環境破壊
247489 人は地震を起こせるのか?B
 
松下晃典 ( 31 広島 kozo大工 ) 11/03/19 PM09 【印刷用へ
Aのつづきです。

『地震学がよくわかる−誰も知らない地球のドラマ−(リンク)』
島村栄紀著(著書当時、北海道大学地震火山観測センター教授)

//////////////////以下引用//////////////////

 地球内部の研究をするためや、石油や鉱脈を見つけるために人工地震を起こすことがある。これらの人工地震は火薬を使ったり、圧搾空気を使って起こすのだが、ほんとうの地震を起こすわけではない。

 しかし図らずも人間が起こしてしまった、これらの「人造地震」は本物の地震だ。学問的には「誘発地震」という。世界各地ですでに七〇カ所以上で起きたことが知られている。この誘発地震の原因としては、廃液の地下投棄やダムのほか、鉱山、地熱利用、石油掘削、原油や天然ガスの採取、地下核爆発などがある。

 いままでに起きた最大の地震のマグニチュードは、ダムの地震では六を超えているが、そのほかの誘発地震ではもっと小さく、五を超えるものが知られている程度だ。地震の数からいえば、たいていのものは被害を起こさない程度の小さい地震である。

 だが、これには異説もある。米国カリフォル:アで起きたコアリンガ地震(一九八三年、マグニチュード六・五) は大油田の下で起きたかなりの地震で、その余震域は油田の広がりとほとんど一致している。原油の汲み出しによって地殻にかかる力が減った分とちょうど同じだけ地震のエネルギーが解放されて地震が起きたという報告もあり、この地震も人造地震ではなかったかと考えている地震学者もいる。

 しかし、これらの誘発地震については、まだ研究が進んでいない面が多い。たとえばヒマラヤ地方では、高さ二〇〇メートルを超える高いダムをはじめ、ほかのダムでも地震が起きているようには見えない。どこのどういうダムで地震が起きるのかは、まだほとんどわかっていないのである。

 地震は自然にも起きるものだから、起きた地震がダムのせいであったかどうか、議論が分かれている地震もある。たとえば、一九九三年にインド南部でマグニチュード六・二の地震が起きて、一万人もの死者と三万人もの負傷者を生んだことがある。約一〇キロメートル離れたところにできたダムからしみ込んでいった水が起こした地震ではなかったか、と考えている地震学者もいる。

 そのほか、ダムができてからすぐには地震が起きず、二〇年近くもたってから比較的大きな地震が起きた、エジプトのアスワンにあるハイダムのような例もある。このダムで貯水がはじまったのは一九六四年で、一九七八年に一七八メートルの水位に達したあと、一九八一年一一月にマグニチュード五・六の地震が起きたのだった。貯水開始後一七年もたってからである。
 エジプトの三〇〇〇年以上の歴史の中で、このあたりに地震が起きたことはない。たぶん史上初の地震を起こしてしまったのであろう。いずれにせよ、このエジプトのダムの例のように、水を溜めはじめてから、いつ、どのような地震が起きるのか、あるいは起きないのかには、まだ謎が多いのである。

 とくに日本のように、もともと地震活動が盛んなところでは、そもそも起きた地震が「自然に」起きたものか、「人造地震」かを見分けることが難しい。また、政府や電力会社は、この方面の研究を好まない。それがこの方面の研究が進まない理由になっている。しかし、世界のほかの国に起きていて、日本だけ起きないという理由はあるまい。

 人間が世界各地で行っている開発や生産活動は、これからも知らないあいだに、地震の引き金を引いてしまうかもしれないのである。

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