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251527 自然放射線と人工放射線のちがい / 市川定夫氏
 
佐藤英幸 HP ( 48 新潟 塾長 ) 11/05/16 PM11 【印刷用へ
>今、福島原発から放出されている放射能は人工放射能であり、自然放射能とは異なる。人類を含む生物は長い進化の過程で、自然界に存在する放射能と折り合いをつけ、体内に蓄積しないようなメカニズムを作り上げてきた。だが、私たちの身体は、現在放出されている人工放射能に対処できる仕組みを備えていない。
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α線、β線、γ線など、線種による被ばくの違いの他に、同じ線種でも自然放射性物質と人工放射性物質では挙動が違うという説があるようです。


ムラサキツユクサの研究で知られる 市川 定夫氏の『環境学』より
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『■なぜ濃縮するのか
 この節の冒頭で触れた原子力の二つの間違った前提のうち、第二の前提、つまり「人工放射性核種も自然放射性核種も、生物や人体に対する影響は同じである」との前提も、この節で述べてきたように、やはり間違ったものであることが、ムラサキツユクサを用いた私たちの実験をきっかけに証明された。人工放射性核種には、生体内で著しく濃縮されるものが多く、それゆえ大きな体内被曝をもたらすという、自然放射性核種には見られない特質があったのである。したがって、問題は、当初考えられていた放出放射線の同異にではなく、環境中や生体内での放射性核種の挙動の差異にあった。
 それではなぜ、自然放射性核種と人工放射性核種が異なる挙動を示すのであろうか。それは、生物の進化と適応の過程と密接な関係をもっている(第1章の4参照)。
 この地球上には、生物が現れる以前から、自然放射性核種が存在していた。その代表的なものがカリウム40(カリウム40の放射能半減期は12億5,000万年であり、地球誕生時には、現在の16倍近く存在した)である。
 
(この部分に自然放射線の内訳がありますが省略)

 自然放射線のうち、体内被曝と、地殻からの体外被曝は、自然放射性核種からのものであるが、その大部分がカリウム40によるものである。カリウム40は、天然に存在するカリウムのうちの1万分の1強を占めており、この元素が環境中に多量存在し、生物にとって重要な元素であるから、カリウム40が否応なしに体内に入ってくる。しかし、カリウムの代謝は早く、どんな生物もカリウム濃度をほぼ一定に保つ機能をもっているため、カリウム40が体内に蓄積することはない。
 カリウムを早く代謝し、その体内濃度を一定に保つこうした生物の機能は、カリウム40が常に存在していたこの地球上で、生物が、その進化の過程で獲得してきた適応の結果なのである(カリウムを蓄積するような生物がかりに現れたとしても、蓄積部位の体内被曝が大きくなり、そのような生物は大きな不利を負うことになるから、進化の途上で淘汰されたであろう)。

(この部分にラドンの説明がありますが省略)

 これらカリウム40やラドンなど自然放射性核種と異なり、著しい生体濃縮を示す人工放射性核種は、いずれも自然界には放射性核種が存在しない元素のものである。
 たとえば、ヨウ素がそうである。天然のヨウ素は、その100%が非放射性であり、生物は、この非放射性のヨウ素に適応して、哺乳動物なら、それを甲状腺に選択的に集めて成長ホルモンをつくるのに活用する性質を獲得している(成長ホルモンをより多く必要とする若い個体ほど、甲状腺にヨウ素を速く集める)。また、ヨウ素は、海には豊富に存在するが、陸上には乏しいため、進化の途上で陸上に生息するようになった植物は、ヨウ素を効率よく高濃縮する性質を獲得してきている。つまり、現在の高等植物がヨウ素を空気中から体内に何百万倍にも濃縮したり、哺乳動物がヨウ素を甲状腺に集めるのは、いずれも天然の非放射性ヨウ素に適応した、みごとな能力なのである。
 ところが、人類が原子力によって、放射性ヨウ素をつくり出すと、進化の途上で獲得した、こうした貴重な適応が、たちまち悲しい宿命に一変し、その放射性ヨウ素をどんどん濃縮して、体内から大きな被曝を受けることになってしまうのである。
 ストロンチウムも同じである。この元素の自然界での存在量はわずかであるが、この元素と化学的性質が同じ(元素周期律表の同じ縦の列に属する元素は、共通の化学的性質をもち、同族元素と呼ばれる)カルシウムが大量に存在し、生物にとって重要な元素の一つとなっている。天然のカルシウムには放射性のものが存在せず、それゆえ生物は、この元素を積極的に取り込んで、骨、歯、鳥の卵殻、貝殻、エビやカニの甲羅などをつくっている。つまり、カルシウムをこれら組織に蓄積、濃縮するのである。このカルシウムと化学的性質が同じストロンチウムも、これら組織に沈着、濃縮される。したがって、原子力によってストロンチウム90をつくり出すと、28年という長い放射能半減期をもつこの人工放射性核種がこれら組織に沈着、濃縮されることになる。
 しかも、ストロンチウム90には、さらに3つの深刻な問題がある。その1つは、カルシウムやストロンチウムを蓄積、濃縮するこれら骨や歯などの組織の代謝が極めて遅いことであり、そのため、物理的半減期が長いだけでなく、生物学的半減期も長くなるのである。第2に、ストロンチウム90が放出する放射線がベータ線のみであり、そのため、骨に沈着、濃縮されると、骨髄などその近辺の組織に集中的な被曝をもたらすことになる。第3の問題は、この核種が崩壊するとイットリウム90という、この核種よりもはるかに強力なベータ線を放出する核種が生まれることであり、その放射能半減期が短い(2.69日(64.5時間))にもかかわらず、ストロンチウム90以上の吸収線量を与えるから、生物学的影響が大きく増幅されることになる。
 このように、人工放射性核種は、自然界になかったものであるため、生物をあざむき、生物が長大な進化の過程で築き上げてきた貴重な性質が、たちまち悲しい宿命に一変するのである。そして、このことこそが、原子力の最大の問題であった。』

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要点

■非放射性の天然カリウムは生物にとって重要元素

これと放射性のカリウム40(1万分の1存在)を峻別して代謝していく適応能を獲得。適応能≒代謝できなかった生物は淘汰された

■天然ヨウ素は100%非放射性であり成長に必要なので積極的に体内に蓄積

100%非放射性であるがゆえに、人工放射性物質のヨウ素を峻別できないので体内で濃縮

■カルシウムは骨や歯の材料になる重要元素

ストロンチウムはカルシウムと性質の良く似る同族元素であり、人工放射性物質のストロンチウム90は体内で蓄積され濃縮

さらにストロンチウム90の3つの問題点
@骨や歯の代謝は極めて遅く、生物学的半減期は長くなる
A出す放射線がβ線のみであり、骨髄などを集中被曝
Bストロンチウム90が崩壊するとさらに強力なβ線を放つイットリウム90になる

まとめのまとめ
人工放射性物質は代謝困難

とすれば放射線研究も線量や線種だけでは不十分
 
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