実現論を塗り重ねてゆく
242295 「馬の民」はなぜ強いのか?・・・インディアンは何故滅びたのか?
 
たっぴ ( 35 京都 会社員 ) 10/12/16 PM00 【印刷用へ
遊牧民(馬を飼う民)の残酷な「管理技術」が、世界史で特権的な威力を発揮した理由が書かれている。
また、あらゆるもの(馬や人間)を『管理』するにあたり、馬を飼う為の
技術と道具(のちに、鉄武器などを開発)は、必須条件であったことが述べられている。
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変身のための起源論
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より引用転載

◆「遊牧民」の強さと残酷
 遊牧民は、牧者ただ一人で、百頭もの家畜を意のままに統御できます。どうしてそんなわざが可能なのでしょう?

その答えは、彼らが「群れの管理技術」を知っているせいです。

たとえば百頭の牛がいても、それは実はバラバラでなく、数頭の「強い雄」が従える小グループに分かれています。だから牧者は「強い雄」さえ見ておけば、全群を把握できる。なおその中には一番のリーダーもいたりします。その一頭を操れば、全群を動かすことができるのです。

これとは逆に、「弱い」側から管理する手段もあります。
というのは、雄たちは雌のまわりに集まるし、雌たちは仔に寄り添うからです。だから仔畜を拘束すれば、そこに全群が留まります。

悪く言えば「人質」ですね。

雄の中にはえらく反抗的なヤツもいます。そういうヤツは、殺すかまたは去勢します。脅して人への恐怖を植え付け、もちろん甘えさせてなつけるってこともします。牧者はそれらの手段でもって、圧倒的多数の群れをコントロールするのです。

そして…この先が大事なことだが。

遊牧民のこのような「群れの管理技術」は、
そのまま人間にも転用が可能なのです。

すなわち彼らは他集団を征服すると、その集団の秩序を見抜き、キーになる連中を掌握します。敗者側のリーダーだとか、女子供の「人質」とかです。反抗的な連中は、容赦なく大量虐殺して、他への見せしめにしたりします。

こうした巧妙かつ残酷な「管理技術」は、匈奴、フン、モンゴル、トルコ、満族(清朝)…らの異族征服で、つねに見られたものでした。彼らが少数でありながら、圧倒的多数の被−征服民をコントロールしえたのは、こうした「家畜扱い」の専門家であったからです。

こうして見れば、家畜飼いから〈社会権力〉が発生し、また〈帝国〉原理が生み出された…というのも、よく納得されるでしょう。

◆馬は〈テクノロジー家畜〉である
さて、次の問題です。家畜は色々あるけれど、そのうち「馬」を飼う民こそが、世界史で特権的な威力をふるってきました。これはどうしてなのでしょう?
その最大の要因は、「馬の扱い」がテクノロジーと不可分であったことです。

たとえば犬や豚などは、放っぽっててもたやすく飼えます。難しい世話は必要ない。そのため犬は、未開段階の狩猟採集民でも飼ってました。インディアン、イヌイット、パレオ=アジア族などです。またパレオ=アジア系チュクチャ(粛慎)の系統である挹婁(ゆうろう)では、豚だって飼ってました。

ところが…馬だとそうはいかない。馬は手のかかる動物だし、裸馬には乗りづらい。馬の力を引き出すためには、技術と道具が必須なのです。

そこで先史印欧祖族は、馬に車を曳かせて「戦車」として活用しました。これは先史世界の勢力地図を一変させ、印欧祖族は西ユーラシアの覇者となります。

さらにシベリア=スキタイ文化が、鞍やハミらのの「馬具」を洗練し、これから〈騎馬遊牧民〉が誕生しました。
「馬の民」の発展は、つねにテクノロジーと結びついていたことがわかるでしょう。

◆馬が招いた「製鉄」と「遠戦武器」
このように見ると、「馬の民」ヒッタイト人やスキタイ人が、同時に「鉄の民」としても名高かった理由が、明らかになろうと思います。丈夫な馬具を製造するため、鉄が必要だったのです。

さらに機動力のある「馬の戦い」は、しぜん近接戦よりも遠戦が主体になるため、これが「長物」や「飛び道具」の開発を招きました。槍・矛・長弓・弩から鉄砲まで、これらが全て「馬の戦い」の現場で発達してきたことは、重大です。

本村凌二『馬の世界史』では、「もし人類に馬がなかったら…?」という問いを設定しています。

その答えは、たとえば馬を知らなかった『新大陸インディアン』を見れば明らかでしょう。☆彼らは車輪も鉄も知らず、武器や戦術も未熟でした。馬に乗ったコルテスやピサロが現れたとき、彼らはあまりにも呆気なく、打ち倒されてしまったのです。

《転載終了》
 
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