暴走する悪徳エリートの所業
264129 なぜ、年金が崩壊したのか〜国に対する長期的な信頼性と年金
 
新聞会 12/05/13 PM08 【印刷用へ
武田邦彦のブログリンクより転載します。
---------------------------------------------------------
国が20才の学生に「老後のために年金に入りなさい」と呼びかけている。さまざまな意味でこの呼びかけに違和感を感じる人が多いだろう。私もその一人だ。

まず「老後のため」という言葉から受ける印象は、「自分の老後のため」という感じだが、すでに自分が積み立てて自分がもらう「積立型」の年金は崩壊すると言われているし、現在の年金は「賦課型」(若い人が、その年の老人に払う)であるとも言われている。でも、それさえハッキリしない。増税の議論では「社会保障と税の一体改革」のような表現が使われていて、この社会保障の中に年金が入っているのかも明らかではない。

ここで「積立型か賦課型かわからない」とか「社会保障の中に年金が入っているか明らかではない」と言っているのは「今の政府がどう言っているか」ではなく、20才の若者が45年先、あるいは50年先にどのような形で年金をもらうのか、それが「わからない」ということだ。どうせ、今の政府が言っていることを事細かに調べても、いつでもコロッと変わるから調べるだけの意味も無い。
 
もともと20才の若者で、まだ学校に行っているので収入がない人が「50年後にもらうかも知れない年金」を「親からもらったお小遣い」から払うのが適当なのか、それもよくわからない。しかもこれまでの状態で、「積立型」の年金では物価の値上がりや生活レベルの向上、それに杜撰な年金管理などから20才代に支払った年金はほぼゼロになってしまっている。
 
最初からゼロになりそうな年金を収入のない学生が意欲を持って納めるにはかなりの無理があるだろう。せめて学生には、1)支給年齢を約束する、2)支給が開始されたときに生活保護費より少しは高い年金が支払われる、3)年金から税金、介護保険料などを差し引かれない、4)20才で年金を払い始める時の約束(たとえば途中で新しい徴収金がでるなどが起こらない)を守る、ぐらいは必要だ。
 
ただ口で約束するだけではなく、20才の学生が納得するだけの根拠を示さなければならない。たとえば、日本の赤字国債、アメリカの膨大な赤字などが将来にわたって大きな通貨変動をもたらさないことなどについて合理的な説明と政策を示さなければならない。
 
現在の年金問題は「制度」の問題ではなく、1961年から始まった最初の試みが、1)社会保険庁の使い込み、2)社会保険庁の記載不足、3)焦げ付くことがわかっている融資先への融資、などによって800兆円の年金支給に対して、帳簿上200兆円しか資金がなく、さらに現実的には150兆円が回収不能で50兆円が残っているという現状をまずは説明して、それを克服する具体的な方法を提示するのが厚労省の役割である。
 
「いつからもらえるかわからない、どのぐらいもらえるかわからない、もらっても徴収されるかもしれない」といういい加減なことで「お金を払え」というのもおかしいし、第一、「働いている人が老人を支える」という「働いている人」に20才の学生(自分)が支えると言っても、親が年金世代のこともあり、その親からお金をもらって年金を払うのも奇妙だ。
・・・・・・・・・
日本人が新しい時代に夢見ることのできる制度=年金も、日本の政治家と官僚が「誠実で善良」でないことによって、かえって夢のない不安な将来を描くことになった。つまり、50年間にわたってお金を払い続けるというようなことが社会システムとしてできるためには、その前提として「政府が変わっても、社会が変化しても、約束は守ってくれる」という前提がなければならない。
 
しかし現在の日本政府(自民党時代も含めて)は、情勢の変化で不可能になったら簡単に約束を破って「仕方が無い」とか「無い袖は振れない」と言う。それでは50年間の年金をまじめに納める方がおかしいことになってしまう。
・・・・・・・・・
私は福島原発事故で、事故前には「原発からの被曝の限度は、外部内部をあせて1年1ミリ、10万年に1度の事故に限り1年5ミリまで認める」、「1キロ100ベクレル以上は核廃棄物。核廃棄物を処理するには途中で高いベクレルになったら、もっとも高いところを基準にする」、「1平方メートルあたり4万ベクレル以上のところは汚した人が直ちに除染する」と決まっていた「明文化されていた」のに、それを簡単に覆し、社会もマスコミも「政府が国民との約束をはたさなかった」ということに何の抵抗も見せなかった。
・・・・・・・・・
このことを私が重視したのは、「事故前に国民の間で約束したこと(法律)を、いとも簡単に政府が破るようでは年金も含めてほとんどの日本のシステムが崩壊する」と感じたからだ。年金のような長期間にわたる制度に対して信頼感がでるのは、システムの問題ではなく、政治家と官僚、それを監視する役割を持つマスコミが「誠実で善良」であるかどうかにかかっている。
----------------------------------------------------------
以上です。
 
  List
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_264129
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
349510 現実味を帯びてきた年金破綻 彗星 19/09/20 PM01
290728 年金は払わず、消費税はもっと上げて、死んでも税金を取る 岡本誠 14/05/29 PM00
280151 国民年金 ついに未納者全員の資産を差し押さえも ECHO 13/08/19 PM00
265278 年金:使い込んだから頼む 新聞会 12/06/10 PM07
264686 子どもに贈る国土〜年金のつけを贈る 新聞会 12/05/27 PM07
264216 御用学者が何故、こんなに蔓延るのか。武田邦彦氏 レオンロザ 12/05/16 AM00

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp