西欧科学は狂っている
260402 西洋における自然観の変遷A社会秩序の崩壊によって形骸化した自然観(ソフィスト、ソクラテスの時代)
 
山澤貴志 ( 46 鹿児島 ITコンサル ) 12/01/11 AM01 【印刷用へ
農業生産から生産力を拡大していく段階では自然が追求の第一対象であり、人間関係もそれに包摂される形で追求されてきたのですが、国家間の争いが激化するにつれて、知識人の役割も形骸化し、詭弁を弄して相手を論破するだけの存在となります。そして皮肉屋=ソクラテスの登場によって、自然を頂点としてつくられていた秩序への確信は完全に消し去られてしまったのでした。

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「ノモス(人為)によって定められた多くの正義は自然と対立する。」「それは一方においてはノモスによって定められた自然の絆であるが、他面においては自然からの離脱である」(ソフィストの一人アンティフォーンの言葉)、彼らからみれば実社会のノモスは、すべて相対的なものであり、たとえば法的正義にしても強者の利益以上のものと考える必要はないのです。もはや人間社会の諸問題を真の存在たる自然との厳しい緊張のなかでとらえるのではなく、真理は高いところに祭り上げてしまい、仮象に過ぎない人間社会だけに眼を向けるというやり方で、古い自然的存在論を堕落したかたちで保持しつづけようとしたのがソフィストたちの立場だったといえましょう。

しかしソクラテスには国家とか人間社会を成りゆきに任せてよいものだとは思われなかった。そうはいっても彼自身がそれに代わる新たな原理、新たな存在論を持ち出してきたわけではなさそうです。ソクラテスの使命は、そうした新たな原理が登場するための舞台の大掃除をすることにあったのであり、彼の無限否定性としてのアイロニーとは、まさしくそのための武器だったのです。

※木田元 「反哲学史」より引用

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