地震・噴火・気象
248097 地震の発生メカニズム「熱移送説」の紹介(5)
 
新川啓一 ( 40代後半 神奈川 建築家 ) 11/03/28 AM02 【印刷用へ
地震の発生メカニズム「熱移送説」の紹介(5)です。

角田史雄氏著「地震の癖」の要約です。
※VE過程とは・・・・火山活動と地震活動が移動して行く様子のこと。
※HT線とは・・・・・マグマが活性化した「高温化域」の中でも、さらに最高温度に達した部分で、噴火に必要な条件(火山性ガスの増大)が揃った最前線のこと。
※スーパープリュームとは・・・高温のマントルが地球中心の外核から地球表面の地殻に向けて湧昇する通り道のこと。


■環太平洋のVE過程
スーパープリュームの動きから、高温化域と「HT線」が地下深部から湧き上がっている、つまり「VE過程は浮上している」と言うことが分かった。「VE過程」の浮上が過去にも繰り返し起きているかを調べるために、USGS(アメリカ地質調査所)の地震情報を検索したところ、スーパープリュームでは毎年M5.0より大きい深発地震が発生しており、高温化域の湧昇は繰り返し何回も起こっていたことがわかった。
そこで観測精度をそろえるため、USGSの地震情報が採られ始めた1972年から2年ごとに、「VE過程」が繰り返し起きているかについて追跡したところ、確かに2年に一度は「VE過程」の浮上と横への拡大が確認できた。

「VE過程」の強い区域(噴火が起きてM6.0以上の地震が連発しやすい区域)を図上で囲み、その長さと幅で「VE過程」の強弱を示してみた。スーパープリューム付近で湧昇してきたVE過程が強ければ、M6.0以上の地震が密集する上に、その区域は長く広くなるはず。
結果、1972年〜1994年のものは短くて細いのに対し、1995年〜2007年のものは長くて太くなっており、1995年以降、スーパープリューム付近での地震エネルギーレベルは高くなったと言える。


■同時多発性のVE過程
一年間の地震エネルギーの総量を求めてみると、1995年以降は地震エネルギーが急増した時期であることが分かった。また1997年〜2001年には環太平洋の東西両岸で数多くの噴火と大地震が同時に発生していた。
「同時」と言っても、スーパープリュームからの[HT線」は、アメリカ側へ向かう時期はやや早く、アジア側へ向かう時期はやや遅いという特徴がある。

「VE過程」を起こす熱はスーパープリュームから両岸へ移送されるが、「HT線」にはその進行方向が変わる時期があるらしい。地球の磁場を発生させる「ダイナモ」の回転方向が逆転すると言われているが、それとの関係を調べてみる必要がある。
「VE過程」は強まったり弱まったりしているが、その強弱は地震エネルギーの増減を示している可能性がある。

地震エネルギーの増減を定量的に表すため、期間と場所を決めそこで起こった地震をM7.0の地震の個数に換算してみた。
(換算はM6.0〜M9.0クラスの地震一つひとつで行い、それらを加算し任意の時期と地域の地震エネルギー量を求めた)
2年ごとの地震エネルギー量の増減をグラフにしたところ、1994年以降にスーパープリューム付近の地震発生場が広がり、かつ地震エネルギー量が急増していることが分かる。

一つの仮定として、スーパープリュームから湧き出すエネルギーと地震エネルギーは比例しているのではないか。
太平洋地域における噴火総数の増減は、スーパープリューム沸出口付近のVE過程の動きと合致しており、地震エネルギーは増えたり減ったりしているのではないか。
ただし、スーパープリュームからの地震エネルギーの移送ルート、地震エネルギーの溜まり方と発散の仕方などには地域差があるため、必ずしも全てが合うと言うわけではない。

Eに続く
 
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