収束不全:やりたいことが見つからない
247374 こんな歯痒さは二度と味わいたくない
 
とも ( 24 滋賀 学生 ) 11/03/18 AM00 【印刷用へ
東北地方太平洋沖地震、それに伴う津波、そして福島第一原発の制御喪失と続く国難。現地以外に住む人々の大半は、マスコミから次々と流される悲壮感漂う報道に半ば心を病みながら、「何か出来ることはないか」という自問を繰り返すたびに、「(義捐金を送ることと節電をすること以外は)何もできない」という現実にぶち当たり、悶々とした歯痒さに苛まれている。

これほどの危機的な、また多くの人の力を必要とする状況に、なぜ「何もできない」などという事態が起こりうるのか?ここにこそ、文明時代に人類が犯した最大の過ちがある。

力の原理と富の分配によって、個々の自我を抑制し、集団を管理する、国家という社会システムが登場して以来、人々は徐々に「自らの生きる場を自らの手で創っていく」という生物としての根源的な能力を奪われてきた。それはまず、支配者が被支配者の力を削ぎ、秩序を維持するための富の収奪(徴税)として現れた。
中央に蓄積された富をめぐり、これを騙し合い、奪い合う事が一般化するようになると、市場というシステムが社会を覆い始める。「貨幣さえ獲得すれば何でもできる」という幻想(ニセの可能性)に取りつかれた人々は、自らの生存基盤を捨てて都市という空間に殺到し、これを拡大させ、「貨幣が無ければ何もできない」いわば市場の家畜と化してしまった。

生物あるいは生物集団にかかる外圧は、常に超越的なものとして存在する。時に甚大な被害を受けることは避けられない。だからこそ全ての生物は、自律的なミクロシステムが複層的に積み上げられたネットワーク様の構造を持ち、外圧に対する柔軟な復元を可能にしている。自給自足の共同体がネットワークを形作っていた人類原初の社会は、この生命原理の延長にあった。
しかし、現在の社会において、食糧・エネルギー・建築物といった生存基盤を復旧したり、あるいは人命を救助することはごく一部の人間にしかできない。自給自足の共同体であれば、被害を受けた同胞に対して余力(技術・人・物)を提供することもできるが、市場の家畜と化した人々にとってはせいぜい貨幣を提供するか、一部の人間に祈り、従う事が精一杯だ。ここに市場社会の脆弱性と多くの日本人が感じた歯痒さの根源がある。

地域分散電源(リンク)や市民皆農(235868)といった提言、あるいは農業への参入や共同体化という企業の在り方が注目されてきたのは、この事実と決して無縁ではないだろう。これらの流れが加速していけば、今回のような状況でも「何かできる」人は確実に増えていく。そういった意味で、震災復興の方向性に対する半答えは、すでに示されている。

今回の歯痒さを忘れないでいよう。私達が「自らの生きる場を自らの手で創っていく」、その能力を取り戻すために。そうすれば、一人一人が、一つ一つの集団が、どんな状況に対しても全うな役割を担う事が出来る、その様な社会の実現はそう遠くない。その時、日本は、また一つ、強い国になる。
 
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248001 Re.こんな歯痒さは二度と味わいたくない 匿名希望 11/03/26 PM11

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5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
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