健康と食と医
271459 人工物質はなぜ体に悪いのか?
 
本田真吾 HP ( 壮年 香川 建築家 ) 12/12/20 AM02 【印刷用へ
例えば、合成調味料などの人工物質を使った食品は体に悪く、味噌などの自然食品は体にいいのはなぜなのか?この問いに対して、分析的若しくは化学的な説明がまことしやかに発表されています。しかし現段階では、この様な研究は、その他の科学分野に比べて圧倒的に後発であり、そのようなディーテールの分析があっているかどうかを判断できる原理すら曖昧です。そこで、その原理について、仮説を考えてみました。

まず、人間はなぜ、ある食べ物をおいしい?まずいと感じるのか?を考えてきます。市場経済の果ての物的な豊さ中で育った現代人は、おいしい、まずいなどの感覚を、嗜好の問題としてしか捉えられないようになっています。しかし、500万年もの間、自然外圧に適応してきた人類の歴史を振り返ると、適応の必要から生み出された機能だということがわかります。

例えば、塩辛いものが欲しい、甘いものが欲しいなどの感覚は、体が塩分や糖分を欲する状態にあるとき、自然にわきでてくるものです。それを食べるとおいしいと感じます。また、そうではない状態のときにそれを食べてもおいしいと思いません。つまり、体が必要としている食物を獲得する行動を取れるように、脳は不足した栄養素を含むものを、おいしいと感じそれを求める脳内物質を出しているのです。

人類は、その歴史の99.99%以上をこの感覚を頼りに生きてきました。これは、現在でも、大自然の中で暮らしたり、日々の雑念にとらわれずにこころの深いところから感じるように暮らしたりしていくと、自然に理解できる感覚です。そして、その感覚を使い、獲得した食物は、自然の食物だけであった時代が、同じくその歴史の99.99%以上を占めていたのです。

では、人工物質はどのように自然食品とことなるのでしょうか?

自然の食物は、生物であれ無生物であれ、それが形づくられるまでに時間がかかります。時間かかるというということは、大量に供給することが出来ません。だから、生き物を食するとき、ありがたいと思うのです。反対に、時間がかかり大量に生産できない食物は市場にのりません。

それに対して、人工物質は工業的に大量に作れば、価格は安くなるので、市場の商品としてはピッタリです。ところが、工業的な化学合成は、自然界の生物のそれと異なり、単純なものしか出来ません。これを『純度が高い』という言葉でごまかし、ありがたいものとして宣伝しているのです。また、純度が高い分、刺激性も高く、鈍感な人間でも反応しやすくなります。

ここで、人間は(生物も同じ)ある食物の味覚等を感じるとき、そのすべての構成要素を感じとっているわけではありません。その構成要素のうち、代表的な要素を中心に感じ取り、その他の要素はある意味何でも良いようになっているようです。そして、生物の体内合成などでできた食物だけを食する500万年もの歴史の中で、そして、代表的な味覚等の特性を感じて、食物を選択するだけで適応できるようになって来たのです。その前提は、食物はすべて生物などの働きによってできた自然物であったという条件があります。

ところが、人工物質は、この特性を狂わせる働きをします。例えば甘いという感覚を作り出す人工物質は、単純に化学的合成されたのもので、今まで人類が食してきた生物由来の食物などとはまったく無関係です。そして、刺激も強く微妙な差は無視され、代表的な味覚も人工物質のみで判断するようになります。その結果、それまで体が欲していた食物と同じ代表的な一部の味覚を刺激され、人類が適応してきた食と味覚の関係を無視した、食生活が始まるのです。

また、代表的な味覚だけで判断しているので、ただ嵩を増すだけの安く刺激のない人工物質を添加され、お腹がいっぱいになるけれども、体のためには何のいいこともない食生活を強要されることになるのです。例えば、人工物質まみれの食品を大量に取るため、豊かになったにもかかわらず栄養失調になるとか、反対に、刺激の強い人工物資と、刺激のない嵩を増すだけの劣悪で、ある栄養素だけが突出した食品の組み合わせで、肥満が急増するなどの現象が起きます。

戦後の経済成長とともに、がん・糖尿病などの成人病がふえていることも上記のような食生活の変化が関係しているのではないかと思います。そして、増加した病気の治療には、刺激性の高い人工物質の代表格のような『薬』を大量に使用するので、ますます体は変調をきたします。これでは、ただ市場での利益を上げるサイクルを強化するだけで、体にいいことは何もありません。

このように考えると、人類が適応過程で獲得してきた、重要な感覚機能を狂わせる人工物質を利用した擬似食品や薬の生産は、市場での利益の獲得を加速する一方で、自然外圧に適応してきた人類の体に大きなダメージを与え続けて来たと言えるのではないでしょうか?
 
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