環境破壊
247481 人は地震を起こせるのか?@
 
松下晃典 ( 31 広島 kozo大工 ) 11/03/19 PM06 【印刷用へ
人は地震を起こせるのか?

『地震学がよくわかる−誰も知らない地球のドラマ−(リンク)』
島村栄紀氏(著書当時、北海道大学地震火山観測センター教授)
に実際に人が引き起こした地震の事例とそのメカニズムについて書いてあるので引用します。

//////////////////以下引用//////////////////
5 人間が起こした地震
(前略)

 もちろん、エネルギー的には、神はともかく、人間が大地震を起こせるわけではない。大地震のエネルギーは大きな発電所の何百年分もの発電量に相当するくらいだから、おいそれと人間がつくり出せるエネルギーではないからである。

 しかし、人間は間接的には地震を起こせないことはない。つまり、地震が起きそうなだけ地下にエネルギーが溜まっているときには、人為的な行為が地震の引き金を引くことはできるのだ。

 米国コロラド州のデンバーのすぐ北東で深い井戸を掘って、放射性の汚染水を捨てたことがある。米空軍が持つロッキー山脈兵器工場という軍需工場の廃液であった。それまでは地表にある貯水池に溜めて自然蒸発させていた。厄介ものの汚染水を処分するには自然蒸発よりははるかにいい思い付きだと思ってはじめたのに違いない。井戸の探さは三六七〇メートルもあった。大量の汚染水を捨てるために、圧力をかけて廃水を押し込みはじめた。
 この廃液処理をはじめたのは、一九六二の三月のことだ。三月中に約一万六〇〇〇トンもの排水が注入された。
 四月になって間もなく、意外なことが起きた。もともと一八八二年以来八〇年間も地震がまったくなかった場所なのに、地震が起きはじめたのだった。

 多くはマグニチュード四以下の小さな地震だったが、なかにはマグニチュード五を超えるけっこぅな大きさの地震まで起きた。マグニチュード五といえば、松代での群発地震(リンク)の最大の地震に近い大きさだ。もともと地震活動がごく低いところだから、生まれてから地震などは感じたこともない住民がびっくりするような地震であった。
 人々はこの工場での水の注入が地震を起こしていることに気づき、ちょっとした騒ぎになった。そこで、一九六三年九月いっぱいで、いったん廃棄を止めてみた。すると、一〇月からは地震は急減したのである。

 しかし、廃液処理という背に腹はかえられない状況がある。ちょうど一年後の一九六四年九月に注入を再開したところ、収まっていた地震が、突然再発した。

 そればかりではなかった。水の注入量を増やせば地震が増え、減らせば地震が減った。一九六五年の四月から九月までは注入量を増やし、最高では月に三万トンといままでの最高に達したが、地震の数も月に約九〇回と、いままででいちばん多くなった。水を注入することと、地震が起きることが密接に関係していることは確かだった。
 量だけではなく、注入する圧力とも関係があった。圧力は、時期によって自然に落下させたり、最高七〇気圧の水圧をかけて圧入するなど、いろいろな圧力をかけたが、圧力をかければかけるほど、地震の数が増えた。
 このまま注入を続ければ、やがて被害を生むような大きな地震が起きないとも限らない。このため地元の住民が騒ぎ出し、この廃液処理計画は一九六五年九月にストップせざるを得なかった。せっかくの厄介者の処理の名案も潰えてしまったのであった。
 地震はどうなっただろうか。一一月のはじめには、地震はなくなってしまったのであった。

 こうして、合計で六〇万トンという廃水を注入した「人造地震の実験」は終わった。誰が見ても、水を注入したことと、地震の発生の因果関係は明らかであった。

 地震の総数は約七〇〇、うち有感地震は七五回起きた。震源は井戸から半径一〇キロの範囲に広がり、震源の深さは一〇キロから二〇キロに及んだ。これは井戸の探さよりも数倍も深い。これは井戸かちまわりに水がしみ込んでいったためだろうと考えられている。

 では、水を人工的に地下に注入したときに、地下では何が起きていたのだろうか。十分正確にわかっているわけではないが、岩の中で歪みが溜まっていって地震が起きそうな状態になったとき、水や液体は岩と岩のあいだの摩擦を小さくして滑りやすくする。つまり地震を起こしやすくする働きをするらしい。いわば、地震の引き金を引いてしまったのである。

 つまり、人間が地下に圧入した水や液体が、岩盤の割れ目を伝わって井戸の底よりも深いところにまで達して、その先で地震の引き金を引いたのに違いないと考えられている。

(Aへつづく)
 
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