法曹・官憲・役人こそ、社会閉塞の黒幕
282161 現役官僚が語る原発行政の真実B
 
宮本昇 ( 不惑 明日香 建築 ) 13/10/11 PM00 【印刷用へ
282142のつづきです。

■放射能は漏れ続ける

作中では、電力業界が政治家をカネで籠絡する場面も生々しく描かれている。

日本電力連盟常務理事の小島は、わざわざ飛行機で長崎へ飛び、総選挙で大敗したリベラル政党・民自党の落選議員を、さもついでに立ち寄ったという風情で訪ねる。

粗末な事務所を構え、明日の生活費にも事欠く議員に、地元女子大の客員教授のポストを紹介する小島。議員は、小島に土下座せんばかりにして感謝するのだった。

野党議員にも目配りを欠かさず、起こりうる政界再編に向けて保険をかけておく。大学の客員教授や非上場企業の顧問などのポストには、電力会社がカネで押さえているものが少なくない。

これも、若杉氏が官僚として見聞きした「事実」に基づく描写である。

モンスター・システムは、どうすればなくせるか。要は政治献金をなくせばいいわけですが、かつて民主党は政治献金廃止を謳っていながら、政権を取ったとたんに自らが力に溺れ、うやむやになってしまいました。

政治献金がすべて悪いとは言わないけれども、少なくとも電力会社のような独占企業については、政治献金やパーティー券購入を根絶する仕組みづくりが必要だと思います。

同時に、税金の使い道が一応は透明化されているのと同じように、国民から集めた電気料金についても使い道を明確に開示すべきです。電気がないと生活できない国民にとって、電気料金は税金のようなもの。これを法制化しない限り、モンスター・システムの息の根を止めることはできない。

さらに、電力会社の仕事の発注は競争入札にすべきです。東京電力の下請け企業は毎年、発注の順番や受注比率が同じですが、ここにも切り込まなければなりません。

折しも、福島第一原発の汚染水問題は国が引き受けることになりました。汚染水対策に国費を投入する条件として、東電の政治献金の禁止、電力料金の用途透明化、公開競争入札の3つをパッケージにして東電に突き付けるべきです。

思い出してもみてください。東電はあれほどの大事故を起こしておきながら、結局生き残り、事故処理に国費を使い、あげく自民党に手を回して「廃炉は国が負担してくれ」などと言い始めています。これはつまり「廃炉庁」を新設しろということであり、「あとは国に押し付けて逃げ切ろう」という虫のいい話です。

原発やその関連施設では、これまで信じがたいほど杜撰な工事が行われてきた。作中には、ある原発で工事の目的さえ知らされていない現場作業員たちが、非常時のベント用配管を組み立てながらこんなやりとりをする。

〈「おい、これズレてるけど、どうやって繋ぐんだ?」「一応、関東電力にお伺い立てとくか?」

「でも、あいつらに聞いたら、本社に確認するとか言って、平気で一週間くらい放置されるぞ」

「こんなのをいちいちお伺い立ててたら、俺たち死んじまうぜ」〉

結局彼らは、大きくずれた配管をありあわせの材料で適当に繋いでしまう。非常時には、そこに放射性物質を含む排気が通ることも知らずに。

電力会社は、なるべく多くの下請け企業を潤すためにひとつの工事を複数の企業に発注することが多いのですが、そのせいで配管の継ぎ目が合わないといったことが日常茶飯事です。業者の間で設計寸法の書き方が食い違い、配管をつなぎ合わせた際に誤差が生じるわけです。

青森県六ヶ所村の使用済み核燃料プールでは、これが原因で水漏れが起きていたのに、何年もの間水漏れ箇所を特定できなかった。似たような例は今後も見つかるでしょう。

みなさんは、メルトダウンを引き起こす原因というと地震や津波を思い浮かべるでしょうが、実はそれだけではありません。

原発に通じている1~2系統しかない専用送電線が、万が一切れたらどうなるか。原発の炉心はスクラム(緊急停止)し、そこから先は現場の非常用電源で炉心を冷却し続けなければならなくなります。

しかし、寒い地域の原発―たとえば新潟県の柏崎刈羽原発は豪雪地域にあります―であれば、厳冬期には非常用ディーゼル発電機が凍りついて動かなくなる危険もあります。雪に埋もれ陸の孤島となった原発は、作業員が近寄ることさえできないまま、静かに暴走を始めるでしょう。メルトダウンが起きるのです。

〜つづく
 
  List
  この記事は 282142 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_282161
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
282162 現役官僚が語る原発行政の真実C 宮本昇 13/10/11 PM00

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp