脳回路と駆動物質
256625 幻覚のメカニズム
 
安藤太地 ( 32 埼玉 ) 11/09/10 AM10 【印刷用へ
沖縄のユタや青森のイタコ、ネイティブインディアンの呪術師などシャーマンと呼ばれる人達は幻覚見て、その後悟りを開いたように覚醒していく。
幻覚を見る過程は、歌や踊りや修行によってトランス状態を作り出す場合、薬草を使う場合、そして巫病(ふびょう)と呼ばれる精神疾患を経験する場合などがある。
幻覚を見ている時、脳内ではどのような働きが見られるのだろうか?

メキシコのある原住民は古くから、宗教儀式や民間医療の際にシロシベと呼ばれるキノコを用いて、幻覚症状を作り出してきた。この幻覚キノコの成分を調べ、幻覚のメカニズムを推測したチューリッヒ大学のフランツ・フォレワイダー博士の説を紹介したいと思う。

***

幻覚キノコを食べた人の脳を調べると、新しい脳である前頭葉と古い脳である視床で活動が高まっていた。視床は体から脳に入ってくる情報のほとんどすべてが通る情報の関所である。
たとえば、視覚情報は視床を通って視覚野に向かい、そこから前頭葉へ送られる。
通常であれば、記憶や経験による判断が加えられ再度視床にフィードバックされ、視床はその判断に基づいて外部情報からの情報を取捨選択している。つまり、大量の情報が脳内入り込むのを防ぎ、安定化装置(フィルター)としての役割を視床が担っていることになる。

ところが、幻覚キノコを食べると、脳内の安定化装置がゆるんでしまう。幻覚キノコの成分であるシロシンやシロシピンは、脳内の神経伝達物質セロトニンと分子構造が似ているため、セロトニン・レセプターとよく結合する。
シロシンやシロシビンが前頭葉のセロトニンレセプターと結合すると、前頭葉から視床に送り返されていた情報が途絶えてしまう。すると、関所である視床の働きが弱まり、外部からの情報がとめどなく脳内に送られてしまう。それに加えて、脳内に蓄積されていた、ふだんは意識しない無意識の内部情報までが前頭葉に流れ込んでくる。
これらの大量の情報幻覚を引き起こす原因と考えられている。

***

おそらく大量の外部情報(自然現象など)と古い記憶(自身の体験や先祖の記憶など)が結びついて、人と自然の中間的存在である精霊や自然状態ではありえない現象を認識すると考えられる。

このように考えると、たとえば修行や巫病による精神異常を経験した者が、ある瞬間に幻覚を見る理由が見えてくる。
なんらかのストレスを受け脳内セロトニン(又はセロトニンレセプター)が減少した場合、うつや不眠、不安な感情が生じると考えられているが、この状態が続くと脳内でその不全状態を解消すべく安定化の逆作用が働き、セロトニンが過剰分泌され(又はセロトニンレセプターの数が過剰に増加)、一気に幻覚症状まで到達するのではないだろうか?

また、女性は男性の52%しか脳内セロトニンがなく、さらに生理前や更年期による女性ホルモンの変化により脳内セロトニンが少なくなると考えられている。そのため何らかの環境変化を受けた時に、不全状態に陥りやすく、その不全を解消すべくシャーマンへと覚醒していく割合が多いのではないかと推測できる。

さらに現在的な見方をすれば、3.11以後急激に予言・予知という人知を超えたものに対する関心が高まったのは、社会不安の高まりとその不安を解消すべく、脳内セロトニンの分泌によって脳内の安定装置がゆるみ、外部情報に対する感受性の高まりと脳内に蓄積されている無意識が顕在化し、新たな可能性を模索していることが要因なのかもしれない。

参考文献:NHKサイエンススペシャル:驚異の小宇宙・人体U・脳と心「果てしなき脳宇宙」
 
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