子育てをどうする?
254508 『スポック博士の教育書』が現代子育てを崩壊させた
 
佐藤祥司 ( 壮年 設計 ) 11/07/18 PM00 【印刷用へ
戦後の教育書として多くの日本人が手にした『スポック博士の教育書』ですが、この書による影響が相当あるようです。

国際派日本人養成講座〜「日本人は確かに児童問題を解決している」と、明治初期に来日したモースは言った。
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以下、上記からの引用です。
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■1.「日本人は確かに児童問題を解決している」■

最近、親の子殺しや、いじめによる子どもの自殺といった痛ましいニュースが相次いで報道されているが、我々の先人は子育てをもっとうまくやっていたようだ。

明治初期の東京大学で生物学を講じたエドワード・S・モースは『日本その日その日』に、当時の日本の親子の姿をこう描
  いている。

世界中で日本ほど、子供が親切に取り扱われ、そして子供の為に深い注意が払われる国はない。ニコニコしている所から判断すると、子供達は朝から晩まで幸福であるらしい。彼等は朝早く学校へ行くか、家庭にいて両親を、その家の家庭内の仕事で手伝うか、父親と一緒に職業をしたり、店番をしたりする。彼等は満足して幸福そうに働き、私は今迄に、すねている子や、身体的の刑罰は見たことがない。・・・

小さな子供を一人家へ置いていくようなことは決してな い。彼等は母親か、より大きな子供の背中にくくりつけられて、とても愉快に乗り廻し、新鮮な空気を吸い、そして 行われつつあるもののすべてを見物する。日本人は確かに児童問題を解決している。また、日本人の母親程、辛抱強く、愛情に富み、子供につくす母親はいない。だが、日本に関する本は皆、この事を、くりかえして書いているから、 これは陳腐である。

それが、どうして現代日本のような有様になってしまったのか。旭川市で40年も小児科医として多くの子供や親と接してきた田下昌明氏は近著『真っ当な日本人の育て方』で、戦後アメリカから輸入されたジョン・デューイの教育思想やスポック博士の育児論が、現代日本の子育てを崩壊させてしまった事を、最新の母子関係の理論から説き明かしている。

そして、最新の育児理論の説くところは、日本の伝統的な子育てのあり方と驚くほど似通っているのである。

■2.反体制的な『スポック博士の育児書』■

『スポック博士の育児書』の日本語版が出たのは、昭和41(1966)年だった。全国の大学で学園紛争が広がる3年前であった。この本は『育児書』と銘打ちながら、反戦・平和、フェミニズムの擁護、資本主義への懐疑など政治的主張が書かれており、当時の反体制的雰囲気にアピールしたのである。

スポック博士の育児論は、ジョン・デューイの教育思想を具体化したものだが、デューイ自身がスターリン独裁化のソ連を旅して、浮浪児たちが収容学校で共産主義を叩き込まれる姿に感銘を受けるような人物だから、その思想的素性は推して知るべしなのである。[b]

『スポック博士の育児書』では、たとえば、次のような主張が  展開されている。

・育児にばかり集中はできない。・・・こどもも人間なら、親だって人間なのです。

・常識のある父親(あるいは母親)なら、自分を犠牲にしてまで、こどもにつき合おうとは、おもわないはず。

・3ヶ月になったら、・・・たとえば寝る時間がきたら、やさしく、しかしはっきりと、もう寝なければいけない。そして、お母さんはそばにいられない、ということをわからせ、すこしぐらい泣いていても、放っておきます。

・2才ぐらいになると、ひとりでベッドから出てきて、親のベッドへきたがる子です。こんなときは、・・・運動具店からバドミントンのネットを買っていらっしゃい。
・・・こどもを(ベッドに)入れたらネットをかぶせて、こどもの手のとどかないベッドの下で、数カ所を、これもテープか紐でスプリングにしっかり結びつけられるようにしておきます。

伝統的な育児法を権威主義的で親を縛るものとして否定しておいて、結局、「親が楽をしようと思ったとおりやってもいいんだ。子供は自然に育つ」と説いたのである。

■3.「母子は乳房と食物によって結ばれている」?■

スポック博士の育児論は、心理学者のシアーズらが主張した「依存理論」に依っていた。この理論は、母親が子どもにミルクや食べ物を与える事で、母子の絆が成り立つという、いかにも唯物的な見方である。

しかし、この依存理論は間違っていることを決定的に実証する実験が行われた。そこでは、生まれたばかりの子猿に、二つの人工的な「母親」を与えた。二つとも金網を筒状にしたものだが、一方は金網を露出したままで、ミルク瓶がつけられ、もう一方はミルク瓶はなしで、柔らかいタオル地で覆われた。

「母子は食物を与えることで結ばれる」という依存理論が正しいなら、子猿はミルク瓶のないタオル地の母親など見向きもしないはずだ。しかし、実験に用いた8匹の子猿全部が、タオル地の母親に一日平均15時間以上も接触し、ミルクをくれる金網の母親に一日1時間12分以上接触した子猿は一匹もいなかった。この実験から、子が母親に愛着を示すのは、食べ物ではなく、快適な接触であることが明らかになった。

(中略)

■9.母親への感謝と尊敬の念■

モースの言うように我々の先祖は「確かに児童問題を解決して」いたのである。それは、最新の育児理論から見ても、理に適ったものであった。その先人の知恵を見失って、スポック博士のような浅知恵に目を奪われた所から、現代日本の青少年問題が始まった。だから、それを解決するには、まずは先人の持っていた知恵に立ち返る所から始めれば良い。

 たとえば、3歳以下の乳幼児の保育園を作る事は、母子を分離して、「見捨てられた」と感ずる子供を量産することである。
そんな金があるなら、その分を乳幼児の母親が家庭で育児に専念できるよう、育児手当の充実に使った方が良い。専業主婦ならぬ、「専業母親」への支援策である。また、職業を持つ女性でも、出産後3年間は家庭で育児に専念した後、もとの職場に戻れるような制度づくりも有益だろう。

こうした経済的な支援策と共に、何よりも必要なのは、自らを犠牲にしても子供のために尽くす母親の尊さを国家社会全体で再認識することだろう。田下氏は言う。

 妊娠・出産・育児という一連の仕事は、その国(民族)の将来の根幹を育成することです。ですから、本来ならばそれを実践している女性は社会から称賛され、感謝と尊敬の念で見守られなければなりません。

 日本の子育て再建は、ここから始めるべきではないか。
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引用終了
 
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