実現論を塗り重ねてゆく
255007 【中国】匈奴の歴史・・(第一段階) 匈奴「帝国」前史
 
麻丘東出 ( 50 兵庫 環境コンサルタント ) 11/08/02 AM00 【印刷用へ
秦・燕・趙が最初に築き、始皇帝や前漢武帝が完成させた世界史的な大構造物「万里の長城」は、中原王朝の北方遊牧民に対する恐怖の産物として築かれた。
その代表が、前漢王朝をも目下に見る中国北方に形成された「匈奴帝国」。
その匈奴の歴史は、四つの段階に大まかに区分することができる。

※ ※ ※ 【第一段階・・匈奴「帝国」前史】 ※ ※ ※

◆紀元前四世紀頃・・戦国時代

この時代の中国は戦国時代であるが、この当時の北アジアの遊牧民は以下の分布状況にあった。

○匈奴の西方
当時最強の遊牧民で、現在の西トルキスタンからタムリ盆地のオアシス諸都市・モンゴリア西部・河西回廊に至る広大な地域を制圧していた「スキタイ系の月氏」、そしてその支配下にある烏孫。
○匈奴の東方
興安嶺山麓一体には「ツングース系の東胡」と呼ばれた遊牧狩猟民。
○匈奴の南方
オルドトス(河南)地方には白羊王(はくようおう)や楼煩王(ろうはんおう)の率いる遊牧民。
○匈奴の北方
北部モンゴリア(セレンゲ河流域)からバイカル湖一体にかけては「トルコ系の丁零(ていれい)」と呼ばれる狩猟遊牧民などが分布。

このような状況のなか、匈奴は、陰山山脈一体への進出を果たしてオルドトス(河南)をうかがい、秦・燕・趙との小競り合いを繰り返していた。
そして族長の頭曼(とうまん)に率いられていた当時の匈奴は、嫡子冒頓(ぼくとつ)を人質に差し出すなど(スキタイ系)月氏のゆるやかな支配を受けながらも一定の自立性を確保し、周辺の東胡・丁零・白羊・楼煩などと均衡関係にあった。

◆紀元前三世紀末・・秦による中国統一

上記の状況から、中国で最初の統一王朝である秦が樹立されると事態が一変する。始皇帝は周辺地域からの軍事的脅威を排除すべく、将軍蒙恬(もうてん)に三十万の大軍を与えて北方遊牧民への攻撃を開始する。
オルドトス地方の白羊王・楼煩王を服属させた後、陰山山脈一帯の匈奴へ攻撃を開始するに至る。

蒙恬の大軍に不利をさとった頭曼率いる匈奴は、いったん陰山山麓を捨てて、北方のゴビアルタイからハンガイ山麓へと根拠地を移動させる。
それに対し、本格的な騎馬部隊を欠いていた秦軍は、匈奴をこれ以上、北方に追撃することは不可能であった。
オルドトス・陰山山脈から退いた曼頭率いる匈奴は「漠北」で着実にその勢力を固めていく。

この時期が第一段階、匈奴「帝国」の前史に相当する。


(※)参考文献:「匈奴帝国」加藤謙一
 
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