実現論を塗り重ねてゆく
242846 日本列島ではなぜ多様な人種が存続したのか
 
田野健 HP ( 50 兵庫 設計業 ) 10/12/26 AM01 【印刷用へ
同じく崎谷氏の著書「DNAでたどる日本人10万年の旅」より日本列島に定着した各系統の特徴と、その分布を見ていきたい。
なぜ日本にこれほどのDNAの多様性が温存できたのかは大陸の戦乱史と比較して見ていくと明らかになってくる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■日本列島では維持できた高いDNA多様性
日本列島へは、後期石器時代にC3系統、O系統のヒト集団(移動性狩猟文化)が、新石器時代にはD2系統(縄文文化)C1系統(貝文文化)およびN系統のヒト集団が、金属器時代以降にはO2b系統、O2a系統のヒト集団(長江文明)、またその他、O3系統(黄河文明との関連)O1系統(オーストロネシア系)などの集団が渡ってきて、現在までそれぞれの集団を維持している。このように日本列島は非常にDNA多様性が高い地域である。それもかなり遠隔なヒト集団が現在も共存しているという世界的にも珍しい地域である。

 これに対してユーラシア大陸東部に目を転じて見ると、そこには民族の存亡をかけた凄まじい戦争の歴史が大幅にDNA地図を塗り替えた事になる。まず旧石器時代には東アジアにおいても狩猟採集の民族が広がっていたと思われる。それはおそらくインド経由で東アジアに達し、北上してきたC3系統の可能性が考えられる。今でもC3系統の末裔はシベリアの地の少数民族、先住民として残り、主に狩猟採集の生活を送っていた。
しかし東アジア東部においてシベリアやモンゴルなどを除く華北、華南、東南アジアにおいてはC3系統の比率は非常に低い。これはその後に膨張してきた別のヒト集団によって少数者へと追い込まれていったからではないだろうか。

また、D系統についてもその分岐の時期(13000年前)の推定値によると東アジアにもっと拡がっていた可能性が考えられる。しかし今では東アジア各地や朝鮮半島ではD系統は極めて稀で、この日本列島に最大の集積地点が残り、また遠く離れたチベットでD系統が存続するという事態に追い込まれている。両者を分ける広大な地域には後に別のヒト集団が割り込んでいたことが予想される。

このC3系統、D系統を圧迫してそれらを隅に追いやったのがO系統である。その分岐時期(17000年前)や移動の開始時期(8700年前)の推定値は新石器時代におけるO系統の拡大を示している。
漢民族と関連するO3系統は東アジア北部の華北、黄河上流域に端を発して次第に南へ東へと拡大していった事が指摘されている。O3系統の拡大は黄河文明の拡大を意味しており、長江文明として繁栄していたO2系統の集団を圧迫した。O3系統ヒト集団による先住系集団の圧迫・壊滅は朝鮮半島でも同様で、縄文文化を担ったとされるD2系統は朝鮮半島では壊滅している。

これらとは対照的に日本列島には東アジアの生存競争に破れたD系統およびO2b系統が非常にたくさん存続している。特に新石器時代のヒト集団の名残として貴重なD系統が世界的にも非常に高いレベルで今も日本列島の中心を担っている事は、日本列島の固有性を考える上で非常に重要であると思われる。
さらに日本では少数になっているが、今でもc3系統、Q系統、N系統、C1系統が存続しており、こうしてみると、日本列島には東アジアの古い歴史に関わる貴重な人々が今でもそのDNAを保存することができたこと、時代ごとに東アジアの変動を表すヒトの避難場所として古いものから新しいものまで重層したヒト集団の複雑な構造を示している事などの点で、貴重な地域であると考える事ができる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
崎谷氏のこの記事によれば、東アジアにはかつて多様な系統のヒト集団が気候変動の度に登場し、複層してきたが、やがて黄河文明を興したO3あるいはその前の長江文明を築いたO2bの集団による圧迫、拡大を受け、それ以外の小集団は方々へ散在したとされている。集団間の圧迫の理由は時代的に見ても単に戦乱だけではなかったと思われ、ウィルスへの対抗性や寒さや乾燥への適応力だった可能性もある。いずれにしても日本列島へ渡来したのは、それらの外圧から逃れてきた民であった事は事実のようである。
 
