共認心理学:現代の精神病理
263899 薬を売るために病気はつくられる(1)
 
ばんび ( 23 京都 経理 ) 12/05/07 PM07 【印刷用へ
先日友人と雑誌を読んでいて、精神病自己診断チェックを軽い気持ちで一緒にやってみました。
すると、私はADHD(注意欠陥・多動性障害)の項目にかなり当てはまり、友人は「うつ病かも?お医者さんに相談を」となりました。
私はそんな製薬会社の策略に乗ってたまるかと思って軽く流したのですが、友人はどんどん不安そうな顔になり、「精神科に行こうかな」と言い出して…
「病は気からやで!!」と言い続けて何とかなだめましたが、改めて病気に対する恐怖につけこむ医療ビジネスの狡猾さに警戒を、と思いました。

レイ・モイニハン アラン・カッセルズ著『怖くて飲めない!― 薬を売るために病気はつくられる』の内容の要約を『センタリング呼吸法』(リンク)から引用します。

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 ▼健康な人を病人に仕立てる
 過剰な広告と、大衆受けをねらった「病気に対する認識を高める」キャンペーンが人々を不安に陥れ、健康な人々を病人に変えている。そのせいで、ささいな問題が重篤な疾患の色を呈してくる。ただの内気は社会不安障害の徴候とみなされ、月経前の精神的緊張は、月経前不機嫌性障害という精神疾患にされてしまう。ちょっとセックスに問題があれば性機能障害だといわれ、女性の体の自然な年齢的変化が、更年期障害と呼ばれるホルモン欠乏症となり、注意散漫な社員は成人型注意欠陥多動性障害(ADHD)と決めつけられる。病気になる「リスク」があるというだけで、立派な「病気」 にされてしまうので、いまでは健康な中年女性は骨粗しょう症という潜在性の骨疾患をもち、壮健な中年男性は生涯高コレステロールという病気を抱え込むことになる。
 多くの健康問題において、ごく一部の人々は、その病気で非常に苦しんでおり ― あるいは、その病気になるリスクがきわめて高く ― 的確な診断と強力な薬によって大きな恩恵を受ける。しかし、残りの比較的健康な大多数の人々の場合、病気のレッテルを貼られて薬を飲み始めると、たいへんやっかいで莫大な金がかかるばかりでなく、ときには致命的な副作用に苦しむことにもなりかねない。ところが、このような病人でない人々をターゲットに、新たな世界的市場がつくりあげられてきたのである。
 売り込みの震源はもちろんアメリカ合衆国だ。世界的巨大製薬会社の多くが米国に集まっており、本書で扱う事例もほとんどが米国の話である。米国の人口は世界人口の五パーセントにも満たないというのに、すでに処方薬の世界市場のほぼ五〇パーセントは米国が占めている。それにもかかわらず、米国内での薬の消費は、どこの国よりも急激に伸びており、たった六年でほぼ二倍に増加した。理由は薬の値段の急騰だけではなく、医師たちが率先してそうした薬を処方するようになっていることも大きいのである。

 ▼新しい病気をつくりだす
 ニューヨーク市の中心部、マンハッタンにオフィスをもつヴィンス・パリーはそうした世界的なマーケティングの最前線にいる。広告のエキスパートであるパリーは、現在、製薬会社と協力して新しい病気をつくりだすという、もっとも洗練された形の薬の売り込みを専門にしている。パリーは最近、「病気をブランド化する技術」という驚くべきタイトルの記事で、製薬会社がいかにして新たな病気を「つくりだそう」としているかを明らかにした。あまり知られていない医学的症状に新たにスポットライトをあてたり、古くからあった病気を定義しなおして別の病名をつけたり、まったく新しい機能障害をつくりだしたりするのである。バリーが個人的に気に入っているのは、勃起不全症、成人型注意欠陥多動性障害、月経前不機嫌性障害などだ。こうした病気についてはさまざまな意見が飛び交っており、そもそもこんな病気は存在しない、と言い切る研究者もいる。
 製薬会社のリーダーシップの下、バリーのような広告スペシャリストたちは、医療専門家と協力しあって、「病気や症状についての新しい見方をつくりだして」いる。重要な売り込み戦略のひとつは、よくある症状に対する人々の見方を変えることだという。つまり、「自然な過程」を医学的な問題にしてしまうのである。たとえば髪が薄くなる、しわ、性生活の衰えなどは、これまでなら、「困ったことだが、しかたがないとすませていた問題」だ。しかし、それを「医学的介入に値する」病気だと人々を「説得」するのである。
 マーケティング担当重役が机に向かって実際に病気の診断法の規則を作成しているわけではないが、定義を作成する立場にある人々に対して影響力を広げていることはたしかだ。現在、製薬業界はあたりまえのように重要な医学会議のスポンサーとなり、その場で病気の定義が討議され、新たな見解が発表される。セックスの問題があったら、それを直ちに性機能障害と定義すべきなのか、お腹の調子が悪かったら、それを深刻な医学的問題と考えるべきなのか、あるいは病気になりやすいかどうかを予測する多くの因子のなかからひとつだけを取り上げて、それを致命的疾患の徴候とみなすべきなのか ― そうしたことを決定する立場にある経験豊富な専門家たちが、薬を人々に売りつけようとしている会社から報酬を受け取っているのである。金を払ったからといって、影響力も買えるとは限らないが、多くの第三者の目からみると、医師たちと製薬会社は強く結びつきすぎているようにみえる。
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(2)につづく
 
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