地震・噴火・気象
248060 地震の発生メカニズム「熱移送説」の紹介(3)
 
匿名希望 ( 中年 会社員 ) 11/03/27 PM08 【印刷用へ
引き続き、「熱移送説」の中身を紹介してゆきます。
角田氏の著書『地震の癖』より
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●6億〜4億年前に太平洋はない
 最古の楯状地のまわりに、次々に花崗岩質マグマが噴出することで、大陸は拡大してきました。
 とくに10億〜7億年前の地層には、環太平洋全域にわたって、熱で焼かれて変質した変成岩と、切れたり曲がったりした地層が見つかっています。10億〜7億年前に、マグマの生産量が増えて高温化が起こり、岩石層は押し上げられて焼かれ、切れ、曲げられるような大変動が起こったと考えられます。
 この変動は、よく調べられた地域の名前をとって、「バイカル変動」と呼ばれています。このバイカル変動こそ、太平洋の土台の枠組みを決めた、といっても決して過言ではありません。

 土台の枠組みがつくられても、すぐに現在の太平洋という海の形になったわけではありません。しばらくは、海になったり陸になったり、という変化の連続でした。
 海底を掘ってみると、その時代ごとに海だったのか陸だったのかがわかります。
 海と陸を復元してみると、現在の太平洋にあたる海の姿は見当たらないのです。当時の古太平洋の姿は、いまの太平洋とはまったく違っていたということです。

●マグマ活動が太平洋をつくった
 地球誕生から30億年以上経つと、地球の「殻」で硬い部分が次第に厚くなってきます。地球の内部から噴出したマグマが次から次へと地表に現れては固められていったからです。その後半期の13億〜5億年前の時代に、そうした場所ではマグマが地殻を押し割れず、地表へ噴出することが難しくなったと予想されます。
 このころに粘っこい花崗岩質マグマが湧出してきています。花崗岩質マグマが湧昇することで、当時の地殻は押し上げられた可能性が高いといえます。
 数万平方キロメートル以上の海底や地面が盛り上がれば、広い古陸が太平洋域に現れても不思議ではありません。
 焼いたお餅の表面は、大きく膨らんだ後にひび割れができ、プシューと空気が抜けて凹みます。粘り気の少ない玄武岩質マグマは、押し上げ量はわずかですが、広大な盛り上がりを作ることが出来ます。
 その後、10億〜7億年前のバイカル変動のころに、大量の粘っこい花崗岩質マグマが地下から抜け出ています。このマグマは、地下にあるときは重い地殻を支えていました。しかし、それが噴出して支えがなくなれば、地面は下降し、海が広がっていくのです。

●地面を盛り上げた原因
 衛星からマイクロ波を発し、海底面から反射してくる時間を計測すれば、海底の凹凸を測定できます。この技術を使って画像化した映像を見ると、ニュージーランド−南西太平洋におけるミクロネシア一帯の海底の盛り上がりの様子がはっきりとわかります。
 1万平方キロメートルにもおよぶこの隆起域の一角には、スーパープリュームがあります。スーパープリュームによって、地下深部の高温物体が浮上して、地面を広く押し上げたのです。
 ミクロネシアの盛り上がりのすぐ東隣には、同じように海底の膨らみ(ダーウィン海膨)があり、いくつもの古い海底火山があります。
 南西太平洋では「ダーウィン海膨が盛り上がって沈んだ」という歴史的変遷の後、200万年前ごろから、スーパープリュームを含む地域が盛り上がったと推定できます。
 この二つの現象は、場所も隣接していて、規模も、でき方も似ていることから、ともにスーパープリュームの出口は、ダーウィン海膨あたりにあったことはまず間違いないと思います。

●三宅島の噴火とマグマの通り道
 マグマ・火山活動が「主犯」で、地震活動が「共犯」という関係が成り立っていると述べてきましたが、火山島である三宅島を例に、1990年代以降のその関係、「VE過程(火山活動と地震活動が連動して起こる一種のプロセスのこと)」を見ていきたいと思います。
 三宅島の1100キロメートル南に、海底火山である福徳岡ノ場があります。1973年から噴火活動が続いており、日本でもっとも活動的な火山のひとつです。噴火は、1999年からその北の硫黄島へと広がりましたが、その直後の2000年3月28日に、硫黄島近海で大地震(M7.9、震源の深さ128キロメートル)が起きました。
 三ヶ月後の2000年6月には、ついに「VE過程」が三宅島に達し、激しい噴火が始まりました。またこの間に、富士山帯の西方海域直下で、M5〜6クラスの深発地震が12回も起きました。
 その深発地震が起きた翌日から数日後、例外なく新島近海から三宅島付近で、火山性群発地震が発生しました。群発地震が頻繁になったのは、大地震以降です。
 三宅島の噴火の前に起きた火山性群発地震の過程は、三宅島の噴火を準備した「VE過程」と見ることができます。
 三宅島での噴火活動は、2000〜2003年がもっとも活発で、徐々に弱まっていきました。その後、北にある大島の三原山火山が活発化していきました。
 三宅島の噴火から大島の火山性群発地震への移動は、明らかに「VE過程」の主発生場の移動です。その移動ルートでは必ず地震が起こるので、「VE過程」の通り道には「割れ目」があるはずです。
 また、富士火山で低周波地震、2001から2002年には箱根火山で火山性の群発地震がそれぞれ発生しています。以上のことからも、この周辺の地下には「熱の通り道=『VE過程』の通り道」が存在していることがわかります。
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(4)に続く
 
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