実現論を塗り重ねてゆく
245553 氷河期末のできごと@ 氷河期ってどんな世界だったのだろう?
 
松井英仁 ( 40代 静岡 建築設計 ) 11/02/12 PM00 【印刷用へ
浜健二氏の論述『氷河期末のできごと』を紹介します。

浜氏は、在野でイヌ・オオカミと人間の関わりを研究されている方です。環境史にも精通し、氷河期末における人類のシベリア進出にかんする論述は秀逸です。
私たちが漠然とイメージして氷河期の認識を改める必要を感じました。

以下、(リンク)PDFより引用。
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★氷河期ってどんな世界だったのだろう?
一面厚い氷河に被われた不毛で極寒の世界というイメージが直ぐに浮かんでくる。本当にそうだったのだろうか?地球の歴史のなかで、200万年前から現代までは大氷河時代、ドナウ氷期、ギュンツ氷期、ミンデル氷期、リス氷期そして最後はヴュルム氷期と呼ばれて、それぞれの間に間氷期が介在する。最後のヴュルム氷期は7万年前に始まり1万年前に終わった。そして現在は次の氷期の前の間氷期だといわれる。

氷河期には地球上の大量の水分が陸氷として閉じ込められ、海水面は今より最大120メートルも低く、そのために陸地が拡大した。北米とユーラシアの間にあるベーリング海峡はベーリンジアと呼ばれる陸地となり、いろんな動物が往来できた。サハリンと北海道も陸続きとなっていた。ヴュルム氷河期のユーラシア大陸はどんなだったのだろう。ヨーロッパの北半分、イギリス諸島、西シベリアのウラル山脈やシベリアの北極海に面した地域などは巨大な氷床に覆われていたが、中央アジアから東シベリアまでには氷床はなかった。今日これらの地域は、ツンドラと極地ステップ、砂漠と黄土ステップ、針葉樹林帯などに分かれるが、当時その大部分は豊かな草に覆われた黄土ステップや針葉樹がまばらに混じる、豊かな草に覆われたステップ地帯だった。

今日、この地域のステップと呼ばれる草原は草が乏しい。モンゴル上空から眺めると、茶褐色の大地に見える。地上に降りて地面を見るとそのわけがわかる。草は存在するのだが、短い草は地面全体を覆っていない。被覆率が低いのだ。露出した地面の方が多いのである。そのために上空から見ると茶褐色に見える。当時の草原は違った。今、北極海に面してウランゲリ島という島が存在するが、この島の植生は驚くほど豊かで、ロシアの科学者たちは、氷河期のシベリアの草原の姿がここにあるという。丈の高い草が生い茂り、大型動物を支えていた。

この地の当時の気温は現代より5℃から10℃低く、 降雨や降雪が少なくてそのぶん日照が豊富で草はよく生育し、大気は湿度が低く、むしろ現代より過ごしやすい気候だったという。このような条件のもとで、草原には大型の哺乳類が多数住んでいた。代表者はマンモスでウーリーマンモスといい、大きさは今のアフリカゾウ並で、それまでのゾウの仲間ではさほど大きいものではない。湾曲した牙と長い毛が特徴的だ。ケサイはサイの一種で「マンモスのお友達」とも呼ばれる2本角のサイで、その他ステップバイソン、オーロックスという野牛、ウマ、カなどなど。これに現生のヤク、ジャコウウシ、フタコブラクダ、ロバ、ヒツジ(アルガリ、ムフロン、ウリアル)、ヤギ(アイベックス)、ガゼル(モンゴルガゼル、コウジョウセンガゼル)、サイガ、シカの類(トナカイ、ノロジカ、アカシカ、ヘラジカ、ジャコウジカ、シフゾウ)などが草原あるいは草原と樹林の入り混じった地域などに溢れていた。

捕食動物では、ドウクツライオン、ドウクツハイエナ、それに現生のヒグマ、オオカミ、ドール、ユキヒョウ、ヒョウ、オオヤマネコなどがこの地を徘徊していた。当時のヒグマは肉食性が強く、現在のものよりも大型だったことが化石からわかっている。もともと広い平原で視覚を頼りに獲物を追うオオカミは、寒さに強く湿度を嫌うので、彼らにとってもまさに理想的な環境だった。
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Aに続く
 
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