思考革命:問題意識発から可能性発へ
281534 震災への備えは日常の人間関係を構築することにあり
 
川井孝浩 HP ( 40 東京 社会事業 ) 13/09/24 PM09 【印刷用へ
先日、CCJ(Community Crossing Japan)リンク
さん主催の防災研修プログラムに参加し、宮城県塩釜市で被災しながらも復興活動に尽力されている矢部さんから、貴重な体験談を伺うことが出来ました。今後の防災への備え、教訓としてお伺いした内容を報告します。

9月20日(金) 19:00〜
講 師:矢部亨さん(株式会社矢部園茶舗 代表取締役社長)
聞き手:佐野哲史さん(一般社団法人復興応援団代表)

CCJとは、都市の社会環境問題解決として「共助の地縁」の必要性を広めて行く事を目的とした任意団体。NPO法人化を目指しつつ、学生インターンなども積極的に活用しながら法人向けの防災研修を展開しています。

主要には、311大震災で実際に被災され、現地での復興に尽力されている方をお招きし、被災時や復興段階における生々しい実例をお話いただき、今後想定されうる都市災害への備えとしての教訓を学ぶというプログラム。

今回のゲストスピーカーは、宮城県塩竈市の「矢部園茶舗」三代目・矢部亨さん。矢部さんは震災にて自らも被災し、壊滅的な被害を受けた店舗を2度復旧させながら、塩竈・石巻周辺エリアの復興活動を献身的に行ってきました。
そして現在でも、復興のためのお茶ファンドを立ち上げたり、塩竈市街地の再開発のリーダーをつとめたりと獅子奮迅のご活躍をされている方です。

震災時は、たまたま東京の新橋で茶専門経営士・茶匠の資格講座を受けており、TVで地元の津波災害をただ呆然と眺めるしか無い状況だったそうです。当然、全ての電話が不通となり、安否確認の手段が一切絶たれ、戻ることすら出来無い。しかし、災害時の連絡手段として衛星電話だけは繋がるのだそうです。親戚がたまたま仕事の関係で衛星電話を保有していた為に、直ぐに連絡を取ることが出来たそうです。また、日本青年会議所(JC)でも日頃から積極的に活動を行っていた事が幸いし、仲間の連携によって翌日には地元に辿り着く事が出来た。幸い、社員も家族も無事だったため、すぐに救援活動に入り、役所の手が回らない避難所の炊き出しや、より被害の大きかった石巻の復興支援などに走り回る毎日。そして、一日でも早く普通の生活に戻したいと、4ヶ月後には店舗も復旧再開。お客さんが来るような状況では無かったが、とにかくその都度「今やるべき事は何か?」と考え、生かされていることの使命を果たすべく尽力して来た。

震災から2年が経過し、現段階で言える事は、遅々として復興が進んでいないという事。
まず、お上は全く役に立たない。意味不明な国家PJだけが予算が降りて、とんでもない防波堤計画が進んでいく。五輪開催決定も唖然とした。仮設住宅すらまともに供給されていないのに。まさに、お上には任せておけない、という状況。

もう、自分たちでやるしか無い、という「覚悟」を決めて、街の再開発事業を起ち上げ。
地権者の同意取り付けに帆走。どのような街にすべきか?歴史に学び、先人の知恵に学び、なぜ多くの神社が津波災害を免れているのか?といった事から、現代の街づくりが根本的に間違っている事など、実に多くのことに気付かされた。駅前に高層ビルを建ててしまえば街は死んでしまう。駅と神社を結ぶ街道を軸に、低層の門前横丁のような町並みにしたい。還元率が下がり、目先の収益性が問題となるが、民間企業のアイデアでなんとか成り立つスキームを検討している。特に年配地権者の反対が強かったが、我々の行う事業は「ご先祖様候補者」として次代に何を残せるか?という課題であり、目先の利益を追うことでは無いと説得に当たっている。なんとか8割以上の賛同を経て、準備組合設立に漕ぎ着けた。


矢部さんはとにかく熱い方ですが、ただ熱いだけでなく行動の伴ったアイデアマン。そして、ただひたすら「皆のために」動いている人。実際、矢部さんは周りのお陰で生かされている、という事に応え続ける事を自らの「覚悟」として定めている。本気という言葉では不十分。気持ちは変わる。しかし、覚悟は決めたらやり切る、という意味を持つ。親交の深い法隆寺のお坊さんに教わった言葉として、肝に銘じているそうです。

また、今後への教訓として意識すべきは、やはり「日頃から人間関係の構築」に取り組むこと。大災害は地域全体が一瞬にして同じ状況となるが、矢部さんが10年後しで築いてきた仲間達が、遠方から次々に支援に駆けつけてくれたお陰で、被災者だが救援側として動くことが出来たと仰っていました。

塩竈市の再開発は、なんとしてでも成功させ、周辺地域のモデルとなる事を目指している。住民が声を上げ、団結すれば実現できるんだ、という事を示していきたい。自給型の地域再生モデルとして、本当に期待したいと感じました。

災害時の備えとしての重要ポイントを最後にまとめておきます。

・衛星電話を拠点に配備しておく事は有効。(衛星電話からだと携帯にもアクセス可能)
・災害時、ガソリンは簡単に運べないので使えない。軽油で動く暖房器具、車が活躍する。
・各地域の歴史や先人の知恵を学ぶ。正しい環境形成のヒントが沢山!
・目先では無く、次世代に何を継承して行くか?が大事。
・頼れるものは人。必要な人には会いに行けば、通じるものは必ずある。
・日頃からの人間関係を広く深く作っていく。いざという時、顔が思い浮かぶ関係が重要
 
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