実現論を塗り重ねてゆく
252117 中国交易史1 遊牧民が作った交易ルート
 
小暮 勇午 ( 30代 ) 11/05/28 AM01 【印刷用へ
■遊牧民と農耕民の関係

草原の遊牧民は、草原の道の南を走るユーラシアのオアシス路の定住民と接触、交易した。そのうち、最も日常的に行われたのは、オアシス定住民との交易である。遊牧民は、オアシス都市の農耕商業民との物資の交換によって、その生活をより豊かにした。遊牧民は、自らが生産する馬や畜産物を、オアシスの農耕商業民の生産する農産物などと交易したのである。この交易が不可能な場合は、武力による略奪を行った。

最も効果的な収奪方法は、オアシス都市に侵入し、オアシス定住民を征服・支配することだった。この場合も、オアシス定住民は、遊牧民の支配者に租税を納める代わりに、交易のための交通路の安全を保障してもらうという形で、互いの共生関係をつくった。こうしてオアシス諸都市間を繋ぐ交易路が発達していく。


■夏→殷→周時代

草原の遊牧民は、オアシス定住民とだけでなく、ユーラシア大陸の東西に発達した農耕都市文明社会とも盛んに接触・交流した。遊牧社会と農耕都市社会はとの関係は、平時は、対立闘争関係にあるよりも、密接な経済的共存関係にあった。農耕都市社会は、富の蓄積が進み、文明が発達すればするほど、馬や毛皮、羊毛、毛織物、肉、乳製品、金銀銅錫などの金属器、石材や玉などへの欠乏が高まった。遊牧社会の方でも、農耕都市社会が生産する穀物や絹織物などの手工業製品や塩などを必要とした。
こうして、遊牧地帯と農耕地帯の境界では、盛んに交易が行われるようになった。

しかし、モンゴル高原からカスピ海までを繋ぐ草原の道は、気候変動の影響を受けやすい地域でもある。そのため、寒冷化・乾燥化が進んで草原の道の生産力が下がると、草原の遊牧民はモンゴル高原から黄河流域に南下し、農耕民を征服・支配するという最も効果的な収奪方法を取ることになる。こうして黄河流域に誕生した国家が、夏→殷→周であった。

それまで黄河流域・長江流域には、仰韶文化や彭頭山文化を中心とする農耕文化が点在しており、盛んに交流していたが、夏→殷→周が規模を大きくするにしたがって、その交流ルートも初期古代国家の下に組み込まれていった。

☆遊牧民による農耕民からの収奪で、最も効率がいいのは征服支配。
☆遊牧民による農耕民支配は、お互いの共生関係でもあった。
☆夏→殷→周が、商業(交易)のために国家を作ったとは考えにくい。
☆但し、彼ら遊牧民は、そもそも交易民であり、遊牧⇔農耕の交易を重視していたのは間違いないだろう。

<参考・引用>
小林道憲「文明の交流史観」
小林多加士「海のアジア史」
海上交易の世界史リンク
 
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