市場は環境を守れない、社会を統合できない
269093 グローバル経済とはA〜労働者を殺すシステム
 
中村英起 ( 53 佐賀 会社員 ) 12/09/26 PM09 【印刷用へ
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■労働者を殺すシステム
国家が敗者となるのは、利益を生み出す企業が「住みやすい地」を求めてどんどん逃げて行って、失業した国民と一緒に置いてけぼりにされてしまうからである。

企業が出ていくので歳入が減る。しかし、失業者が増えるために歳出が増える。これが毎年繰り返されると、国家は累積債務を膨らませるだけ膨らませて、最後には破綻するしかなくなる。
破綻すればどうなるのか。その国の通貨は激安になって、労働者の賃金も激安になるのだ。
皮肉にも、そうなると多国籍企業が戻ってくる。しかし、賃金は昔と同じではない。奴隷的な安さで雇われる。

今、世界で起きているのがその流れだと言われれば、納得できるものもあるかもしれない。
ギリシャで何が起きているのか。イタリアで何が起きているのか。イギリスで何が起きているのか。底辺の賃金低下である。なぜ、そうなってしまったのか。
多国籍企業が、低コスト低賃金を求めてどんどん工場を中国に移設し、国内に残った企業は低賃金でも働く移民を雇うようになったからだ。

中流階級の働く場所が消えた。それで中流階級が没落し、暴動が起きやすい国になっていったのだ。
これは「ウォール街を占拠せよ運動」で荒れ始めたアメリカでも同様だ。多国籍企業が先進国の労働者を捨てて賃金の安い国に移動していったのだ。
だから、中流階級が没落してしまい、アメリカ政府は莫大な累積債務を抱えるようになってしまったのである。

アメリカが金融立国を選択したのは、グローバル経済の流れの中で高賃金のアメリカ人が雇えなくなったから多国籍企業が逃げていった結果である。グローバル経済は、労働者を殺すシステムだったのである。そして、その結果ゆえに国家も一緒に死ぬ。

■普通の労働者の数百倍もの利益
なぜ世界は不平等や格差が拡大したのか。それは企業が多国籍化して、国境を超えてしまったからだ。

それがどんどんエスカレートして、低賃金のところにしか居つかなくなった。だから、賃金の高い先進国が見捨てられて、先進国の人たちの賃金が下がり、不平等と格差が拡大していっている。
ボーダレスの世界になって利益を得たのは企業だ。だから、先進国の労働者はもう「働いても豊かになれない」のである。グローバル経済が続く限り、もはや豊かになれない。

賃金が上がりだすと、いきなり企業が労働者を捨てて海外に行ってしまうのだから、もう右肩上がりの賃金もなければ、終身雇用もない。
また、安い給料で固定されるので、豊かになれない。日本でも、アメリカでも、ユーロ圏でも、それが起きている。

「ワーキング・プア」の原点がここにある。先進国の国民は安定した職場を失ってしまったのだ。大企業は後進国に移転して利益を自国に持って帰らない。国籍まで捨ててしまっているのである。

その結果、どうなったのか。先進国で失業率が上がり、不況から脱出できなくなってしまったのだ。
インフレが起きず、むしろデフレが続いている。富は多国籍企業が内部留保して、大株主(企業オーナー)と、経営者(マネージャー)が富を分け合う。それは、労働者の数百倍もの利益であり、それが「選ばれし1%」の人たちになる。
だから、世界は通貨を刷りまくって先進国がインフレになるという見方よりも、グローバル経済が浸透して世界の富が平準化するまでデフレが続くのではないかという意見が出てきているのである。

ただし、国が破綻すれば通貨価値が超絶的に下落するのでハイパー・インフレに襲われる。しかし、破綻しなければ永遠にデフレで苦しめられる。
どちらがいいという問題ではない。突然死するか、苦しみながら死ぬかの違いだけで、どちらも悪いのは間違いない。

日本もまた、この流れに完全に巻き込まれている。その結果、多くの日本企業が賃金の高い日本人を目の敵にしてこのような方針を貫いているのである。

「日本人の賃金を下げよ。リストラせよ。雇うな」

(引用終わり)
 
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