否定脳(旧観念)からの脱却
25592 「利己的な利益の効率的実現」という支配原理
 
阪本剛 HP ( 28 千葉 SE ) 02/03/04 PM06 【印刷用へ
 では、なぜ、市場は商品の価値を正当に評価できないのだろうか?

◆「利己的な利益の効率的実現」という支配原理

 まず、前提として、消費者の欲求自身、操作され、意図的に作り出されたものだということである。

 つまり、消費者の消費動向は、生産者や販売者によって左右されているのであり、商品開発や販売戦略に合致するよう、メディアによって意識的に誘導されている。

 ということは、そこで必要とされる能力は、消費者を、いかに自律性から目を背けさせ、その商品を買う気にさせるか、いわば「騙しのテクニック」とでもいうものに他ならない。

 ここで見いだされるのは、売れるものなら何でも作り、作られたものは何であれ売りつけようとすることだけである。
 従って、市場を支配しているのは、利己的な利益の効率的実現という、非道徳性でしかない。

◆功利主義の問題

 ここで問題となるのは、功利主義的な人間観である。

 功利主義的人間観の問題点は、すべての人間の行動原理を、個人的欲求の充足に置き、欲求充足を基本的に善として是認したことである。
 そして、各個人の欲求をいかに最大限実現するかが、個人にとっても社会にとっても、重視された。

 この功利主義思想から、個人の幸福追求は、他人のそれを妨げない限り、基本的に自由であり、権利であるという、近代社会の基本的原理が確立されることにつながる。

 この原理は、個人の立場に立つものであったが故に、人間の協同性は後景へ退けられてしまうことになる。

 すなわち、社会にとって必要なのは、個々人の欲求追求を妨げないことであって、法や制度はいかにその個人的自由を保障するかという観点からのみ考えられることになったのだ。



資料:武田一博「市場社会から共生社会へ」
 
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