市場は環境を守れない、社会を統合できない
248259 「命はほんとうに輝いている」〜元GE技術者・菊地洋一さん講演B
 
猛獣王S ( 不惑 東京 営業 ) 11/03/30 AM00 【印刷用へ
248258の続きです。
『元GE技術者・菊地洋一さん講演』(2003年3月31日 三重県海山町)リンクより転載します。
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●原発は今新しいものを造るより、古いもの壊す方が高い時代

ですから、原発を造って何がいいか。出来た後になったら、これずーっと事故の心配せないかんですよ。いつ事故が起きるかわからんですから。発電が終わった 後、どうするかという問題も残ります。まず、撤去することは不可能です。国は更地にして次の原発をまた造るような計画で、30 年前ぐらいは一生懸命いっていましたけれど、一つ壊してみればわかります。商業用の大きなプラントを壊すということは、経済的に不可能です。物凄くお金が 掛かりますから。今新しいもの造るより、古いもの壊す方が高い時代です。まして放射性廃棄物ですから、安全にそれを処分しようと思ったら、とんでもないお金が掛かります。その間にも公害がでます。

ここははっきり立ち場上いえるんですけれど、僕は推進派だったんですからね、こうだから安全だ、こうだからお金が入るからと、何かあって反対されたら、僕は原発を肯定することにかけては日本の企業に売りつけてきた人間ですから、今推進派がいっているようなことはもっと上手にいえます。原子力の安全性の多重防護の問題、いろんな事いえます。でも、そこに一つ落とし穴がある。何かといったら放射性廃棄物です。これに関しては、いずれ科学が解決してくれるだろうという楽観論です。でも、そんなことは簡単にはできません。

原発を肯定する人は被曝労働の実態を知りません。電力会社が見せる管理手帳だとか、放管といいますが放射線管理がいかに徹底していて安全かということしか いいません。だけど僕の知り合いでも、身内が被曝して死んだということを告白した推進派の建設会社の社長もいます。今更文句いっても電力会社が補償金払ってくれるわけでもないし、裁判で闘って金とるには時間がかかるし、いまでも東京電力の柏崎・刈羽の工場を請け負っているし、東海1号機からずーっとうちは 原発でやってきたんだ、今更反対できんと。反対したからといって、死んだ人間が帰ってくる訳でもない。従業員もいっぱい抱えている。だけど原発に代わるエ ネルギーがあるんなら、そっちの方をやるべきだといって、僕を励ましてくれた社長もいます。福島県で会いました。

●炉の中の仕事はきれいごとではすまない

推進する側の人は本当の原発の実態を知らなさすぎます。僕は原子炉の中の、配管と原子炉のつけ根、ノズル部分が折れそうになるようなヒビ割れが 360°入って、その補修工事をしました。まず炉内の洗浄をするわけなんですが、もちろん、そこに人間がいたら大変な被曝をするから、ちょっと離れたところから、長いノズルという棒の先から水がものすごい勢いで吹き出すようにしてやる。でも人間が放射能まみれの炉の中に入っていくことは確かです。

ですから燃料交換する炉の中に、鉄のゴンドラに人間を乗せて、それをクレーンで天井から吊って炉の中に下ろしてやります。そうして炉を洗いますが、水の反動でゴンドラが揺れるわけです。そうすると原子炉は直径6mもありませんから、半径3mもないわけです。非常に怖いんですね。だからどうやるかというと、上の方で人間が4人で四方からゴンドラを引っ張ってやるのです、フラフラしないように。そうやって原子炉についている放射能だらけの水垢を削り落とすような勢いで洗って下りていくのですけでど、そんな仕事やってみた人いますか、怖いですよ。

それが洗い終わってはじめて、赤い鉛の座布団がつながったような、あの病院でくれるつながった粉薬の袋みたいな、そんな鉛の綿が入った放射線を遮蔽するもので洗い終わった原子炉の壁を覆っていきます。赤いといっても普通の錆びた橙色に近いような色ですけれども、それを 360°被せましたら、はじめて鉄の遮蔽を組み込みます。その鉄の遮蔽を組み込んだ中に入って行くのも怖いです。だけどはじめは何にも無いところ、ものすごい放射線の中に人間が入っていって原子炉を洗う事から仕事が始まるんです。そういう事は外には絶対分かりません。

炉の中だけじゃなくそれを回すポンプの分解、修理、点検。その時は遮蔽も何も設けられません。ですからバイロンジャクソンというGEの下請会社で一番詳しい原子炉の開発者たち、ポンプメーカーの従業員はもう10年前、僕が働いていた時の人間はだれもいません。みんな被曝して嫌だから辞めていっています。

地元の人達が原発で働くというのは、まあ芝刈ったりとか、庭の手入れとか、その程度が多いですけど、いずれ原発の中で、定検作業で掃除なんかで入る人も出てくるかもしれない。他から来る人達がやっぱり被曝作業する。とにかく原発があったら被曝作業は避けられないのです。電力会社なんかは常に安全だと、管理しているから安全だということをいいまくります。だけどそれは僕のように原発の中で働いてきた人間、まして原子炉の中でも働いたことのある人間として、そんなきれいごとでは絶対に済まないということがはっきりいえます。

僕も白血球が急に倍くらいに増えて、子供がいるから非常に不安だったことがあります。まあ幸い10 日くらいで白血球が元に戻ってくれたので、また現場に入って仕事を続けましたけれども。それは僕は統括安全管理者として作業員の被曝線量を管理したり、安全性をちゃんと保つための責任者でしたから、入らないわけにはいかないから続けたんですけど、本当に苦しいもんですよ。家族がいたりして、そういう仕事せ にゃいかんというのは。それやらなかったら他の人達が被曝がどんどん増えるわけですから。マイナス面さえ隠しておいたら、原発って非常にいいように思えるんですよ。
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続く
 
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