歴史データ
260353 神秘的な讖緯説(しんいせつ)が古代日本の正史を解明する!?2
 
彗星 ( 中年 ) 12/01/09 PM07 【印刷用へ
[heuristic ways]のサイトより、『讖緯説(しんいせつ)について(リンク)』紹介します。
---------------------------------1より
 ところで、「讖緯説的な暗示」というのは、たとえば次のようなことである。
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 このようにアジアに大変革のあった三八六年、土王は高句麗の太子になったわけだが、「高句麗本紀」の三八六年条には次のようにみえる。「春正月、王子談徳を立てて太子となす。秋八月、王は兵を発して南に百済を伐す。冬十月、桃李花咲く。牛が八本の足、二本の尾を持つ馬を生んだ」
 当時、中国では春咲くはずの桃や李が季節はずれの冬に咲くのは、臣下が専横な陰謀を企んでいる時に現れる天変地異の象と考えられていた。つまり国王に危機が迫っているという讖緯説(政治的予言)的な表現である。また家畜がその種でないものを生むのは姓の違う者が後継者になるという表象と考えられている。このことから、この条で王子の談徳は王の子ではなく簒奪者であることを「高句麗本紀」は暗示させているのである。
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 氏は、「一二世紀完成の『三国史記』が後世の史料とはいえ、『記紀』と同じように、三国の王統と日本との外交交渉を讖緯説的に表現して、暗示にとどめていること以外、きわめて正確な史料であることもわかった」という。問題は、讖緯説的表現が具体的に「何を」暗示しているのかという点だが、時として小林氏の推定は「恣意的な解釈」ではないかと思える場合もある。ただし、小林氏も「わからない」ことは「わからない」と言い、独自の解釈や判断については「私見では」と断っている。氏のような仮説をとらない場合は、日本の古代史はもっと「わからない」ことだらけになる(学問的にはここで禁欲するのが順当なのかもしれないが)。小林氏の仮説は、むげに否定したり却下するには、あまりにも魅力的であり刺激的なのである。

 ところで、思い返してみると、韓国の歴史ドラマも、「讖緯説的な暗示」を取り入れているものがある。
 たとえば『大祚栄(テジョヨン)』では、七世紀半ば、高句麗と唐の激闘中に、将軍テ・ジュンサンの息子が生まれたとき、安市城に赤い流星が落ちる。「流星が落ちた日に生まれた男の子は将来、帝王になる」という言い伝えのため、王位を簒奪する謀反人になる可能性があるとして、赤ん坊(テ・ジョヨン)は生まれてすぐに命を狙われることになる(結局、ヨンゲソムン将軍の奴婢として成長することになるが)。
 また、『太祖王建(ワンゴン)』では、新羅末期の高僧トソン大師が、松嶽(ソンアク)から帝王になる子が生まれると、松嶽の豪商ワン・リュンに予言し(これは讖緯説というより、風水地理説に基づく政治的予言だが)、ワン・リュンはわが子ワン・ゴンに幼い頃から徹底して英才教育をたたき込んでいく。より讖緯説的なのは、新羅のキョンムン王と側室の間に弓裔(クンイェ)が生まれたとき、後宮に虹色の瑞気が現れたというくだりだろう。そのほか、クンイェが後高句麗(高麗)を建国して国内を巡行中、内苑のチョンガンのもとに、(名前は失念したが)何かの植物に別の植物の実がなったという異変の情報が入るというくだりもあった(そのときに生まれた子どもが後にワンゴンの忠実な臣下となる、というナレーションが入る)。

 讖緯説についてネットで調べると、たとえばこちら(リンク)には、「中国で、前漢から後漢にかけて流行した未来予言説。讖は未来を占って予言した文、緯は経書の神秘的解釈の意で、自然現象を人間界の出来事と結びつけ、政治社会の未来動向を呪術的に説いたもの。日本にも奈良時代に伝わり、後世まで大きな影響を与えた」という説明がある。
 西嶋定生『秦漢帝国――中国古代帝国の興亡』(講談社学術文庫、1997年)を見ると、第六章の二「儒家思想と讖緯説」という節がある。
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 讖緯説とは、自然の変化を説明する陰陽五行思想によって未来を予言するものである。讖(しん)と緯(い)とは、もともと別個の概念であった。讖とは、符命(ふめい)とか符図(ふと)ともよばれ、自然現象そのもの、もしくは自然現象によって出現した文字であり、それは未来を予言する内容をもつものであった。それゆえ、これを符讖(ふしん)あるいは図讖(としん)ともいった。
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*****************************************引用
 緯書とは経書に対していわれる用語である。儒家の古典である経書は儒家思想の大綱を示すものであるが、それだけでは宇宙の真理を説明することはできない。経とはたていとであり、これに緯すなわちよこいとを組み合わせて織物ができるように、経書に対して緯書というものがあってこそ、はじめて真理は完全に説明できることになる。そして、経書に真理の大綱が述べられているとすれば、それが未来の国家・社会にいかに現れるかということは、緯書で示されなければならない。
*****************************************終り
 西嶋氏によれば、儒家思想の性格は本来「尚古主義的」であり、「新しい権威をその教義によって是認するということは、体質的にきわめて困難であった」。そして、「儒家はその古典である五経(易・詩・書・礼・春秋)の各種異本を調べてみても、皇帝支配を正当なものとして説明する論理を発見することはできなかった」。この難問に対して新しい論拠を提供したのが讖緯説だったという。
*****************************************引用
 この讖緯説の内容が神秘主義であること、そして、これを儒家思想がとりいれたことにより、儒家はその教理として皇帝観念に接近することができるようになった。従来、儒家の君主観は王道思想であり、それは君主たるものの人格に備わっている徳によって人民を導くことを理想とし、このような徳が備わっているものを天が命じて天子とするものであった。しかし皇帝という君主は、その称号の起原が示すように(第一章第三節参照)、宇宙の主宰者である上帝が地上に出現したものであり、絶対的な権威の保持者である。この絶対的権威の根源は神秘的なものにほかならない。従来の儒家思想では、この神秘性を説明することができなかった。
 ところが、儒家が讖緯説をとりいれて神秘主義と結合すると、神秘的な権威である皇帝をこの讖緯説によって肯定することができるようになった。
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