経済破局は来るのか?
282120 アメリカ 1979年のデフォルト 〜不況・金利上昇→市場原理・グローバル経済の導入へ〜
 
井上宏 ( 40代 新潟 建築コンサル ) 13/10/10 AM08 【印刷用へ
アメリカは、過去に一度だけデフォルトしているようだ。1970年代末のアメリカ。

ヤスの備忘録 リンク より 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アメリカは本当に危機的な状況に突入しつつある。ちなみに、10月17日には米政府の手持ち資金が30億ドル程度になるとルー財務長官は発表している。また米議会の予算事務局は、10月22日から31日までの間に、米政府の資金は完全に尽きると予測している。

●1979年のデフォルト

では、アメリカがデフォルトすると何が起こるのか?それは、ドルや米国債の紙くず化というようなことはないものの、予算がないため極端な緊縮財政の実施を余儀なくされ、米経済は失速する。

また、これで米国株は大きく下落するため、それに伴い、ロンドン、日経、上海、ベルリン、ムンバイなど世界各地の市場でも株価は大きく下落するはずだ。

だが、アメリカのデフォルトはいままで起こったことがないので、実際どうなるのか本当のところは分からないとする意見も多い。

しかし、まったく報道されていないので知られていないが、アメリカは過去に一度だけデフォルトしたことがあったのだ。1979年である。このときなにが起こったのか見ると、今回デフォルトした場合、どのような状況になるのかある程度予想がつく。

79年のデフォルトは、以下のうっかりミスのようなものが重なったことが原因だ。

1)上限引き上げ法案が政治的な妥協を引き出すために使われ、可決の時期が少し遅れたこと。
2)国債の償還には予想を越える規模の個人投資家が参加しており、必要な資金が見積もりを越えたこと。
3)財務省のワープロのシステムが壊れてしまい、投資家向けの償還のスケジュールを打ち込むことができなくなったこと。

この結果、1979年4月26日、5月3日、5月10日の償還に応じることができなくなった。

デフォルトで起こったこと

これは、ほんの数日間の出来事であった。だがその余波は大きかった。この事件をきっかけにして米国債の売りが進み、数カ月後には米国債の金利は大きく上昇した。

●79年から83年の厳しい不況

このような長期金利の上昇は、アメリカ経済に極めて深刻な結果をもたらした。79年から不況に突入したのである。

79年にはイラン革命が起こってイスラム原理主義のホメイニ政権が誕生し、イランからの原油の輸出が一時的に途絶え、第二次オイルショックが起こった。原油価格が高騰したのである。もちろん、これが不況の原因となったことは間違いない。

だが、オイルショックとともに、米国債の予期しないデフォルトによる長期金利の上昇が重要な引き金になったことは確かだ。

その後、82年まで、米国債の利回りは10%から13%にまで上昇し、米国経済を圧迫した。82年の失業率もいまよりも高い9%を越える水準に上昇した。

この不況の期間に誕生したレーガン政権は、不況の脱出策としての市場原理主義の導入を主張して大幅な規制緩和を実施し、これが現在のグローバル経済が誕生する端緒となったことは興味深い。

その点から見ると、比較的に単純なミスから始まったデフォルトであったが、その余波は、いわば当時の米経済の構造を転換するきっかけにすらなるくらいの大きな影響をもたらした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(引用以上)

当時アメリカ経済は、第2次大戦後のひとり勝ちの時代を終え、貿易赤字・財政赤字が膨らみ弱体化しつつあった。
この時期に“うっかり”デフォルトが起こった?

しかしこのデフォルトの結果、ドルの延命策であるグローバル経済が世界中で進められることになる。これは規制緩和・市場原理を導入するためのショックドクトリンだった可能性が高いのではないか。

今回デフォルトが起こるとしたら、金貸したちは当然次の青写真を考え、シュミレーションしていることだろう。
 
  List
  この記事は 282100 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_282120
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
282310 アメリカのデフォルト準備は整っているかのようだ コスモス 13/10/15 PM08
282191 米債務上限引き上げ問題 オバマ大統領「デフォルトの準備に入った」〜危機で焼け太りのシナリオもある? 橋口健一 13/10/12 AM09

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、47年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp