民主主義と市民運動の正体
25562 自然法、基本的人権とは何か−1
 
岩井裕介 ( 29 山口 再開発プランナー ) 02/03/04 AM01 【印刷用へ
「基本的人権」という概念は、法や政治を語る際に、いまさら問うまでもない自明の言葉として用いられ、その根拠や出自についてほとんど何の吟味もなしに、ただ、なくてはならないもの、保証されるべきものとしてイメージされていることが多いように思いますが、私は、自然法、基本的人権といった概念は、その歴史的出自からしてきわめて怪しげなものであると考えています。拙い文章ですが、少しまとめてみましたので参考にしてください。


まず、中世スコラ神学・法学における「自然法」についてです。

キリスト教的な世界観において、「自然」という言葉は、すなわち「神によって造られたもの」という意味を持っており、したがって、そこには当然、神の法の支配が及んでいるものと理解されます。そこから、例えば、「自然法」と言えば、人間の理性によって理解された限りでの神の法、ということになるし、「自然状態」と言えば、神が人間を己の似姿に創造したときの、その本性に従って、素朴で正しい生活を営んでいる状態を指す、ということになっていました。

要するに、「自然」とはいうものの、現実の生活社会そのものを表すものではなく、神という絶対価値により根拠付けられ、その神の摂理によって秩序付けられた完全なる「観念世界」を表象しています。つまり、人間存在の根拠は「神」の一点に求められるという観念上の絶対性を有しています。

この時代には、まだ「人権」という概念はなかったのではないかと思いますが、現実の私権圧力や生存圧力といった、力の原理やどうしようもない圧力を伴った現実世界とは全く別の位相で、神を根拠に人間存在を位置付けていたと言う意味で、上記の中世キリスト教的な世界観は、人権思想の前身のようなものではないかと考えられます。

 
  List
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_25562
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
179593 基本的人権とは?(1)                            〜私権獲得こそ人間のあるべき姿?〜 ミルクマン 08/06/21 PM03
人権って何? 「なんで屋@奈良」 05/12/12 PM09
25563 自然法、基本的人権とは何か−2 岩井裕介 02/03/04 AM01

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
シベリアからの狩猟部族(替え刃式細石器)の渡来
2万年前に南からも移住していた
南からの海洋漁猟部族(磨製石器)
縄文と日本人論をめぐって 
縄文人と農耕技術
縄文ネットワーク
「五大文明(?)」
祈りの民アイヌ(1)
RES:縄文から「アイヌ」まで
円筒土器と石刃鏃@
縄文時代の豊かな色彩文化
西欧と日本の階層意識の違い
縄張り圧力ではなく期待・応望圧力
「倭」=「日本」であるという定説の嘘
【要約】『邪馬台国論争終結宣言』山形明郷著〜@古朝鮮はどこにあったか?
【要約】『邪馬台国論争終結宣言』山形明郷著〜A楽浪郡・帯方郡はどこにあったか?
大量渡来か少数渡来か(1)
大量渡来か少数渡来か(2)
渡来人の出自(2)
縄文・弥生論争への視点
弥生時代前夜の社会状況
村落共同体の自治の歴史
弥生の侵略闘争
居徳は弥生に突入していた
弥生の統合様式と私有意識
採取生産時代のまつり統合とその限界@
「支配者から見た属国意識」〜5、武士とは日本の支配史にとって何か
カタカムナに学ぶ 〜日本語は上古代人の認識が現代に残っている稀有な例〜
日本語の持つ力2

『るいネット』は、47年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp