと、
 「自分は、自分たちは、小さい頃から周りの目に怯えながら生きてきた」というのです。
 小学校、中学校と、どうやったら学校でいじめられずに済むか、いじめの標的にされることなくどうすれば無事に学校を卒業できるか、ずっと怯えながら生きてきたというのです。
「自分がこれをやりたい、あれをやりたい」などということではなく、できるだけ目立たないように、周りから排除されないためのキャラを、ずっと演じて生きてきたと。
 さらに、中学高校と進学するにつれて、先生や親からの評価も気になるようになっていったといいます。いまの学校では「学習意欲」も評価の対象になりますから、大学進学を希望するなら、演じてでも「やる気」をみせていかなければなりません。大人の顔色をうかがいながら、作り笑いをして、「いい子」を演じ続けてきたというのです。
 
 それで、やっとの思いで大学に入って、ようやく周囲からの評価や同調圧力からも少し解放されて、ホッと一息ついた頃に、就職活動が始まります。
 就活で企業を回ると、面接で必ず聴かれることがあるんだそうです。「あなたの夢はなんですか?」「他の人にできないことで、あなたにできることはなんですか?」という問いです。
 
 学生たちが言っていました。これまで生きてきて、はじめて「あなた」が問われたと。小さい頃から、周りと同じようにしていなさいと言われ、自分の存在を消すように努力して生きてきたのに、いきなり就活で「あなた」を問われて、驚いたと。
 
 そこで必死になって、「自己分析」や「自分さがし」をして、おぼろげながら見えてきた自分のことを、必死になってエントリシートに書いて、しかもそれを何十社分もやって。
 面接でも、面接官にどうやったら評価してもらえるのか。なんて言ったら内定をもらえるのかと、相手の評価を気にしながら答えて。
それなのに、回る企業がどれひとつとして自分を受け入れてくれないのだとしたら。小さい頃から、言われたように生きてきただけなのに、それでも自分の居場所や出番を与えてもらえないのだとしたら。
 
 学生たちが「理解できる」といったことの意味は、決して「積極的に死にたい」「自殺したい」ということなんじゃなくて、「こんな人生、もう馬鹿馬鹿しくて生きるのを止めたくなる」、そういう気持ちはよく分かります、ということでした。
 
今回の調査でも、就職活動をはじめてから「本気で死にたい」「消えたい」と思ったことがあるという学生は、実に21%にも上りました。5人に1人。これは驚くべき数字です。

 就職活動の問題というのは、その開始時期が本質なのではありません。
 不透明な採用プロセスの問題であったり、ルールを守らない企業側の問題であったり、あるいは大学進学が目的化してしまっている日本の教育システム全体の問題であったり。
 そうした様々な問題の歪みが、就職活動をしている学生たちに集中的に襲い掛かっているのです。
 
 こうした就活に関わる問題は、いわゆるブラック企業で若者たちが食いつぶされていく状況や、大卒新卒者の3割が3年以内に離職していく実情などとも、根っこではつながっています。
 就活自殺の背景にあるのは、私たち大人社会のあり方の問題でもあるのです。


以上
 
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