健康と食と医
262940 添加物のカリスマ営業マンがその信念と誇りを転換させたワケ〜「家族には食べてほしくなかった」〜
 
三池晴与 ( 23 神奈川 会社員 ) 12/04/12 AM10 【印刷用へ
何種類もの添加物を使い分け、その売り上げでビルやドームが建つほどのヒット商品を出した、添加物のカリスマ営業マン。
かつてそう言われた著者は、信念と誇りを180度変え、今は添加物の危険性についての知見を広めています。

その転換のきっかけは、、、

***『食品の裏側』安部司より一部抜粋***

その日は長女の3回目の誕生日でした。
当時の私は絵に描いたようなモーレツサラリーマン。午前様が当たり前で、家で食事をすることもめっ
たになく、だからこそ娘の誕生日ぐらいは日頃の埋め合わせをしなければと、仕事を早々と切り上げ帰
宅しました。

食卓には妻が用意したご馳走が、所狭しと並んでいます。そのなかに、ミートボールの皿がありました。
可愛らしいミッキーマウスの楊枝がささったそれを、何気なく口に放り込んだ瞬間、私は凍りつきました。それはほかならぬ、私が開発したミートボールだつたのです。

(中略)

そのミートボールは、スーパーの特売用商品として、あるメーカーから依頼されて開発したものでし
た。発端はそのメーカーが、「端肉」を安く大量に仕入れてきたことでした。端肉というのは、牛の骨から削り取る、肉とも言えない部分。現在ではペットフードに利用されているものです。
このままではミンチにもならないし、味もない。しかしとにかく「牛肉」であることには間違いない。
しかも安い。
この「端肉」で何かつくれないか、と私に相談がきたのです。
元の状態では形はドロドロ。水っぽいし、味もなく、とても食べられるシロモノではありません。これを食べられるものにするにはどうしたらいいかーーーーそこが発想の出発点でした。

(中略)

この私の開発したミートボールは、売値が1パックたったの100円弱。そこまで安い値段設定がで
きた理由は、原価が20円か30円だったからです。
それは、発売を開始するやいなや、たちまち大ヒット商品となりました。
もう笑いが止まらないほど売れ行きがよく、そのメーカーはこの商品だけでビルが建ったと言われたほどです。ヒットの理由は子どもと主婦に受けたこと。それは開発当時からの狙いでした。

(中略)
「パパ、なんでそのミートボール、食べちゃいけないの?」
ミートボールの製造経緯に思いをはせていた私は、子どもたちの無邪気な声にはっと我に返りました。
「とにかくこれは食べちゃダメ、食べたらいかん!」
皿を取り上げ、説明にもならない説明をしながら、胸がつぶれる思いでした。


(中略)

このミートボールは、それまでの私にとって誇りでした。
本来なら使い道がなく廃棄されるようなものが食品として生きるのですから、環境にもやさしいし、1円でも安いものを求める主婦にとっては救いの神だとさえ思っていました。私が使った添加物は、国が認可したものばかりですから、食品産業の発展にも役立っているという自負もありました。

しかし、いまはっきりわかったのは、このミートボールは自分の子どもたちには食べてほしくないものだったということです。

ーー−そうだ、自分も、自分の家族も消費者だったのだ。
いままで自分は「つくる側」「売る側」の認識しかなかったけれども、自分は「買う側」の人間でもあ
るのだ。いまさらながらそう気づいたのです。

その夜、私は一睡もできませんでした。
添加物のセールスこそが自分の生涯の仕事と決め、日本一の添加物屋になってみせると意気込んでここまでやってきた。添加物で日本の新しい食文化を築こうと本気で考えていた。

しかし、自分の「生涯の仕事」は何かがおかしい。
なんのためらいもなく、添加物を売りさばくことしか頭になかった自分。営業成績が上がることをゲームのように楽しんでいた自分。職人の魂を売らせることに得意気になっていた自分……。
たとえは適切でないかもしれないが、軍事産業と同じだと思いました。人を殺傷する武器を売って懐を肥やす、あの「死の商人」たちと「同じ穴のむじな」ではないか。

このままでは畳の上では死ねないーーーそう思いました。

***

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