日本を守るのに、右も左もない
258604 TPP「交渉参加表明」とロックフェラージュニア・キッシンジャーの来日
 
山澤貴志 ( 46 鹿児島 ITコンサル ) 11/11/13 AM02 【印刷用へ
野田首相が「交渉参加表明」を行った。前後して、ロックフェラージュニア夫妻、キッシンジャーが来日し、キッシンジャーと野田は面談した。キッシンジャーはグローバリストかつ米中による2極体制を目指すG2派であり、米中対立を演出するCSISのグリーンやアーミテージ、ナイといった軍産利権派とは志向性が異なる。しかし、このキッシンジャーが来日したということの意味は、G2路線がうまくいかない場合をアメリカが想定して、アメリカ主導のブロック経済化にグローバリスト・キッシンジャーも舵を切ったことの表れだと、中田安彦氏は分析する。

もっと単純に、中国から見切られたアメリカが日本にすがるしかなくなったということかもしれない。

以下、リンク より

************************

野田首相のTPP交渉に対する姿勢表明の会見を待つばかりとなった午後6時前後に首相官邸をヘンリー・キッシンジャーが突如訪問した。しかし野田首相はTPPに関する閣僚懇談会を開いていた。ここで、キッシンジャーは30分ほど官邸をウロウロして、番記者たちにその姿を印象づけたあとで、いったん官邸を去った。そして、午後8時から野田がTPPの交渉参加(「関係国との協議」「情報収集」と野田は表現したがこれは明らかに交渉参加表明である)の記者会見を20分にわたって行った後、8時45分から再び官邸に姿を見せたキッシンジャーと会見した。

キッシンジャーだけではなく、この数日間では、たくさんのジャパン・ハンドラーズが来日していた。まず、8日の日経新聞主催のシンポジウムでは、「安全保障マフィア」であるリチャード・アーミテージ、ジョゼフ・ナイ、ジョン・ハムレ、マイケル・グリーンといった米戦略国際問題研究所(CSIS)の対日震災復興タスクフォースのメンバーが来日した。相前後して、デイヴィッド・ロックフェラーの息子であり、現在は次期ロックフェラー財団の理事長に就任することが確定している金融投資家であり慈善活動家でもある、デイヴィッド・ロックフェラー・ジュニアが夫人のスーザンとともに来日した。デイヴィッド・ジュニアは石巻の漁業施設を視察した後で、参議院議員会館で議員らを前に閉会による講演会を開催した。この中では日米の震災後の経済連携、協力関係の重要性、人的交流の重要性を述べたのだろう。しかし、それだけで十分だ。分かる人にはわかる。

キッシンジャーは、パワーエリートでG2派の頭目だから、中国と地政学的な対立をする方向に誘導しているCSISのグリーンやアーミテージ、ナイの面々とは考え方が違う。しかし、グローバリストだから、アメリカの覇権を維持することには誰よりも関心がある。ナイたちとはアプローチが違う。キッシンジャーは「中国ロビイスト」だから世界はアメリカと中国の二極で管理するべきだと考えている。・・・キッシンジャーは世界経済が不透明感を深める中、米中の連携が重要である。つまり中国に米国債の買い支えと欧州への支援を要請しているわけだ。しかし、中国も頑強でなかなか欧州支援には同意しない。

そこでキッシンジャーは戦略家としていざというときの危機回避策として、日本とアジアをブロック経済に取り込むという方針でのTPP交渉の路線でもいいから、欧州発、アメリカ経由の金融危機再燃による長期デフレに対応できる経済圏の囲い込みを狙い始めたのだ。そのためには日本をTPPに参加させて、アメリカ企業の輸出先、提携先を確保すると共に、米国債を買い支える(円高に対する介入)ように日本政府を仕向けることにしたのだということが今日のキッシンジャーの動きを見て私には分かった。

アメリカはもともとピーターソン国際経済研究所のバーグステンが輸出を5年間で倍増させるという計画のもとでアメリカの経済復活を目指していた。これはG2の路線にも叶う。

TPP交渉は一歩間違えば、これまで何度も書いてきたように、日本自身が中国に対する地政学的な対立を深めていく道具の一つになりうる。経済状況は欧州危機から波及して悪化していく。アメリカは欧州債務危機の爆発に巻き込まれることを覚悟し始めている。傷を浅くするにはどうしても日本をTPPに引きこんでおくことが必要であった。

TPPには慎重であるべきだが、同時にアメリカ経済崩壊という現実がある。そして、それにもかかわらず野田首相は交渉参加の表明をしてしまった。奇しくも1929年ウォール街大暴落の前後に、太平洋問題調査会(IPR)というホノルルを拠点とするAPECの思想の前身となる組織の京都会合が開かれ、そこで日本の金解禁が決まってゆき、ここから日本経済へのアメリカ経済への「貢ぎ」が始まったのである。金融経済の不安定化と世界権力政治の不安定化がシンクロし始めている。ロックフェラー帝国は断末魔をあげている。アメリカ経済に対する危機認識が必要である。アメリカはかなり深刻な状態だ。キッシンジャーの行動からそれがわかるように思う。
 
  List
  この記事は 258446 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_258604
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
262419 TPP・,ユーラシア経済同盟、自由貿易圏という名の縄張り戦略 yooten 12/03/23 PM11
世界の闇の支配勢力から日本の支配史を読み解く 【ロックフェラーメモ@1859〜1914:石油産業独占→アメリカ支配へ】 「金貸しは、国家を相手に金を貸す」 11/12/30 PM07
258937 日本がTPPに参加すれば、医療負担がとんでもない事になる可能性がある たっぴ 11/11/23 PM09
258862 TPP参加は、アメリカと中国のどちらと手を結ぶかが問われている 西村真治 11/11/20 PM11

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp