農業
270543 農民の生活(3)
 
佐藤晴彦 ( 54 長野 会社員 ) 12/11/14 AM01 【印刷用へ
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■共同体としての村の生活
 村は、農民が肩寄せ合う封鎖的な生活共同体でもあった。領主が年貢を取り立てる単位として設定した行政的な集団とはちがった側面があった。家格、身分から田畑の所有にいたるまで、それぞれに異なる農家の集まりではあったが、互いに農業生産を共にする関係から、伝統と慣習の力が強く、その絆のなかで団結が保たれた。

 初期には一部の上層の村民が独占していた山林や、用水の利用権が次第に村中のものに解放されて、小農中心の生活共同体の性格を強めるのに役立った。それを村の入会地として平等に利用するために、立入期間や水の配分などについて、細かい規定を設ける必要が生まれた。入会に限らず、耕作その他の日常生活全般にわたって、「村極め」(村法)をつくり、それに違反したものには、軽いもので罰金、重いものでは「村八分」(絶交)や追放の制裁を加えた。
 農繁期には、地主や旧家に、子方の農民や小作人が手伝いをした。農民相互の間では、「結い」「もやい」「手間換え」などの労働力融通組織があり、冠婚葬祭も村中で助け合った。

 村の共同体的な慣行には、神道、仏教などの信仰に関するものも多く、その中心となったものが氏神、産土神の信仰である。いわゆる「鎮守さま」の信仰で、村人は生まれると「宮参り」の日から産土神の氏子となる。
 豊作、雨ごい、災難除けなど、村民の生活の重大事は「鎮守さま」に祈願し、一揆の相談も鎮守の境内が選ばれたようである。
 春秋の大祭は、村の最も重要な年中行事で、老若男女はこの時だけは、いっさいの苦労を忘れて、餅を搗(つ)き、赤飯を炊き、濁酒(ドブロク)を呑んで、草相撲、芝居、見世物をたのしんだ。
 
 これらのほかに、「講」をつくり、伊勢詣りをはじめ、全国の名山、霊場を交代で廻ったり、日待、月待に集まって飲食をともにすることも多かった。「講」には、頼母子講、無尽講など金銭を融通し合う相互扶助を目的とするものもあった。太陰暦に基づく数々の年中行事は、そのまま農業暦の役割を果たしていたのである。
(引用終わり)
 
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