地震・噴火・気象
248061 地震の発生メカニズム「熱移送説」の紹介(4)
 
匿名希望 11/03/27 PM08 【印刷用へ
引き続き、「熱移送説」の中身を紹介してゆきます。
角田氏の著書『地震の癖』より
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●地震と噴火のエネルギー

 ある地域の地震と噴火を引き起こす熱のエネルギーは、地震のエネルギーと噴火のエネルギーの合計で表せます。

 「マグニチュード(=M)」は地震のエネルギーを表す単位です。そしてM6.0の地震エネルギーは、広島型原爆の爆発力と同じ大きさです。そのエネルギーの32倍の大きさがM7.0となります。M6.5のエネルギーはM6.0の0.5×32=16倍なので、M6.0の16個分になります。つまり、M6.5の地震が2回起こるとM7.0が1回発生したのと同じエネルギー量になります。

 (※引用者注、M6とM6.5の間が16倍で、M6.5からM7の間が2倍というのは初歩的な間違い。マグニチュードは0.2上がるごとに約2倍になり、M6×2≒M6.2×2≒M6.4×2≒M6.6×2≒M6.8×2≒M7となり、M1上がると2の5乗=約32倍になります。正確に言うとマグニチュードが2上がると1000倍になるように設定されており、1上がると約31.62倍になります。)

 USGS(アメリカ地質調査所、発生日時は米国時間表記)や気象庁が発表した地震情報から、M6.0より大きい地震を抜き出して、1年間に発生した地震がM7.0の何個分に相当するかを計算します。これにより1年間に発生した地震がM7.0の何個分に相当するかを計算します。これにより1年間の地震エネルギーの総量が求められます。

 次に噴火のエネルギーを求めます。噴火は、まず地下で岩石層を破壊しつつ、押し上げます。ここまでは地震と同じ「仕事」をします。次に岩石層を押し破り、噴出物を吹き飛ばすという「後の仕事」が加わります。

 「後の仕事」は、噴出物の総質量と吹き飛ばした距離から運動エネルギーとして計算できます。全ての堆積物を求めることはできませんが、火山灰が広がった面積などから、だいたいの体積を求めて総質量を求めます。

 「後の仕事」が加わる分だけ、噴火のエネルギーは地震のエネルギーよりも大きくなります。本書では、以下、地震のエネルギーと噴火のエネルギー区別するため、地震エネルギーを「ME」、噴火エネルギーをMVと表記していきます。専門的すぎるので詳しい計算方法は割愛しますが、たとえば、世界最大規模の噴火であるMV9.0のエネルギーは、地震のエネルギーME9.5の1000倍にも達します。

 (※引用者注、マグニチュードはエネルギーの基本単位であるジュールに基づいています。ジュールを対数で表現した単位です。マグニチュード5は2×10の12乗ジュールのエネルギー量を表しています。地震も噴火もエネルギー量はジュールが原単位になりますので、地震のマグニチュードと噴火のマグニチュードで物差しが変わると言うのは、意味が不明です。)

●地震課程のエネルギー収支

 お金の出し入れが正しいかどうかを調べるためには、収支決算をします。同じように、地震が起こる前から終わった後までの課程を「地震現象」とすれば、その一連の過程のエネルギー収支はあっているはずです。

 地震のエネルギー収支が合っていれば、「その理論は、地震を正しく説明できている」ことになります。そこで、地震エネルギーの収支をきちんと説明できるのは、「熱」なのか「プレートの衝突力」なのかを比べてみましょう。

 地震が熱によるものならば、地球のどこでもエネルギー収支を計算できます。1回の大地震の発生に必要な熱量が「熱移送」されたとすると。「温度上昇」→「岩盤中に含まれる水の液体圧上昇」→「岩盤全体の体積膨張」→「高温体が大きく膨らむことで岩石が変形・破壊」という課程が進行するので、それぞれの課程でのエネルギー収支を計算できるからです。

(※引用者注、地震の原因が「熱」だと、なぜエネルギー収支が計算できるのか根拠が不明。地中に偏在する熱のどれだけが地震のエネルギーとなったか計算するのは、ほぼ不可能なように思われる)

 一方、地震がプレートの衝突力であるとすると、場所を限定しないと計算できません。とくに四川大地震のように「衝突力が及ばない黄河中流域で、なぜ巨大地震が多いのか」について説明できません。あのような巨大地震を起こすエネルギーがどこから生まれたのか不明だからです。これはつまり、「エネルギー収支があっていない」と言うことです。

(※引用者注、プレートが衝突するところ以外にも地殻を通じて力は伝わり、ひずみが蓄積することは十分に考えられる。)

 熱が原因だと考えれば、黄河中流域の地下は「温かい」所であるため、説明できます。熱が原因と考える「VE課程」ならば、地震が起きた場所なら、どんな場所でも説明することが可能になるのです。そもそも地震は必ず地下が高温から中温の場所でしか起こらないのですから。

 エネルギー収支の面から考えても、地震の原因はプレートではなく、熱であることがわかるのです。

●地震と噴火を引き起こすVE課程

 熱が移送される場所では、「VE課程」は、「地表から深いところか、浅いところか」、また「岩石が硬いところか、軟らかいところか」という環境条件に関係なく進行し、火山と地震の活動を発生させます。

 また、スーパープリュームでは、熱の流れは地球深部から浅部へと向かいます。

 一つの火山における「VE課程」では、マグマの移動に伴い、深い地震である「A型地震から」浅い地震である「B型地震」に移っています。つまり地震は、まず深いところで起き、次第に浅いところへ移っていくということが予想されます。

 スーパープリュームが実際に起こっている南太平洋でおきた地震を例に地震の発生した場所がどのように移動したか追跡しました。(スミソニアン自然史博物館のホームページで噴火年を、USGSのホームページで地震の発生順を検索)

 1994年から2002年までの「VE課程」の移動の様子を見ると、噴火と地震がペアとなってスーパープリュームの発生場所から西へ向かって移動しています。まるで噴火や地震が西に移動しているように見えます。これがまさしく「熱の通り道」で、マグマが次々と暴れ始めるルートなのです。

 この高温化域の最前線を「高温化線」と呼ぶことにします。

 高温化線が通り過ぎても、熱は運ばれてくるので、高温化域の温度はどんどんと高まります。もともと熱い火山の地下などは、真っ先に岩石を溶かす1000度以上の温度になるところも出てきます。

 1000度を超すような所ではマグマが溶けて火山ガスを発生させ噴火を誘発します。さらに最高温度に達した部分では噴火に必要な条件がそろってきます。この最高温度部分の最前線を「HT線」と呼ぶことにします。最高にホットという意味です。

 HT線もVE課程と同様にスーパープリュームの発生場所から浮上しつつ西に移動していることがわかります。
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(5)に続く
 
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328806 地震の『癖』に嵌りつつある日本列島?! 小圷敏文 17/08/15 AM00

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