試験・身分制度の根深い害
261011 10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
 
岡田淳三郎 ( 70代 大阪 経営 ) 12/01/31 AM00 【印刷用へ
本来なら、新理論を構築するのは、学者をはじめとする専門家の役割である。ところが、今こそ近代観念に代わる新理論が求められているのに、誰も新理論の構築に向かおうとしない。それは何故か?
学者や評論家やマスコミ人=観念思考の専門家たちは、近代観念をメシの種にして生きているので、決して近代観念を捨てることは出来ない。もし捨てれば、たちまちその地位を追われてしまう。
しかし、潜在思念は流動しており、彼らも、新しい潮流と頭の中の近代観念との矛盾・対立を少しは感じているはずだが、一向にその矛盾を切開し根本追求に向かおうとしない。
それは、そもそも新しい潮流を掴む感度が著しく低下しているからだと考えられる。では、彼らは、人々の意識潮流=潜在思念を感取する力を、何故そこまで低下させてしまったのか?

人類は一貫して潜在思念(本能と共認機能)で現実を対象化してきた。言葉や文字が登場して以降も、それら観念に大きく規制されながらも、潜在思念発の現実思考があくまでも主役であった。ただ、文字を操る専門家は、現実から乖離した観念思考に嵌っていったが、それでも多くは、潜在思念発の観念思考に(≒健全な範囲内に)とどまっていた。
しかし、100年前に学校が出来、全国民が7〜18歳(今では22歳)まで、一律に観念教育を受けるようになると、観念回路が成長してゆく時期に植えつけられたこの一律の近代観念は社会共認となり、人々の意識を強く支配するに至る。同時に、試験制度が末端にまで浸透し、その結果、試験エリート=統合階級という身分が不動のものとして確立されてゆく。そして、この新たな身分制度が磐石なものとして確立されてゆくにつれて、統合階級の意識は大衆から離反してゆく。
中でも決定的だったのは、’70年以来(とりわけ’02年以降)、大衆が私権収束から脱して共認収束を強めてきたのに対して、あくまで私権収束を促す試験制度の勝者たる試験エリートたちの意識がどんどんエリート意識(=私権意識)に塗れてゆき、決定的に大衆とは逆行していったことである。その結果、試験エリートたる専門家たちの大半が、大衆の期待を深く感取することができなくなってしまった。

有史以来、求道者たちは、同類期待(=みんなの期待)を深く感取し、それを自らの課題として根本から徹底的な追求を重ねることによって、新観念を生み出してきた。しかし、現代の専門家=試験エリートは、子どもの頃から近代観念を植え付けられ、その上、同類期待も真っ当に感取できなくなっているので、かつての求道者のような本物の追求課題を持ち得ていない。
もし、同類期待を深く自らの課題として孕んだ本物の求道者なら、職業的専門家になると本物の課題を追求できなくなることは明らかなので、プロの道を選ばなかったはずである。従って、易々とプロの道を選んだ時点で、課題意識が著しく低下していることは明らかであり、専門家の99.9%は失格だと言えるだろう。従って彼らは、相変わらず近代観念に立脚したまま専ら細分化された専門領域での目先の追求か、矛盾を取り繕う詭弁の追求しか出来なくなり、新理論どころか誰も大理論(グランドセオリー)の構築に取り組もうとしなくなってしまった。それが、新理論が登場してこない究極の原因(「自分」観念に毒されていない者も含めて、誰も新理論を生み出せない理由)であり、全ては学校制度と試験制度の所為である。

観念思考者たちが、根本追求に向かわない(=近代観念に代わる新理論の構築に向かわない)原因は、もう一つある。
先に述べたように、人類は同類圧力だけが現実を形成する全く新しい時代を迎えたが、人類はこれまで専ら自然圧力を対象とし、同類圧力(主に期待)をテコにして観念機能を形成してきたし、私権時代も飢餓の圧力→私権圧力を前提とした同類圧力(主に闘争)を追求力の源泉としてきた。従って、同類圧力のみを対象とし源泉とする観念思考は、経験したことがない。
例えば、受験勉強のような私権圧力でしか観念追求したことがない人には、同類圧力のみを源泉とする観念追求は出来ない(そもそも追求する気になれない)のかもしれない。試験エリートたる専門家や「自分」観念に囚われた観念病者などは、その典型だろう。
しかし、ほぼ同類圧力のみを源泉とし、対象として期応収束⇒課題収束してきた世代なら、仲間期待発で観念追求することは、充分可能なはずである。その意味では、何よりまず、私権発から同類発へ(=自分発からみんな発へ)の意識の切り替えが求められている。
 
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