実現論を塗り重ねてゆく
245023 チベット系の羌族の歴史
 
山澤貴志 ( 45 鹿児島 ITコンサル ) 11/02/02 AM00 【印刷用へ
チベット系遊牧民=古代羌族の東進が、中国の母系から父系への転換をもたらした。241442

で一部紹介した「漢民族の源流を探る―羌族史の解明から」中野謙ニ著2003エフ・アイ・プラン を図書館で借りてきたので、紹介する。

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漢民族の起源については実証主義の学者たちからは中々、踏み込んだ発言はないが、チベット系の羌族が関係しているのではないか、との視点を提起している論者は多く、故司馬遼太郎、水上静夫の両氏も言及している。

そんな中、羌族の末裔を自認する羌学学会の楊光成会長による「中国羌族帝王人物録」は、古代羌族研究の決定版である。

羌族は早くから西北に居住していたようで、殷代の甲骨文の記載によると、現在の甘粛あたりにいたようだ。もともとは羊の牧畜に従事していたようだが、その一部は東進し、農耕に転じた。

「中国羌族帝王人物録」によると、中国史に名を刻んだ以下の人物が羌族であるとされる。

炎帝(えんてい) 紀元前3976年生。史記に記された伝説の人物だが、農耕の起源に係る人物であり、中国に市を開いた人物でもある。神農とも呼ばれる。黄河支流の渭河に生まれ、渭河に沿って東進。治水技術を武器に中原に進出すると農耕を始めたとされる。

蚕叢(てんそう) 蜀山氏と号す。

夏兎(かう) 中原の氾濫を治め、平定した伝説の人物。その子啓によって夏王朝が築かれた点で、中国の統治に世襲制を持ち込んだ人物でもある。

姫発(きはつ) 周の武王。殷を滅ぼし、羌を復興させた王。

姜子牙(きょうしが) 周の軍事家で娘を武王の正妻とした。太公望として知られる。

安陽 蜀の王子。蜀滅亡により3万の兵を率いてベトナムへ入った。蜀は考古学的には三星堆遺跡に比定されている。

勾践 夏兎の後裔で、越王。

秦始皇帝 全国統一を果たした秦の皇帝

羌族を目の仇にした殷を除き、羌族の影響は広い。ただし、司馬遷による史記では、炎帝よりも黄帝が重視され、夏の兎も、周の始祖稷も秦の始祖費も黄帝の系譜としている。史記によると、炎帝自身は平和的人物であったようだが、その後の神農一族の信頼は低下し、諸侯の争いが起こり、それを平定したのが、黄帝となっている。

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恐らく、西方から、市場と治水技術を持ち込んだ羌族の系譜が炎帝で、他方の土着の農耕民の系譜が黄帝に喩えられているのであろう。

治水技術が西方から持ち込まれたとするのは一見奇異な印象もあるが、草原では水の確保は最重要課題であり、古くからステップに山から水を引き込む技術はあったようである。おそらく、こうした西方の水耕土木技術が中原に持ち込まれて、本格的な潅漑農耕が花開いていったのであろう。
 
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