実現論を塗り重ねてゆく
246230 【仮説】略奪闘争前の、遊牧と農耕の集団形態 A 〜「母系・父系」×「母権・父権」による分類2/2
 
麻丘東出 ( 50 兵庫 環境コンサルタント ) 11/02/24 PM03 【印刷用へ
◆ 採取集団:【母系】
採取集団には母権も父権もない。
単一の小集団で母系の総偶婚。


◆ 農耕集団:【母系 − 母権】
1万年前頃、メソポタミア地方で農耕(麦の栽培化)が開始され、『定住』する農耕民が登場する。
8200年前頃、西アジアの寒冷化・乾燥化に伴い、原白人が黒海沿岸に移住し、農耕を開始。
7000年前頃、メソポタミアの河口でシュメール人が灌漑農耕を始める。

農耕技術の発展により農作物の貯蔵量が拡大し、人口増加〜集団分化していくなかで財産の集団私有の意識が発生していく。そして、土地をめぐり農耕小集団間で縄張りの緊張圧力が高まっていく(※但し、定住して安定しており、移動して集団が接する機会が多い遊牧よりは低い)。
一方で、生産力があがり余剰が生まれてくると、階級分離(重層化)と都市化がおこり、支配者とそこに集う女の非労働階級が生まれてくる。

土地という占有物の縄張り争いに着目すれば集団の力の所在は男原理にも見えるが、農耕という生産様式は遊牧より男の闘争能力が規定するところが低い。
古代オリエント世界一帯の農耕地域において“地母神信仰”が発生しているが、女が権力化していなければ自らを特別な存在として神格化して崇めることにはならず、このことからも集団内での女の力の高まりが伺える。 
→定住し安定した状況のなか貯蔵物の管理や差配の実質は、女が握っていくことになる。

★農耕という生産様式に加え、定住安定、地母神信仰、集団私有の意識と(遊牧より低いとはいえ)農耕集団同士の緊張圧力の高まりで、基盤は採取時代以来の母系を残し、母権が高まっていく。
(※私権時代になれば、形式的には父系になるが、性権力をもとにした母権は強まっていく。)


◆ (農耕起源)オアシス型 遊牧集団:【父系 − 父権】
灌漑農業(7000年前頃)以前の農業は、地域により「(イモなど)栄養繁殖による栽培文化」の型と、「(ムギなど)種子繁殖による栽培文化」の型が存在していた。
その「種子繁殖による栽培文化」のなかから、オリエントから西南アジアにかけての砂漠地帯のオアシスに、ヒツジ、ヤギ、ラクダを主力とし、食糧の相当部分をオアシス農耕民に依存した牧畜民が登場する。
自給自足のステップ型遊牧民と違い、オアシス農耕民の存在を前提にはじめて成立する牧畜民。(参照246226 遊牧民の分類)

このステップ型遊牧民の起源は、7600年前の温暖化に伴う黒海の氾濫でコーカサスで農耕を行っていた印欧語族が流浪し遊牧化したものと考えられる。
もともと農耕集団といっても、7000年前の灌漑農業による穀物大量栽培に入る前の段階の農業は、種子繁殖による栽培から家畜の牧畜を併用している。それが農耕が低下し流浪していくなかで牧畜を高めていった。

そして、黒海から南下して流浪ののち中東砂漠地域のオアシスに定住するようになってから、農耕が復活し麦の栽培が拡大するとヒツジが外に追い出され、それに伴い牧畜を担っていた者もオアシス農耕の母集団から外にはみ出るようになる。そして、外に追い出され母集団の周りで牧畜を行う遊牧民は他の部族と近接するようになる。

オアシス型遊牧民は、定住し農耕を行う母集団(拠点集団)を基点に、他部族に対する斥候を兼ねた派遣で近い距離で定期的な遊牧を行っていたと考えられる。斥候を兼ねる危険な課題なので男が中心の集団になっていく。
また、他部族との接触頻度が上がり各部族間の交易の役割も担うようになっていく(西アジアの交易ルートの拡大)。
このことから、略奪闘争に入る前から、オアシス遊牧民は、普段から他部族集団との小競り合いや家畜etcの掠め取りや取引をするなかで、略奪・騙し能力が磨かれていったと推測できる。

そして、この農耕と牧畜を混合した形態は、7000年前頃には、バルカン半島からコーカサス、中央アジア南部を経由してユーラシア草原地帯に到達した。

★同族の母集団(オアシス農耕集団)に依存しながらも、その周りで男が中心の集団を形成することで父系に転換していく。
そして、遊牧の生産様式に加え、前線で他部族との緊張圧力のなか、斥候、小競り合い、交易、掠め取りを行う中で父権に転換していく。
 
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