原発
247131 みえない雲の向こうに視るべきものC〜原発の事故が起きたらどうする?
 
猛獣王S ( 不惑 東京 営業 ) 11/03/14 AM00 【印刷用へ
247130の続きです。
『みえない雲の向こうに視るべきもの』(<小出裕章>こいで・ひろあき:京都大学原子炉実験所)リンクより転載します。
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●原発の事故が起きたら、逃げることができるか?

地震は私たちが望むと望まないとのに拘わらず、突然に起こります。日本は世界一の地震国で、今、怖れなければならないのは東海地震です。東海地震の規模はマグニチュード8から8.5と推定されていて、そのエネルギーは広島原爆920発から5200発分に相当します。その東海地震の想定震源域の中心で、今、浜岡原発が動いています。国や電力会社は原子力発電所は絶対安全だと言い続けて来ましたが、事故は何度もおきてきました。その都度、彼らはいつも「予想を超えた事態であった」と言ってきました。広島原爆数千発が直下で炸裂してなお安全だといえる構造物があるはずがありませんし、そこに危険物があるかぎり、事故が起こるかもしれないことは覚悟しておかなければいけません。では、事故が起きた時、あなたは逃げられるでしょうか? 原子力発電所で事故が起きてしまえば、為す術はないと私は思います。それでも、急性死はあまりにも悲惨ですから、できることなら避けるべきでしょう。

●急性死から身を守るには

原子力発電所で事故が起きた場合、放射能は風に乗って流れてきます。被害を防ぐために何よりも肝心なことは、流れてきた放射能に巻き込まれないことです。しかし、放射能をみることはできません。とても難しいことですが、冷静に風向きを見て、原子力発電所の風下から直角方向に逃げることが一番大切です。そして可能であれば、できるだけ原子力発電所から離れることも大切です。でも、仮に少しぐらい離れたところでも、雨にでも襲われれば濃密な汚染を受けてしまいます。放射性物質を身体に付着させることは大きな危険となりますので、雨合羽や頭巾、帽子、それに着替えは必須です。また運悪く放射能に巻き込まれてしまった場合には、それを呼吸で取り込まないようにすることが大切です。マスク、あるいは濡れタオルもそれなりに効果があるでしょう。
ただ一番心配なのは、私達が事故の発生を知ることができるかどうかということです。国や電力会社は事故を過小評価し、できればなかったことにしようとします。一刻を争うような事態になっても、おそらくは情報がでてこないでしょう。おまけに風速4m/秒とすれば、放射能は一時間に14q流れます。普通の人は走っても到底逃げられません。車はおそらく交通網が麻痺して動かないでしょう。

原子力発電所事故による急性死から逃れる方策を、重要度の高いと私が思うものから以下に書きます。
1.原子力発電所を廃絶する。
2.廃絶させられなければ、情報を公開させる。
(たとえば、原子炉の制御室にTVカメラを設置し、映像を常時外部で見られるようにすることができれば、有効でしょう。)
3.公開させられなければ、自ら情報を得るルートを作る。
(簡易型放射線測定器で自ら放射線量を測定することも意味がありますが、いつもいつもそのデータを得続けることはまずできないでしょう。それよりは、原子力発電所サイトを監視する、あるいは職員(特に幹部)の家族の動きを視ておくことの方が役に立つでしょう。)
4.事故が起きたことを知ったら、風向きを見て直角方向に逃げる。そして可能なら原子力発電所から離れる。
5.放射能を身体に付着させたり、吸い込んだりしない。
6.全て手遅れの場合には、一緒にいたい人とともに過ごす。

●長期間にわたる悲劇はどうなる?

急性死を免れて運良く生き延びたとしても、放射能雲に巻き込まれた地域は長期間にわたって放射能汚染が残り、その地は放棄されなければなりません。長い歴史を刻んできた土地を放棄する人たちの未来はどのようのものになるのでしょうか? それを考えると私は途方に暮れてしまいます。
放射能の雲はみることはできません。でも、私たちがその向こうにあるものを視なければ、悲劇はいずれやってくるでしょう。

(この記事は、08年6月28日に開催された「講演と映画と音楽の集い」(「終焉に向かう原子力」実行委員会と現代史研究会の共催)での講演によるものです。―編集部)
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