では、市場では、商品はどのように評価されているのだろうか?
◆商品の価値はどう評価されているか
まず、商品の価値として現れるのは、それを生産する際に消費されるもののごく小部分(人間が支出した労働)だけであり、それ以外は外部不経済として一切除外され無視される。
つまり、生産された商品を使用・消費する人間が、その商品を使用するために負担するコストは、ただ単にそれを購入するために必要な貨幣だけでなく、実際には、それが生産され使用される中で生じる環境破壊、健康破壊のコスト全体を負担させられる。
さらに、社会全体をとってみても、その社会で生産された富の量は、その富の生産のために投じられた労働の量に等しくなく、その生産に付随する不経済のために支出される労働の量を含んでいる点でも不等価である。(たとえば、環境破壊や健康破壊が進行するほどGDPは増大する。)
また、この不等価性は、環境や人間の健康に配慮して行われた生産労働も、それらを容赦なく破壊しながら、一切それに対するコストも道義的責任も引き受けないで行われる生産活動も、市場メカニズムでは、完全に両者の質を捨象して、強引に等式化する形で現れる。
すなわち、後者の(破壊的、無責任的な)生産コスト=商品価格が前者(環境に配慮ある商品)より安上がりになる=市場で売れることによって、前者の労働の価値が、不当に低く評価されることになる。
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