市場の支配構造
256538 金貸し支配の終焉、ワシントンコンセンサスでは解決できないユーロ危機
 
レオンロザ ( 中南米 ) 11/09/08 AM02 【印刷用へ
国家債務の破綻状況に陥った国家に対して、国際金融機関(IMFや世銀)が、緊急融資により救済する一方、その国家に超緊縮政策を強制し、返済原資を生み出させる方法が、ワシントンコンセンサスと呼ばれます。90年代までの国家破綻が、途上国中心であったので、超緊縮政策を弱者である途上国に押し付ける事ができたのです。

しかし、ギリシャは、ユーロ加盟という立派な先進国家であり、超緊縮政策の強制が必ずしも貫徹できていません。

金貸し達、IMF・ECB・ECの強制力が、ギリシャ国民とギリシャの左派政権の抵抗にあって貫徹できないのが、現在のユーロ危機再浮上の背景です。

その状況を最近のロイター記事で確認してみます。

ギリシャは行動すると確信、時間ほとんどない=ECB総裁
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以下引用・・・・

[パリ5日ロイター]トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁は5日、欧州連合(EU)・国際通貨基金(IMF)によるギリシャ支援計画を順調に進めるために必要な決定をギリシャ政府が下すと確信しているものの、与えられた時間はほとんどないと指摘した。LCIテレビとのインタビューで語った。

EU・IMF・ECBのギリシャ調査団は2日、ギリシャの財政健全化が遅れている理由や遅れの程度をめぐる見解の対立から、同国政府との協議を中断した。

トリシェ総裁は、9月半ばにギリシャに戻る予定のEU・IMF・ECBの調査団はEU・IMFの支援計画を維持するために必要な決定をギリシャ政府が下せるよう、時間的猶予を与えたと説明。

「現在の状況に必要な決定をギリシャ政府が下すための時間が極めて少ないことは明白」とした上で、「ギリシャ政府は趣旨を理解しており、目標の達成に向け必要なことを行う」と語った。

2011年の財政赤字が対国内総生産(GDP)比約8.1%になると見込んでいるギリシャは、予想よりも深刻なリセッション(景気後退)が財政健全化の遅れの原因としている。

・・・・引用終わり

ギリシャに一層の緊縮政策を求める「EU・IMF・ECBの調査団」が、ギリシャの抵抗にあって、交渉を中断したのです。

また、フィンランドは、ギリシャの民営化した事業資産を、ルクセンブルグに設立するEC組織に保有させ、それを担保にすることで、追加救済資金を負担するという主張をしています。
ユーロ圏域の兄弟国家として手助けするのではなく、担保がないと金を貸せないという主張です。

参考:フィンランド、ギリシャ資産の保有機関設立を提案=文書
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一方、国際金融機関の間でも、ギリシャ危機に対する内部対立が起っています。

欧州の銀行、2000億ユーロの資本不足も=IMF
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以下引用・・・・

[ブリュッセル31日ロイター]欧州の関係筋によると、国際通貨基金(IMF)は、欧州の銀行は総額2000億ユーロ(2870億ドル)の資本不足に陥る可能性があると推定している。

一方、英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙はこれについて、IMFの数字はミスリーディングだとして欧州の当局者から強い反発が出ていると伝えた。FTによると、2人の当局者は、2000億ユーロという数字は(欧州の銀行が保有する)ソブリン債の時価評価に伴う影響に関する一つの推測値にすぎないと指摘した。

IMFはこの分析について、9月下旬に行われるIMF・世銀会合前に、世界金融安定報告の中で公表する計画。

スペインのサルガド財務相は「IMFの見方は偏っている」とし、IMFは価格が上昇しているドイツ連邦債を考慮せずに、潜在的な損失だけを考えるという過ちを犯していると批判した。

・・・・引用終わり

ギリシャ危機への解決策が無いので、ユーロ圏の中央銀行であるECB(欧州中央銀行)とIMFの間の齟齬も出てきています。

今回のユーロ危機は、国際金融機関の「ワシントンコンセンサス」という方法が、事態の解決策になっていない事を示しています。
 
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