暴走する悪徳エリートの所業
248831 3.11 後の原子力・エネルギー政策の方向性 ~二度と悲劇を繰り返さないための6戦略~A
 
志水誠 11/04/06 AM02 【印刷用へ
「3.11 後のエネルギー戦略ペーパー」No.2より転載 続き
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1. 原発震災の出口戦略
福島第一原発への対応は、地震発生直後の初動から3週間を経過した今日まで、「新しい事態発生→その場しのぎの対応→より深刻な新しい事態の発生」という状況が繰り返し進行してきた。
もはや、この史上最悪の原発事故となった事態の収拾には、年単位の期間を要することは確実で
あり、事態収拾後も百年単位での管理を要することも避けられない。そうした前提に立って、以下のとおり、具体的な対処方針を提案する。

@ 全権委任した「原発震災管理官」を任命し、統合的な危機管理・事故処理体制を構築東電原発震災の事故処理は長期化が必至であることから、現状のような官邸主導の体制では、戦略的な対応を迅速に取ることが困難であると考える。これまでの後手後手でドロ縄的に混乱した対応も、当事者である東京電力の対応のまずさや原子力安全・保安院の当事者意識や当事者能力の欠落に加えて、専門的な知見や経験を持たない政治家が前に出るかたちでの「政治家主導」が一因と思料される。規制官庁であるはずの原子力安全・保安院がモニタリングの体制をもたず、事故当事者の東京電力の発表データに全面的に依存し、分析も後手後手にまわっていることは、OECD 諸国から見れば信じ難い事態であろう。
 
 そこで、迅速かつ戦略的な危機管理と事故処理に即応するために、危機管理と戦略的な思考、現場への想像力を持った人物を「原発震災管理官(仮称)」に指名し、これに全権委任した上で、国(原子力安全・保安院、原子力安全委員会、日本原子力研究開発機構、自衛隊など)や民間機関(東京電力、東芝、日立、東京大学、東工大など)、国際機関や各国研究機関などの全面的な協力を得て、これを統括できる体制を構築する必要がある。
 
 また、国内外で広がっている不十分な情報開示への不満や不信は、そもそもガバナンスの
混乱が主な原因と思われるため、情報発信・管理についても「原発震災管理官」に一元化す
ることで、そうした不満へも徐々に対処できると考える。

A 異常事態終結に向けた石棺化への早期転換
 現時点(4月4日)では、1~3号機の炉心や3/4号機の使用済み燃料プールの冷却のためにポンプ車で水を注入しているが、溶融した炉心の熱で蒸発するほか、高濃度の放射能で汚染した水がタービン建屋や海洋に漏れ出ていることが発見された。その高濃度汚染水を取り除かないと全体の修復作業は不可能であるため、作業員が被曝限度いっぱいに被曝しながら、その高濃度汚染水を取り除く方向で検討されている。その汚染水の除去が成功してはじめて、通電による再循環ポンプ等の稼働試験ができるが、あれだけの大地震・大津波、そして相次いだ水素爆発や炉心溶融のあと、動作する見込みは乏しい。しかも汚染した冷却水が圧力容器と格納容器から漏洩しているおり、高い放射線量下での補修作業も見通しが立たない。

 このような中で、現状の施策を継続するままでは、いたずらに作業員の被曝を増大させ、放射能の汚染を拡大するだけであることから、当面の水注入はやむを得ないものの、早急に石棺方式へと出口戦略を転換する必要がある。ただし、未だに膨大な崩壊熱を持つ福島第一原発は、チェルノブイリ原発と同じコンクリートによる石棺処理は取れないため、除熱も可能な石棺化(金属閉じ込め、スラリー化など)を早期に研究開発する必要がある。これは、かつてどこにも知見のない措置であり、国際級の研究開発実証チームを必要とする。

 B 集中的・網羅的な広域放射能汚染モニタリングと予測シミュレーションの強化、広報周辺のモニタリング(空気、水、土壌、食品)を早期に拡充し、これをリアルタイムで情報提供するとともに、継続的に予測シミュレーションを行って、集団被曝線量を予防的に縮小
してゆく努力を行う。
 
 福島第一原発を中心とする 100km 内の広域に、オンラインのモニタリングポストを集中的
に設置して、網羅的なモニタリングを実施するとともに、周辺土壌へのフォールアウトや海水や地下水のサンプリング、上空大気の一定頻度でのサンプル採取、流通食品の検査など、網羅的・体系的に実施し、その予測値や影響可能性を含めて、広く国民に情報提供する。そのための人員や資材には、縦割り行政のために遊休化している文部科学省所管の原子力研究機関のものを充てる。

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Bに続く
 
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