子育てをどうする?
268474 「立腰教育」の良い点、足りない点
 
新聞会 12/09/08 PM11 【印刷用へ
心に青雲リンクより転載します。
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昨日のブログでちょっと触れた「立腰教育」について若干の紹介をしておきたい。
 立腰教育を発案したのは教育者・森信三(のぶぞう)である。
 森信三は、立腰は「人間に性根を入れる極秘伝」と言い、「この一事をわが子にしつけ得たら、親としてわが子への最大の贈り物といってよい」とも説いた。
 立腰とは、
 一 まず尻をウンと後に引く
 二 つぎに腰骨(お尻のやや上方)の中心をウンと前へ突き出す
 三 軽くアゴをひき、下腹に力を入れ、持続させる

 これは立っても座っても同じだ。
 立腰教育とは、腰骨をいつも立てて曲げないようにすることにより、自己の主体性の確立をはじめとした人間形成を実現する、となっている。
 どのくらい普及しているのかわからないが、全国の教育現場で実践され、多くの効果を上げているそうだ。

 『立腰教育入門』で紹介している効果は次のようなものである。

第一 精神が明晰になる。
 一、頭がはっきりして,何事にも一意専心できるようになる。
 二、判断力が明敏になり,実践的叡知が身に付いてくる。
 三、心が引き締まり,やる気が湧いてくる。
第二 主体性が確立する。
 一、集中力がつき,持続ができるようになる。
 二、進んで仕事に取り組み,積極的になる。
 三、逆境や重責にも耐える力が付き,実践力が身に付いてきた。
第三 健康になる。
 一、立腰による正姿によって,内臓のいびつな圧迫がなくなる。
 二、食欲不振がなくなり,身体が丈夫になる。
 三、動作が敏捷になり,気分が明るくなる。

 立腰教育の提唱者たちは、これを以下のように説明している。

 「猫背だと肺や内臓を圧迫します。肺を圧迫すれば空気が全身にいきわたりません。体はだるくなりますし、脳に酸素がいかなくなります。
 立腰をすれば、脳をはじめ、全身に酸素が送り込まれるわけですので、やる気になり、集中できます。しかも疲れにくいので、それが持続します。行動も俊敏になります。
 猫背で内臓を圧迫すれば、消化が悪くなります。立腰していれば、内臓は、それぞれの働きを最大限に行いますので、健康的になります。

 「心と体はつながっている」とは、日本人が学び伝えてきた英知ですが、身体や脳の働きが良くなれば、精神のバランスが良くなります。以前に編集後記で紹介されましたが、ある精神病院では、うつ病で入院する患者に姿勢を良くする時間を設けたところ、数分の1が劇的に改善したという実績もあるそうです。
 最初は立腰のための筋力がついていないためにツラいものですが、本当は、体に一番負担の少ない姿勢なのです。」
 
 これはこれで正しいと思うけれど現象論である。そして問題もないではないが、それは本稿の後半で書く。

〜中略〜 

 人気があったマンガで『ドラゴン桜』があった。箸にも棒にもかからない劣等生を東大に合格させる話だった。
 それに関連して「ドラゴン桜副読本16歳の教科書」という本の中に、塾講師の人が以下のように述懐しているという。

     *        *
〈数学が苦手な生徒は姿勢が悪い〉
 これは意外な話かもしれないけど、数学が苦手な生徒って姿勢が悪いんですよ。こんな姿勢では、数学にとって大切な「集中力」が生まれません。できる生徒は難しい問題が出てなかなか分からなくても、とりあえず前傾姿勢で机に向かっているんです。
 (略)それから「左手を使わない」という特徴もありますね。しっかりしたデータがあるわけじゃないけど、きっと両手を使うほうが脳が刺激されるんでしょうね。(略)だからぼくの塾では、まず姿勢です。姿勢を正しくすることから勉強は始まる。そして、実際 それだけで成績が伸びていく。数学に関していえば、もう間違いなく伸びます。これはいますぐ、誰にでもできる成績アップ術ですよ。足を組むのもダメ。基本原則は「体を左右対称にすること」です。

    *       *

 そのとおりなのであろう。つまりは猫背の姿勢はサルへの退行、もしくは「ヒト」レベルでしかないのだから、アタマが「人間」にならない。シャキッと背筋を伸ばし「立腰」をとれば、人間になれるからだ。
  
 〈数学が苦手な生徒は姿勢が悪い〉の記事のなかに足を組んで座るのはダメ、とあるが、よく電車のなかで足を組んで座っている人を見かけるが、たいていお尻を座席の奥に引き込めずに、前にずらしてだらしなく座っている。
 要はあれがサル的な姿勢なのだ。アタマが良くならない。
 電車に乗ったら、みなさんはぜひ立っても座っても、立腰を心がけると良いだろう。

 さて、立腰教育は森信三が若かりし頃に提唱したものであるが、戦前から戦後にかけての時代だった。そのころと現代の違いがあることに立腰教育の実践家たちは考えたことがあったろうか。
 それは子供の生活環境の違いである。
 昔は子供でも重いものを担ぎ、掃除をし…といった家事をやった。森信三は、そういうことが常識だった時代に、姿勢さえ正せばアタマが良くなると提唱したのである。当たり前だったから、ことさら言う必要がないと思っていたのだろう。

 だが、今の子供は重いものを持つとか、竹箒やハタキで掃除をすることがない。だから姿勢だけ良くしても、おそらくは森氏が提唱した時代ほどの成果があがってこなくなっているのではなかろうか。姿勢を正すことは、それはそれで良いのであるが、それだけでは現代は足りなくなっていると思わなければいけない。

 昔は子供だって百姓仕事をやり、はるばるデコボコ道を歩いて学校に通い、家事を手伝った。結構、子供なりに重労働だったが、それがなくなった。
 人間は直立したからアタマが良くなった、とは言ったが、それだけではない。手と足を独立的に使い、動物ならとうてい持てない重いものを持ったり、長い棒を操ったりできるようになった過程があったから「人間」になったのである。

 いわば人類が石器時代に努力してやったことを、昔の子供たちはやれていた。
 昔の子供はちゃんと人類が辿った「個体発生は系統発生をくり返す」をやっていた。だから姿勢の悪い子は「立腰」ですぐに成果があがったのであろう。
 今もし、立腰がなかなかできない子がいるとしたら、森信三が生きていた時代とは食べるものも違ってきていることも考えなければなるまい。例えば魚介類は養殖ものばかりになり、野菜も露地物が減った。そういう食べ物を今の子は食べるから、背筋がシャキッとしなくなるのではないか。

 背骨はシャキッと伸びてまっすぐにするだけではなく、しっかり強くあらねばならないのである。
 動物なら持てないはずの重いものを持ち、かつ振り回せるほどの実力が、背骨や手足に付いたからこそ、人間がアタマが良くなり、偉大な仕事を成し遂げることができるようになったのだ。

〜後略〜
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以上です。
 
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