  List
  この記事は 242844 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_242846
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
日本列島ではなぜ多様な人種が存続したのか 「縄文と古代文明を探求しよう!」 11/01/29 PM10
244322 日本は多様な人種がいるだけでなく、驚くほど多様な生物が生きている 2U 11/01/20 PM01
243357 殺し合いを前提とした人種間闘争自体が私権時代の異常な人類の様式なのだ TAB 11/01/03 PM03
242927 東アジアのY染色体亜型分布 小暮 勇午 10/12/27 PM01
242848 日本列島のDNA多様性の諸条件 田野健 10/12/26 AM02

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
ミス大爆発⇒警戒心発の集中力はガタガタ⇒共認圧力発の集中力を形成するには?
トラブルの根底に指揮系統あり。全てをネットへ
隠蔽・言い訳・誤魔化しの横行によって崩壊する私権体制
活力源は、脱集団の『みんな期待』に応えること
今後10年間は充足⇒活力を上げれば勝てる 
新卒者向けセミナー「経営者が語る」〜これからの時代企業が生き残っていくのに必要な力は何か(前半)
新卒者向けセミナー「経営者が語る」〜これからの時代、企業が生き残っていくのに必要な力は何か(後半)
自主管理への招待(1)工業生産から意識生産へ。時代は今、歴史的な生産力の転換を遂げようとしている。
自主管理への招待(2) 社会は、生産力の転換によってしか根底的な変革を遂げることはできない
自主管理への招待(3) 生産から離脱させ、消費へと逃避させるだけの近代思想
自主管理への招待(4) 「頭の中だけの自己」から「実現対象」への追求ベクトルの転換
自主管理への招待(5) 否定し要求するだけの「閉塞の哲学」から、実現対象を獲得した「解放の哲学」へ
自主管理への招待(6) 実現思考とは何か
自主管理への招待(7) 労働の解放のために:自主管理の原則
学生に与う1 いま、社会の基底部で何が起きているのか
学生に与う2 私権の終焉と市場の縮小と権力の暴走
学生に与う3 新しい活力源は、周りの期待に応える充足
学生に与う4 先行して共同体を実現した類グループ
学生に与う5 共同体の母胎は女性が生み出す充足空間
学生に与う6 この行き詰った社会をどう再生するか
供給発のカギは、ゼロから新しい供給者を育成してゆく仕組み
新概念を使いこなせて、はじめて供給者になれる
「観念力を鍛えるには?」(1) 話し言葉と書き言葉の断層はどこから登場したのか?
「観念力を鍛えるには?」(3) 「理解する」とはどういうことか?
「日本人はいつ物を考え出すのか?」(2) 学習観念が役に立たないのはなぜか?
出来ない、覚えられない
「みんなの成功体験」ならいくらでも積める
対面会議の欠陥
民主主義=会議という固定観念
集団統合の新たな仕組み:対面会議を超えて、全てをネットへ
企業革命の切り札は、社内ネット
経営者への提言:会議から社内ネットへ
行動方針4 まず身近な職場を改革してから、社会をどうするかを提示せよ
新時代を開くのは、共同体企業のネットワーク
共同体企業のネットワークをどう構築してゆくか
『類グループが勝ち続ける理由』〜まとめ〜
協同組合法:出資・経営・労働を一体化した働き方をしている人たちは10万人を越えている
「人口減少社会の衝撃!!これからの働き方はどう変わる?」〜今、なぜ労働法について考えるのか?〜
感謝の心を損なう「有給制度」に代わる、『有給休暇一括買取方式』

『るいネット』は、47年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp