素人による創造
250561 神に代わった近代科学
 
井上宏 ( 40代 新潟 建築コンサル ) 11/04/29 PM10 【印刷用へ
近代は、“神が死んだ”時代といわれる。しかしその座に代わったのは"科学”という神だったようだ。その近代科学という神は、古代の神のように理想社会をもたらすというのではないかという幻想を人々にもたらす一方で、結果的には怒れる旧約聖書の神の如く、現実に人々を焼き殺す(近代兵器/原爆etc)ホロコーストをもたらし、エリートによる管理社会を与えたもうた。

その宗教に嵌れば嵌るほど、現実には、取り返しのつかない破滅的な様相をもたらしているのではないか?(その預言者ともいうべき存在が、金貸しの世界構想とシンクロするHG.ウェルズ)

KNブログ マンハッタン計画 リンク より
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・・・・以上が化学反応を利用した通常爆弾の様々なバリエーションですが、もちろん化学反応は軍事利用だけではなく、文明の発展のために平和的に利用もされてきました。特に19世紀後半から20世紀前半にかけては科学というものが人類にバラ色の未来をもたらすという幻想が純粋に信じられた時代で、そうした時代においてこうした爆弾類に代表されるおぞましい殺傷兵器が開発されていったのでした。

いや、自然科学だけにとどまらず、社会科学というものも同様な幻想を人類にもたらした時代でありました。何せ近代科学こそが神の王国を地上において実現する手段であると無邪気に信じられた時代なのですから、理想社会実現こそが社会科学の使命でありました。それが最初は帝国主義、次いで社会主義や共産主義に対する過度の幻想を生み、恒久平和や世界政府などという非現実的な妄想に動かされた人々がおぞましい圧政や抑圧を生み出し、二度にわたる悲惨な世界大戦を引き起こしたのでした。

そうした科学というカルトを信仰した時代の気分を象徴する人物にハーバート・ジョージ・ウェルズというイギリス人の小説家がいます。1896年に「タイム・マシン」という作品でデビューしたSF小説の父といわれる人物ですが、1946年に亡くなるまでに当時の最新の科学的知見に基づいた数多くの小説、思想書、エッセイを著し、国際ペンクラブ会長も務めたこの男は、現在のSF小説家のような軽い存在ではなく、唯物論や進化論、社会主義、進歩主義、理性万能主義を信奉する、この時代を代表する思想家、著述家でもあり、まさに科学や理性を神とする時代における預言者のような人間でありました。例えばウェルズは第一次大戦後、世界恒久平和のための「新世界秩序」というものを提唱するようになりましたが、これについて、第二次欧州大戦の勃発した1939年にはルーズベルトに書簡を幾らか送り、その後のルーズベルトの政策に大いに影響を与えています。また、日本国憲法、特にその9条の原案作成にも大きな影響を与えたとされています。

これは、ウェルズとルーズベルトの間に何らかの個人的関係があったなどという陰謀論めいた話ではなく、要するにウェルズがこの時代の大衆の空気を代表する存在であり、リードする存在であったということで、特に戦争が長引き悲惨な展開を見せるようになるにつれて、平和や協調、新しい世界秩序を求める声は強くなり、そうした大衆の思想傾向や気分というものは大衆政治家であるアメリカの政治家のルーズベルトやトルーマンなどにも自然に影響を与えることとなり、結果的にウェルズの思想とルーズベルトやトルーマンの行動とは共通の基盤の上に立ったものとなっていったということです。
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(引用以上)
 
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『科学はどこで道を誤ったのか?』(6)大航海時代(15c中〜17c中)〜戦争と市場拡大により発達した鉱業による、近代科学と生産関係の変化〜 「地球と気象・地震を考える」 12/01/06 PM10

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