経済破局は来るのか?
267853 世界の金融市場今後の行方-2
 
野田雄二 ( 51 大阪 営業 ) 12/08/20 PM10 【印刷用へ
日本経営合理化協会のホームページに、草野グローバルフロンティア(株)代表草野豊己氏による「世界の金融市場今後の行方」と題した記事が掲載されていましたので、過去1年分を要約して投稿します。後半の2012年2月から2012年8月までです。

第16話 債務削減の長く険しい道のり2012年02月29日リンク
 米リーマン・ブラザーズが経営破綻する1年半前、イングランド銀行は金融、企業、家計の民間部門と政府部門で債務が膨張し過ぎていると警鐘を鳴らしていた。結局、21世紀の世界の繁栄は、債務を増やし、債務で消費し、債務で投資する経済、つまり「レバレッジ」によってもたらされていたのだ。その時代は08年のリーマン破綻とともに終わり、債務を減らし、債務による消費や投資が縮小する「デレバレッジ」の時代に突入した。世界がデレバレッジの時代に突入して3年以上が経過し、最も債務削減が進んでいるのが米国だ。民間・政府を合わせた総債務残高は、08年に対GDP比で296%あったのが、11年には279%にまで減少した。一方、欧州各国では総債務残高がほぼ横ばいで推移し、ゴールはまだまだ先になる。日本の状況はより危うい。総債務残高は473%(08年)から512%(11年)へと、削減どころか拡大している。最大の理由は189%(08年)から226%(11年)へと大幅に増加した政府債務であり、日本のゴールはほとんど先が見えない。

第17話 20世紀モデルから抜け出せない日本2012年03月28日リンク
 日本の金融市場では昨年4月から続いていたこれまでの円高・株安トレンドが年明けとともに転換し、円安・株高傾向となった。これらのトレンド転換の背景を、市場に漂っていた暗雲が消えて投資家のリスク回避姿勢が後退し、リスク・オフがリスク・オンに転換したとする解説が一般的だ。しかし、この視点をリアルマネーからリスクマネーに移すとまったく正反対であることがわかる。リスクマネーの一時的なリスク・オフが終われば、円安・株高のトレンドも終わりを告げることになる。金融市場の制空権を握ったリスクマネーの動向を理解しないことには何もわからなくなった。

第18話 次は欧州の中央銀行リスクが表面化する2012年04月25日リンク
 ユーロ圏内の経済不均衡が拡大する中で、難しい舵取りを任せられているECBのドラギ総裁の頭を悩ませることになるのが、ユーロ参加国の中央銀行間で拡大する不均衡問題だ。欧州通貨統合前の域内決済は新しい統一決済制度、TARGET2に移行し、各国のユーロ建て「総合収支(経常収支+資本収支)」に赤字・黒字が出ても自動的にファイナンスされ、ユーロ参加国同士の中央銀行の間に当座貸越、当座借越(TARGET Balances)が常に形成されるようになった。TARGET2が完全導入された2008年5月以降、この不均衡が急速に拡大し始めた。今年2月のドイツのブンデスバンクの債権額は5,470億ユーロにまで膨らんでいる。もし、ギリシャなどの周辺国がユーロから離脱する事態となれば、ブンデスバンクの巨額損失は避けることができない。欧州では、積極的な財政政策の副作用としてソブリンリスクが浮上したが、今度は、非伝統的な金融政策の副作用として中央銀行リスクが表面化しようとしている。財政政策も金融政策もいよいよ限界が近づいてきた。

第19話 オリンピックと英国危機2012年06月20日リンク
 英国でエリザベス女王の即位60年の祝賀行事、ロンドン・オリンピック開幕と世界の注目を浴びるイベントが相次ぎ、英国国民はお祭りムード一色で舞い上がっている。しかし、首相官邸や国会議事堂周辺には重苦しい空気が流れている。英国の2012年第1四半期の英国のGDPは、0.2%減と2011年第4四半期の0.3減に続いて減少したからだ。英国景気は今や1970年代以来の二番底に陥っている。英国経済は以前にも増して輸出に依存度が高まっているがその半分はユーロ圏向けだ。金融では、PIIGS向けの英国銀行の融資残高は、2011年6月末で3500億ドルとGDPの15%にも達している。マッキンゼーの分析によると、2011年6月末で英国の公的債務に民間債務を加えた総債務はGDP比507%と米国の279%と比べて1.8倍にもなっている。部門別の債務では、金融は英国:219%、米国:40%となっており、米国と比べて突出した債務を抱える金融部門がユーロ危機の直撃を受けることになるのだ。 ロンドン・オリンピックは8月12日に閉幕し、秋の気配の中でお祭り騒ぎの高揚感も消えていく。そして、極寒の冬を迎える頃には、回避する術を失った英国が1930年代を上回る恐慌の真っ只中にいる可能性が高い。ユーロ危機の次は英国危機だ。

第20話 「財政の崖」と「金融の崖」2012年08月01日リンク
 昨年夏の米国連邦債務上限を巡る混乱が記憶に新しい。FRBのバーナンキ議長は「議会の反対で政府債務の上限引き上げに失敗すれば金融制度は大混乱に陥る」と警鐘を鳴らした。7月31日に債務上限の引き上げ幅は財政赤字削減額を超えてはならないことが原則で合意した。問題は2012年末までに財政赤字削減額が1.2兆ドルに達しないと自動的に歳出削減策を発動するトリガー条項が付いていることだ。「財政の崖」が迫り来る中で、オバマ大統領も議会も大統領選挙までは何の措置も講じようとしないばかりか、選挙結果次第では与野党の対立がさらに激化することにもなる。米国には2012年末にもうひとつの崖、「金融の崖」も迫りつつある。短期国債を長期国債に入れ替える「ツイストオペ」を12月末まで延長することを決めた。大統領選前に他の金融政策の決断を避けるために12月末としたようだが、バーナンキ議長が何度となく警告してきた「財政の崖」に「金融の崖」が同時に迫り来る事態となった。
 
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2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
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8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
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