実現論を塗り重ねてゆく
246461 クルガン仮説補足
 
井上宏 ( 40代 新潟 建築コンサル ) 11/03/01 AM08 【印刷用へ
以下の内容は、言語学者の著者がギンブタスなどの説を追いながら、クルガン仮説の概略をまとめたものです。

『印欧語の故郷を探る』風間喜代三著 より抜粋引用
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●第1期:6500年前〜 
 最も古いとされるヴォルガ川下流域からカザフスタンのステップの地では、放射性炭素による年代測定で紀元前4500年に近いという。ここから半遊牧的なこの文化の担い手たちのウクライナ、バルカンへの拡大がはじまり、ルーマニアのトリポリエ文化の農民との接触が起こってくる。
※このヴォルガ川のクルガン(ロシア語で塚の意で総称される文化)の最も古い墓では、それは
深い穴の個人用のもので、死者は仰向けに寝かされて、骨には黄土をふりかけ塚状に盛ってある。

●第2期:6000年前〜5500年前
 ユーゴからハンガリーまでこの文化は進出する。そこでは同じ村に、クルガン式の個人墓と、ドニエプル、ドネツ文化の集団的な埋葬が共に見られるし、黒海と東ハンガリーの間の地域では、ぶななどの木を使った竪穴の墓が多く、馬、牛、羊、ヤギの骨もみられ、侵入者であるクルガン人の存在をはっきりとうかがわせる。

●第3期:5500年前〜5000年前
 このころには、黒海に面する全ての地域がクルガン人によって支配されるようになる。
そして東部、中部ヨーロッパ、それにバルカン半島を下ってマケドニアまで、またコーカサスをこえてアナトリアから北イランに至るまで、この文化は浸透していく。その結果古い文化は解体し、黒海の北のクルガン文化と基層になった要素が交じり合って作られた新しい文化に代えられていく。これがいわゆるバルカン・ドナウ文化である。
その後さらにドナウ川をさかのぼって、北ヨーロッパの漏斗杯文化の地域に及んだ。

●第4期:5000年前〜4000年前
 この間に北ヨーロッパ、エーゲ海、東地中海一帯にこの文化の波は及んだ。そして全ヨーロッパが同じ文化的な要素を持つに至って、急速に差別化が生じ、中部ヨーロッパの青銅器時代とギリシャの中期ヘラディック文化がはじまる。
この頃の出土品は、典型的な銅剣、装飾品、壺などの副葬品が見られる。また戦斧に用いた石や耳輪などに使った銀の出土品は、このころのクルガン人の幅広い商業活動を物語っている。

この長期にわたる広大な地域へのクルガン文化の侵入は、印欧語族の分化と、その歴史上の拡散図とも一致する。

※印欧語族は家長を中心とする父系的な貴族社会を営んでいた。一族はまとまった集団をなし、村落を作っていたと考えられている。こうした比較文法が対応から割り出した事実は、クルガン文化の王の墓をはじめとする多くの遺跡からも推測されよう。
※クルガン文化の第2期にすでに馬具と思われる遺品が発見されている。彼らがその勢力をこれほど広い地域に拡大できたのも、轡をはじめとする馬具を知っていたからではないだろうか。
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(引用以上)

この著者は、この仮説についてヨーロッパでの拡大の部分は厳密には、“何もかも抱きこみすぎている”とやや疑問を持っている。

重要な点は、6500年前ごろにはステップ地帯の南ロシアで父系遊牧集団が発生(印欧語族)していたこと。族長らしい個人墓を特徴としていることから、階層化が進んでいたと考えられる。
そして彼らは、多くの部族が集まる南ロシアでの同類圧力をうけて、さらに力の原理に傾斜。馬具や戦闘具を開発しながら拡散していった。


●印欧語族の拡散図は以下に詳しい
→西洋文明の基層を探る(5)年代別部族分布図〜印欧語族の欧州侵入過程 リンク

●関連記事
・クルガン仮説の要旨 リンク
・印欧語族の起源は?(学説の紹介)1 リンク
・印欧語族の起源は?(学説の紹介)5 リンク
・印欧語族の形成(中間整理)リンク
 
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