実現論を塗り重ねてゆく
244035 ヨーロッパ最先端のY遺伝子分析より 1
 
小西良明 ( 会社員 ) 11/01/15 PM06 【印刷用へ
「ヨーロッパのY染色体亜型分布」(243730)で紹介されていたデータの元資料(英文)から要点を選んで翻訳しました。

EUPEAN:Distribution of European Y-chromosome DNA (Y-DNA) haplogroups by region in percentage(リンク)より

■R1b
・西欧で最も多く見られるハプロタイプであり、アイルランド・スコットランド・ウェールズ西部・フランスの大西洋沿岸・バスクでは人口の80%に達する。また、アナトリアやコーカサス周辺、ロシアと中央アジアの一部にも見られる。

・どこで発生したかは明らかではないが、原型に近いものが中近東やコーカサスで発見されている。

・R1bの分布は印欧語のものとかなり近い。

・最近の言語学者は、印欧祖族の出身地を黒海−カスピ海のステップ(ドナウ川河口〜ウラル山脈間)と位置付けている。この地域にR1aとR1bの系統が混合して居住し、コーカサス北部にR1b、ステップ北部にR1aが集まっていた。

・R1a,R1bのグループは乗馬と青銅器の技術を持っていたため、ヨーロッパ先住民(I1, I2a, I2b)に対して有利に移住を進めていった。ただし、ギリシャ・バルカン半島・カルパティア山脈は当時先進的な地域だったため、R1系による遺伝子交代が比較的少なかった。また、スカンジナビア・ブルターニュ・サルディニア・ディナルアルプス山脈のような侵入しにくい地域でもI系が多く残っている。

・ステップにいたR1a・R1b混合グループが最初にバルカン半島に侵入したのは6200-5900年の間で、寒冷化によるものである。

・先にヨーロッパに進出したのはR1aで、縄文土器文化(5200-3800年前)の拡大に伴ってドイツやスカンジナビア半島にまで到達した。

・R1bがヨーロッパ西部に到達したのは約4500年前で、黒海沿岸からドナウ川を遡っていった。北方のR1aグループに押し出されるような形で移動を開始したのだろう。

・R1bは3200年前に更に大移動をし、西は大西洋、北はスカンジナビア、東はギリシャやアナトリアにまで拡大した。ただし、同程度の技術を持つR1aが既に定住していた地域は避けていた。

・R1b1bのうち何部族かは早期にカスピ海から中央アジアに移動し、R1b1b1(M73)に進化した。ウイグル族・ハザラ族・バシキール族はこの遺伝子を高い割合で持っている。いくつかのグループは数世紀を経てウラル南部やタリム盆地、中央アジア南部まで至った。

・タリム盆地では金髪のコーカソイドのミイラが見つかっており、3800年前のものが最古である。現在この地域に住むウイグル族がR1b-M73(20%)とR1a1(30%)を持っていることから、タリム盆地で両ハプロタイプの混血が起こったと想像できる。

・R1bは約15000年前にアジアからアフリカに戻っている。R1b1はレバント地方からエジプト、スーダンを介してアフリカ各地に散らばっていった。注目すべきはカメルーンで、いくつかの部族ではR1b1が95%を占めており、国全体では15%になる。
 
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