日本人と縄文体質
258302 10/30なんでや劇場4 民の「お上捨象」とお上の「民の生活第一」という日本人の特異な体質
 
冨田彰男 ( 48 兵庫 経営管理 ) 11/11/04 AM00 【印刷用へ
引き続き、実現論・序の研修会の要約です。

●では、形骸化しても尚、王が残るのは何故か?

根本的には大衆の安定期待がある。そこそこ生活できている状況では王権の転覆など誰も期待しておらず、大衆の期待がない以上、官僚たちが反乱を起こす大義名分が生れない。むしろ、王の世代交代の度におきる無用な権力争いを避けるには、王を世襲化したほうが良い。
それに、もしクーデターを起こせば官僚だけではなく教団勢力や武装勢力も掌握しなければならず、その上、必ず成功するという保証も無い。そんな苦労をするよりも、王を奉っておいて、官僚機構の中で甘い汁を吸っていた方が得である。
このように、お飾りにすぎない王権が残り続けたのは、直接的には楽して旨い汁が吸えるという官僚たちの思惑もあるが、根本的には、大衆の安定期待が統合秩序の維持=王権の継承を当然化させたからである。

●このケースは欧州や中国には当てはまるが、日本ではどうか?

奈良・平安時代から日本の庶民たちは支配階級のことはどうでもよいと捨象してきた。
日本の庶民は縄文体質(受け入れ体質)であるが、長年中国に服属することでその地位を保ってきた朝鮮の支配階級は悪しき力の原理が骨身に染み付いており、上にはとことん隷従し下にはとことん横暴に振舞うという最悪の支配体質であった。その後の朝鮮における両班と呼ばれる支配階級が中国や朝鮮国王には屈従する一方で、大衆からはエゲツナイ収奪を繰り返したことからもそれは伺える。

悪しき力の原理主義者である朝鮮発の支配者と縄文人の体質は水と油である。従って、縄文人は朝鮮から渡来してきた支配者を表面上は「お上」として奉りながら、心の底では「自分たちとは無関係なもの」として捨象してきた。つまり、日本人のお上意識とは正確には、お上を捨象する意識なのである。

その後の鎌倉〜江戸時代の武士階級は縄文的な土着性を強く残していたが、この武士政権も基本的にお上(天皇家や公家)を捨象した。ただ政権を担う正当性を確保する必要から、天皇にお墨付きを出させたにすぎない。

他方、朝鮮から来た支配階級にとって、縄文人は信じられないくらい素直で従順であり、ほとんど戦争をすることなく、支配体制が受け入れられていった。世界の常識では当たり前の、力の原理に物を言わせて従わせるということが、縄文体質の世界では全く不要なのである。これは世界的に見ても極めて特異なことである。すると、支配階級の側も力で制圧するのではなく、縄文人たちと仲良くやった方が得→庶民の生活が第一という意識が形成されてゆく。このように「みんなのため」「民の生活第一」という発想が日本の支配階級の間で形成されたのも、庶民大衆が縄文体質だったからである。
(実際、幕末に日本にやってきた西欧人が、江戸城の生活が実に質素なことに驚いているが、これも日本の支配者が「民の生活第一」であり、民からの収奪がさほど大きくなかったことの傍証である。)

庶民は「お上捨象」で、支配者は「民の生活第一」という世界でも稀な特異な体質が下にも上にも形成されたのは、日本人の縄文体質(受け入れ体質)の結果である。
そして、日本の天皇家が存続してきたのは、上も下も秩序安定期待が第一で、天皇家を奉っておくのが、秩序安定上最も無難だったからである。
 
  List
  この記事は 258265 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_258302
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
第3部 「庶民が作り出したお上意識」〜お上意識の醸成過程 「縄文と古代文明を探求しよう!」 12/01/20 AM00
10/30なんでや劇場レポート(3)〜民の「お上捨象」とお上の「民の生活第一」という日本人の特異な体質〜 「日本を守るのに右も左もない」 11/12/15 AM08
シリーズ「日本人はいつモノを考え始めるのか」〜プロローグ 「縄文と古代文明を探求しよう!」 11/11/20 PM10
258504 中世〜近代、日本の中産階級はなぜ市民革命に走らなかったのか 山田孝治 11/11/10 PM07
258326 10/30なんでや劇場5 東洋では共同体が残存していたがために教団支配にならなかった 冨田彰男 11/11/05 AM00

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

「合同板」必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、47年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp